共犯 共犯の本質

共犯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 03:54 UTC 版)

共犯の本質

共犯の本質が何であるかについては大きく分けて犯罪共同説と行為共同説が存在する。

犯罪共同説

共犯とは数人が共同して構成要件を完成させることであると考え、各人が構成要件該当行為を行うことを要求する。この説では「数人一罪」と捉える。

  • 完全犯罪共同説
    各行為者の主観面において同一の構成要件を実現しようとする意思を要求する見解である。例えば、AとBが共同実行の意思をもって甲に対して殴る蹴るの暴行を加えて死に至らしめた場合、Aが殺人の故意をもって行い、Bが傷害の故意をもって行っていれば共犯は不成立となる。
  • 部分的犯罪共同説
    各行為者の主観面が一致していなくても侵害された法益が一致する部分で共犯の成立を認める見解である。上記の例の場合、Aには殺人罪、Bには傷害致死罪が成立し、さらに、傷害致死罪の限度で共同正犯となる。また、窃盗を教唆したところ被教唆者が強盗を犯した場合のような共犯の過剰については、過剰結果については共犯成立を否定し、窃盗罪の範囲で教唆犯を認める。

行為共同説

共同正犯は、各行為者が個別に犯罪を遂行し、惹起された法益侵害結果について各自の主観により個別の犯罪が成立すると考える。この説では「数人数罪」と捉える。 数人の間に実行行為を共同する意思があり、その行為と因果関係を有する法益侵害結果があれば共犯が成立することとなる。

類似概念

共犯と似た概念に同時犯がある。共犯は各犯罪者が一つの犯罪を行うのに対し、同時犯は各犯罪者が(過失を含めて)意を通じることなく偶然同時に同じ犯罪をすることを指す。この場合は、一部実行全部責任とはならず、各人の犯した罪の限度でのみ処断される(どちらが犯したか不明の部分がある場合は、その部分は両者とも不可罰となる)。例外として同時傷害の特例がある。

真犯人の嘘の自供により共犯者にされた冤罪事件








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