声優 仕事

声優

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/27 08:22 UTC 版)

仕事

アニメオリジナルビデオアニメ(OVA)ラジオドラマドラマCDゲームテレビ映画洋画海外ドラマの日本語吹き替え、ボイスドラマ、ナレーション、アナウンス、番組内の語り手、朗読などがある。

声による演技以外にも、出演作の関連イベントやの宣伝など付随して顔出し出演がある。

仕事の取り方はオーディションによる選考か指名、出資によるキャスティング権の確保であるが、仕事の種類ごとに異なる。

アニメ

画面を見ながら台詞を吹き込むアフレコと、事前に台詞を収録し、それに合わせて後から動画を制作するプレスコの2種類の方法がある。日本ではアフレコが主流である。近年のアニメ制作のデジタル化により、アフレコ後に絵を修正するケースも多い。なお、声をあてることからアテレコとも言う。収録はスタジオに声優を集めて一度に行うのが主流だが、芸人や歌手などの非声優を起用する場合は、個別に別録りすることが多い。

出演料はランク制の適用を受ける。

役は原作者や制作サイドからイメージに適合した声(声質)や演技力を持つ人物が指名されることもあるが、選考オーディションを受けて得るというシステムが主流である[51]

通常は制作会社などから声優の事務所庶務にオーディションのお知らせが通達され、事務所は役柄に合うと判断した所属声優を数人選び、その選ばれた者だけがオーディションを受けられるというのが通例である。そのため大人数の声優を抱える大手事務所では、まず事務所内での競争を勝ち抜かないとオーディションを受ける機会すらない[52]。そして、たとえオーディションを受けられたとしても、60本に1本受かればいいというほどの競争率と言われる[53]

古川登志夫は『ポプテピピック』に出演した際、「大御所なんだから仕事選べ」という一部視聴者の声が出たことに対して「冗談ではない。アニメのキャラ声は本職だ。第一仕事を選べるほど偉い立場にない」「一本の仕事を取るのにマネージャーさんが何度頭を下げるかご存知か!」と反論している[54][55]

公募形式とする例もあり、2018年放送のからくりサーカスでは主役の1人をプロアマ不問の公募オーディションにより決定すると発表したが、応募総数は2,500人超だったという[56](新人の植田千尋が選ばれた)。2005年のSPEED GRAPHERではヒロイン役を公募オーディションとしたが、第1次・第2次審査で絞り込んでからウェブの一般投票も加味される形式で行われた(新人の真堂圭が選ばれた)。また2013年、テレビアニメ『ふたりはミルキィホームズ』の主人公役を公募オーディションが行われた(新人の伊藤彩沙が選ばれた)。

昨今はアニメに対する出資会社によって出演枠を確保する方法がとられることもあり、必ずしもオーディションによる出演ではないことも多い。

日本語吹き替え

海外ドラマ・外国映画などの登場人物の声を俳優に代わって演じる。アニメ同様、ランク制の対象となる。

フィックス制度により役が固定されていることもあるが、放送版とセル版では異なる声優となる例もある。

ニュースやドキュメンタリーなどのボイスオーバーもランク制の対象である。

アニメとは異なりオーディションはほとんど行われず、プロデューサーやディレクターなどが声優を指名して決めることがほとんどとされる[51][57]。ただし、ディズニー作品、スティーヴン・スピルバーグ作品、ジョージ・ルーカス作品などでは指名ではなく、アニメ同様オーディションが行われるという[58]

ゲーム

基本的に、かけ合いではなく一人ずつ個別に収録する。

CD-ROMの普及し始めた1980年代末から増えた仕事である[59]1990年代に、PlayStationなどの高性能なゲーム機が登場し、声優が起用されることが一般的になった。出演料については、当初は明確な基準がなかったが、1998年日本俳優連合(日俳連)と社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の間で協議が持たれてからは、一般向けのゲームでは、アニメと同様にランク制が適用されるようになった。

アニメと同じく、オーディションや指名によって選出される。

ボイスドラマ

ラジオドラマドラマCDなど音声のみのドラマ作品でキャラクターの声を演じる。

ドラマCDの場合、売上を考慮して、すでに知名度のある声優を起用することが多い[60]。逆に新人やアマチュアをオーディションによって選ぶケースもある。

メディアミックス

アニメ・ゲーム・ドラマCD・玩具などメディアミックスが行われる作品では、同一の声優が同じ役に固定されるが、さまざまな理由により変わることもある。

ナレーション・アナウンス

テレビ番組・テレビやラジオのCM・PRビデオなどの朗読、イベントのアナウンスやリングアナウンサー、番号案内の録音されたメッセージ、デパートスーパーマーケットなどでの録音案内、駅や路線バスなどの公共交通機関のアナウンス(自動放送)など。

ランク制の対象外の仕事[注 9]で、ギャラはアニメ・日本語吹き替え・ゲームよりもはるかに高額とされ、特にテレビCMが高額とされている[61]。ただし基本的に単発かつ不定期の仕事であり、安定した収入にはなりにくい。

