咳嗽 咳嗽の概要

咳嗽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 18:42 UTC 版)

咳嗽
百日咳の患者
概要
分類および外部参照情報
ICD-10 R05
ICD-9-CM 786.2
DiseasesDB 17149
MedlinePlus 003072
eMedicine ENT/1048560

分類と原因

日本呼吸器学会咳嗽ガイドラインの定義[1]では、

  1. 咳嗽とは,気道内に貯留した分泌物や異物を気道外に排除するための生態防御反応である。
  2. 気道壁表層の咳受容体の刺激が迷走神経を介して延髄咳中枢に伝達され咳嗽が発生する。
  3. 気道壁表層の咳受容体の感受性亢進を介する経路と,気道平滑筋収縮による平滑筋内の知覚神経の刺激を介する経路の 2 つがある。

更に分類すると

  1. 咳嗽反応亢進
    (気管支壁表層の咳受容体感受性の亢進による咳嗽と、気管支壁深層にある気管支平滑筋の収縮による咳嗽を含む)
  2. 適正な咳嗽反応
    • 湿性咳嗽を呈する呼吸器疾患、刺激物の吸入、心因性咳嗽、咳払い
  3. 咳嗽反応低下
    • 脳血管障害(不顕性誤嚥)、ADL 低下、睡眠、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、麻酔薬、昏睡、意識障害

痰を伴わない乾いたせきのことを乾性咳嗽(かんせいがいそう)といい、一般的には空咳(からせき)ともいう[2]喀血を伴う湿ったものを湿性咳嗽(しっせいがいそう)と呼ぶ[2]。乾性咳嗽は、間質性肺炎異型肺炎胸膜炎過敏性肺炎など典型的な肺炎とは異なった肺炎を示唆する。また、湿性咳嗽は気道の炎症性病変や肺水腫を示唆する。

消費カロリー

岡野弘は1992年4月に『リハビリテーション医学』第29巻4号で発表した論文「呼吸器疾患の治療」[3]のなかで、「呼吸筋の収縮により消費するエネルギーは、1回の咳嗽で2calを要し、1分間に1回の咳嗽が10時間持続すると1,200calを消費する」というWilliams と Wilkinsによる1979年の研究を紹介した。

診断

急性咳嗽
感染性疾患と急性上気道炎(上気道感染症、つまり風邪)が多い[4]
慢性咳嗽
過敏性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、咳喘息・喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群[4]。また、肺癌結核・肺塞栓症の初発症状である場合もある[4]

日本呼吸器学会の咳嗽ガイドラインによれば、1-2週間以上持続する咳嗽患者に対しては胸部X線検査を推奨している(推奨グレードA)[4]

欧米に於いて慢性化した咳嗽の原因として多いものは、上気道咳嗽症候群(後鼻漏症候群)、気管支喘息(咳喘息)、逆流性食道炎である[5]とされているが日本では多くない[4]

検査

胸部X線撮影、血液検査、喀痰検査、生理学的検査


  1. ^ a b 日本呼吸器学会 2012, Chapt.II.
  2. ^ a b 日本呼吸器学会 2012, Chapt.III.
  3. ^ Hiroshi, Okano (1992). “呼吸器疾患の治療” (jp). リハビリテーション医学 (Japan: 日本リハビリテーション医学会) 29 (4): 286. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/29/4/29_4_281/_pdf 2024年2月10日閲覧。. 
  4. ^ a b c d e 日本呼吸器学会 2012.
  5. ^ Benich JJ 3rd, et al. Evaluation of the patient with chronic cough. Am Fam Physician. 2011;84(8):887-92.
  6. ^ a b c d e f g h i j k 日本呼吸器学会 2012, Chapt.VI.
  7. ^ Publishing, Harvard Health. “No coughing matter”. Harvard Health. 2020年11月20日閲覧。
  8. ^ Publishing, Harvard Health. “Got a cold? Try some honey”. Harvard Health. 2020年11月3日閲覧。


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