意識障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 02:40 UTC 版)
特殊な意識障害
- 除脳硬直と除皮質硬直
- 意識障害では必ず行う、疼痛刺激を与えての意識レベルの判定をする際、特有の姿勢反射が誘発されることがある。間脳レベルで障害をうけると上肢が屈曲し、下肢が伸展する。これを除皮質硬直という。中脳赤核 - 橋に病変が及ぶと疼痛刺激に対して四肢が伸展する姿勢反射が誘発されるこれを除脳硬直という。繰り返し意識レベルを判定していると除皮質硬直だった姿勢反射が除脳硬直となることがある。これは病変が間脳から上位脳幹まで及んだ、即ち病変が進行したという意味となる。さらに進行し延髄にまで病変が及ぶと四肢の筋緊張は完全に弛緩性となり、なんら姿勢反射が誘発されなくなる。
- 失外套症候群
- 大脳皮質または白質の広範な障害で無動性無言の状態となり、注視・追視をせず、筋トーヌスの亢進が見られ、除皮質姿勢をとる。
- 無動性無言症
- 世間でいう植物状態である。両側大脳の広範な意識障害で高度の認知障害に陥った状態である。通常の意識障害とは睡眠覚醒パターンがある、開眼して注視する、嚥下があるという点で鑑別できる。頭部外傷で一年間、無酸素脳状態で3か月間この状態が持続すれば不可逆と判定して良いといわれている。脳死との違いを説明するときによく登場する言葉である。
- 閉じ込め症候群
- 意識は清明であるが、橋底部の両側障害で四肢麻痺、仮性球麻痺、両側顔面神経麻痺、外転神経麻痺がおきて意志の伝達が不可能となった状態である。動眼神経は正常なので眼球の上下運動と眼瞼挙上でコミュニケーションが可能である。脳底動脈血栓症で多い。
- 一過性健忘症
- 健康だった人が、突然前向性健忘をおこし、新しいことをまったく覚えられなくなるもの。自分の周囲の状況を把握できなくなるため本人は混乱し、同じ質問を繰り返す。
通常24時間以内に回復し、積極的な治療は不要なことが多い。ストレスの多い人に起こりやすく、側頭葉の血流低下が関与しているとみられている。
- ヒステリー発作
- 無意識な情緒葛藤が通常ならば随意神経系によって調節されている身体機能の変化または喪失として表現される精神障害である。器質疾患の除外とhand drop testによってある程度、可能性を考えることができる。通常は自然に回復するので、後日精神科受診を考える。
- 失神
- 意識障害と異なり、すぐに意識が回復する。殆どが循環器障害や自律神経反射によるものである。脳底動脈支配領域の神経症候が主症候となる。脳の上位部から虚血が起こるので後頭葉障害で眼前暗黒感、上位脳幹網様体障害で意識障害、延髄の前庭脊髄路障害で失立となる。反射性に交感神経が刺激され冷感を同時に感じることが多い。
- ^ カラー図解 薬理学の基本がわかる事典 p88
- ^ 尿中の薬物反応を迅速に判定する検査キット。国立医薬品食品衛生研究所の解説ページ
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