日本語吹き替え同様、オーディションはほとんど行われず、指名で決まることがほとんどとされる[62][63]

俳優・タレント活動

前述のように、舞台俳優が声優を兼ねるケースは創成期から多い。劇団に所属しながら並行して活動(葛城七穂田中真弓など)するほか、関智一、山口勝平福圓美里、木村昴のように劇団を主宰する者もいる。

野沢那智、山田康雄、戸田恵子山寺宏一など、映画やテレビドラマ、バラエティ番組などに出演している声優もいる。また、関俊彦花江夏樹豊口めぐみなど、子ども向け番組教育番組を含む)に顔出し出演をしていたり、水樹奈々、内田真礼竹達彩奈などのように、CMで顔出し出演をする声優もいる。

特撮番組では、顔出し出演のほかにもスーツアクターが演じる怪人などの声を担当するという仕事もある。

2010年代後半には、梶裕貴のようにニュース番組のコメンテーターとして出演する声優も出てきた。

歌手活動

音楽CDを発売したり、コンサートを開催したりするなど、歌手として活動をおこなう。逆に、アイドル歌手が声優に転身することもある。

アニメゲームにおいては、出演声優が、個人またはユニットとして、その作品の主題歌を歌うことがある。また、キャラクターが歌っているという設定にして、声優本人の名義ではなく、キャラクター名義でキャラクターソングをリリースすることがある。

林原めぐみが声優として初めてキングレコードスターチャイルドレーベルと専属契約を結んだ1991年3月以後、声優がレコード会社との専属契約を結び、本格的に歌手活動をするケースが一般化している。

数名の声優が音楽ユニットを結成して、歌手(音楽)活動をすることもあり、これは声優ユニットと称されることが多い。『アイドルマスター』や『ラブライブ!』などのように、ドーム球場ライブを行う人気作品もある[注 10]

オリコンなどのヒットチャートにおいては、かつてアニメソング児童向けの曲として別に集計されていた。また、アニメ専門店や家電量販店は集計の対象外だった。これらが修正された1990年代半ばごろから、声優の歌のCDがランキング上位になることが増えた[64]

1997年2月に椎名へきるが声優初となる日本武道館単独コンサートを開催したのを皮切りに、声優が武道館のような大きな会場で単独コンサートを開催するようになっていった。2011年12月には水樹奈々が声優初となる東京ドーム単独コンサートを開催した[注 11]

アニメソングが一般層にも浸透するにつれ、声優が音楽テレビ番組に出演して歌を歌うことも増えている。1997年には椎名へきるが「ミュージックステーション」に、2009年には、水樹奈々がNHK紅白歌合戦第60回NHK紅白歌合戦)に、それぞれ声優として初めて出演している[注 12][注 13]

水樹奈々や茅原実里蒼井翔太のように、元来歌手を志望していた人物が声優となり、のちに歌手としてもデビューするということもある。

ラジオパーソナリティ

声優によるラジオ番組のパーソナリティは、古くから存在するが、1990年代以降は文化放送ラジオ大阪ラジオ関西アニラジ専門の放送枠を設けるなど、番組数が急増した。2000年代以降は、地上波放送だけでなくインターネットラジオ番組も増えている。

アダルト作品への出演

アダルトゲーム(エロゲー)・アダルトアニメなどの年齢制限のある作品に声をあてる。この場合、声優名を非公表とするか、別の芸名を使うことがほとんどである[65][注 14]石田彰一条和矢大野まりなこおろぎさとみなど、一般作と同じ名義で出演する声優もいる。ダイナマイト亜美静木亜美長崎みなみなど、アダルト作品を専門としている声優もおり、ゲームのアニメ化に合わせて一般作での活動を行なうケースも多い。

