放送 概説

放送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/27 05:39 UTC 版)

概説

放送の主体と分類

放送を行う主体とその機器等を合わせて放送局(ほうそうきょく)と呼ぶ。

放送事業は、その運営主体別に国営放送公共放送民間放送に分類される。日本に例を取ると、日本放送協会(NHK)と放送大学学園が公共放送に該当する。なお日本において日本国政府が運営する国営放送は存在しないが、在日米軍の運営によるAFNが日本の領内に放送局を設置している。

放送のコミュニケーション論

コミュニケーションの観点から見た場合、放送は、対面(フェイス・トゥ・フェイス)で行われるものではなく、通信であることから、隔地間で行う「テレコミュニケーション」である。

また、コミュニケーションは、構造別に「1対1」と「1対多」に分類できるが、放送はおおむね「1対多」を想定して行われる。特にラジオ放送・テレビ放送は、不特定かつ多数の大衆: mass マス)を相手に行うのでマスコミュニケーションである。

さらに、コミュニケーションは、方向別に「双方向コミュニケーション」と「一方向コミュニケーション」に分類できるが、放送は、基本的には送信側から受信側へ向けた一方向のコミュニケーションである[注 1]

語用のありかた

特にテレビの放送番組を送出することを「放映する」と表現する場合がある。NHK放送文化研究所[3]によると、「放映」はテレビ番組全般を放送する意味と、映画番組を放送する意味とに用いられ、「放映」を用いた場合その範囲や区別がはっきりしないため、NHKでは原則として「放送」を使い「放映」は使わない。

歴史

アメリカ

第一次世界大戦後のアメリカではレコードが普及するとともに、軍事利用されていた無線の使用制限が解除され、無線機メーカーとレコード製造会社が放送事業を計画するようになった[4]ペンシルベニア州ピッツバーグウェスティングハウス電気製造会社の技術者フランク・コンラッドの実験局「8XK」を母体に世界初の商業放送局「KDKA英語版」が開設され、1920年11月2日ウォレン・ハーディング大統領の当選を伝えた[4]。ただし、実際にはアマチュア無線家が運営する小規模の放送が既に実施されていた[4]

アメリカの放送事業は、ラジオ放送による受信機の売上、および放送で流される音楽のレコードの売上で経営されていた[4]。しかし、放送がスタートした時期のレコードは録音時間が3分程度しかなく、レコードを交換するタイミングで商業広告が入るスタイルとなった[4]

その後、アメリカでは多数の放送局が設立され、それが連結して商業ネットワークがつくられるようになった[4]

イギリス

アメリカで多数の放送局が設立されるようになると、イギリス政府内では大量生産による安価な受信機がアメリカから流入するのではないかとの懸念があり、国土の狭いイギリスでアメリカと同じように多くの放送局が競合すれば経営難に陥ることが予想されたため政府主導による免許制とすることが好ましいと考えられていた[5]

1922年マルコーニ無線電信会社英語版などがイギリス政府の意向を受けて「英国放送協会(BBC)」の設立に合意し、政府はBBCの経営安定のため受信料を徴収することを特許した[5]

アメリカ合衆国の放送


注釈

  1. ^ この弱点を補うために、放送番組では、希望する観覧者をスタジオに招き、場合によっては出演させたり、郵便電話インターネットまたは放送技術上の処理(双方向番組)などを利用して聴取者・視聴者の意見を紹介したりする、といった試みも行われてきている。それでも放送を学問的に分類する時は基本的には「一方向のコミュニケーション」に分類する。

出典

  1. ^ broadcasting Oxford and I'mが? Dictionary on Lexico.com
  2. ^ transmission Oxford Dictionary on Lexico.com
  3. ^ NHK放送文化研究所」 NHKオンライン、2000年10月1日[リンク切れ]
  4. ^ a b c d e f 原麻里子、柴山哲也編著『公共放送BBCの研究』ミネルヴァ書房、2011年、38頁
  5. ^ a b 原麻里子、柴山哲也編著『公共放送BBCの研究』ミネルヴァ書房、2011年、39頁
  6. ^ 内田泰 (2019年11月21日). “遅延もはや地デジ並み、「NHK同時配信、BBC電波返上」議論の裏に映像配信の急速進化(有料記事)”. 日経クロステック. 2021年8月26日閲覧。
  7. ^ 放送法第93条第1項。
  8. ^ 放送法第126条第1項。
  9. ^ 放送法第133条第1項。
  10. ^ 平成7年郵政省告示第52号 一般放送事業者の行う超短波放送のうちの外国語放送を行う放送局の放送対象地域(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
  11. ^ 基幹放送普及計画(昭和63年郵政省告示第660号)(総務省電波利用ホームページ)
  12. ^ 放送法第176条第1項、放送法施行規則第214条第1項。
  13. ^ 放送法第176条第2項及び第3項。
  14. ^ 博士も知らないニッポンのウラ』 30 「超天才Dr.苫米地英人の「洗脳」秘録 苫米地英人」


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