ComicFestaアニメでは成人向けの描写をカットした一般向けと、すべての描写を入れた完全版の2種類を用意しており、それぞれ声優も異なっている。

人形劇・着ぐるみショー

人形劇はキャラクターの演技とタイミングを合わせながらセリフを言うか、事前に収録した映像を見ながらアフレコする。

着ぐるみショーでは生で声を合わせることもあるが、基本的には事前に声を収録してそれに合わせて着ぐるみの演者(スーツアクター)が演技を行う。


注釈

  1. ^ ただし、これは無声映画作品に声をつけたものとして放送されており、本格的なラジオドラマとは質が異なる。
  2. ^ 後述するように『読売新聞』では1926年の時点で「声優」という言葉が使われていた。
  3. ^ 村田美弥子(当時は村田美禰子)、村田竹子(いずれも女優・村田嘉久子の妹)とともに「スター」として取り上げられていた[7]
  4. ^ 第1期生の加藤道子が死去した際、読売新聞は「声優の草分け」と紹介[10]
  5. ^ 初の日本語吹き替え作品は1931年の米映画『再生の港』だが、起用された在米邦人の広島訛りが不評で後が続かなかったという[16]
  6. ^ 2007年に、BS11による『アニメ+』が創設されて以後、この傾向が年々顕著になってきている。
  7. ^ 但し、古くは昭和では古谷徹鶴ひろみ冨永みーな笠原弘子など、平成でも沢城みゆき平野綾神木隆之介など、過去に10代で主役を演じたベテラン声優は多数存在する。
  8. ^ 他には、ANIMAX MUSIX(2009年開始)、リスアニ! LIVE(2010年開始)など。
  9. ^ ただし、アニメ・日本語吹き替え・ゲームのナレーションはランク制の対象となる。
  10. ^ 特に「ラブライブ!」から生まれたμ'sは、2016年3月31日・4月1日に声優ユニットとしては初めて東京ドームでの単独コンサートを開催し、両日とも満席であった。
  11. ^ 2016年にも東京ドームでの単独コンサートを開催したほか、同じ年には声優だけでなくソロ歌手としても初となる阪神甲子園球場でのコンサートを実現している。水樹は阪神タイガースファンとして知られており、甲子園球場でのコンサートは自身の念願の一つでもあった。
  12. ^ 水樹はその後も毎年出場を続け、2009年から2014年の計6回にわたり連続出場した。
  13. ^ 声優ユニットのμ'sが2015年に、水樹に次いで声優2組目となる紅白出場を果たした。
  14. ^ まれに普段使用している声優名のままでクレジットされていることもある。
  15. ^ 文学座こまつ座などで俳優としての活動はしていた。
  16. ^ 作品限定の声優ユニット活動を行うこともある。
  17. ^ アイドルマスターシリーズTHE IDOLM@STERアイドルマスター シンデレラガールズアイドルマスター ミリオンライブ!アイドルマスター SideM)、ラブライブ!シリーズμ'sAqoursWake Up, Girls!プリパラi☆Risなどの例がある。特に「ラブライブ!」シリーズのキャストは歌唱力やダンス力を重視したオーディションにより、 それまで声優経験が皆無であった(女優などの他業種出身のメンバーに加えて、芸能界での活動経験自体がなかったメンバーもいる。楠田亜衣奈降幡愛などがこれに該当)出自を持つ起用者も多くいる。
  18. ^ エイベックス・プランニング&デベロップメント(旧アクシヴ。声優プロダクションとしては縮小化したのち、グループ再編でエイベックス・ピクチャーズの1部門となった)、KADOKAWAプロダクション・エースアニプレックスボイスアンドハート(廃業の後、アニプレックスから独立)、ドワンゴアーティストプロダクション(ドワンゴ プランニング アンド ディベロップメント。現在のMAGES.となるAG-ONEへ会社統合の後、廃業)など。
  19. ^ MAGES.-アミュレート(ドワンゴアーティストプロダクションの事実上承継先)、学研プラス-office EN-JIN(2019年に所属者が居なくなり事実上の事業終了)、エイベックス・ピクチャーズ(エイベックス・プランニング&デベロップメントから一部受け入れ)、ポニーキャニオン-スワロウ、ブシロード系の制作子会社による
  20. ^ ミュージックレイン株式会社S、ポニーキャニオンアーティスツ(現在は取扱なし。声優・アニメ関連を社内別組織マネージメント組織「スワロウ」へ分割した後、2019年7月より親会社のレコード会社ポニーキャニオンに統合)。
  21. ^ 『声優兼アーティスト』枠で所属オーディションを開催するなどしている。
  22. ^ 歌手志望者を声優として(も)デビューさせる例があり、株式会社S(現在はディファレンスに移籍)の新田恵海のように、歌手志望として所属オーディションに合格するも事務所の方針で最初は声優としてデビューし、合格から5年半を経て歌手デビューを果たすという例もあり、また、ポニーキャニオンアーティスツ(現スワロウ)の遠藤ゆりか(2018年6月、芸能活動引退)のように、歌手デビュー後に声優としてもデビューするという例もある。
  23. ^ 一例として、ホリプロ(現在は関連会社のホリプロインターナショナルに移管)、ソニー・ミュージックアーティスツスペースクラフトなど。
  24. ^ 例外的に、ホリプロのような月給制を基本としている事務所もある。
  25. ^ 平成25年度以降の25年間は復興特別所得税が加算されるため、10.21%となる[1]
  26. ^ ただし、年収が少ないため結果的に源泉徴収税を納めすぎとなっているという者は、翌年の確定申告で還付を受けることができる。
  27. ^ 一概には言えないが、日俳連は基本的に土日祝日のゴールデンタイムに放送される番組に最も高いクラスの報酬を設定している。
  28. ^ ただし、現在ではスタッフの移籍がより増えたため実質的に加盟している状況の会社もある。
  29. ^ アニメ・ゲームのナレーションはランクの縛りがある。
  30. ^ 声優として2008年にデビューして以後、『キディ・ガーランド』(2009年。アスクール役)で主演を務めるなど、出演本数を積み重ねてはいたが、メインキャラクターとしての出演が増えたのは2012年以後のことであった。
  31. ^ なお、『声優グランプリ』2018年3月号の別冊付録である「声優名鑑2018女性編」で収録されている女性声優は800人、同雑誌の2018年4月号の別冊付録である「声優名鑑2018男性編」で収録されている男性声優は560人(つまり合計で1360人)であった。

出典

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