共犯 共犯の処罰根拠

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共犯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 03:54 UTC 版)

共犯の処罰根拠

共犯がなぜ処罰されるのか、ということが盛んに論じられている(ここでいう共犯とは、狭義の共犯(すなわち教唆犯と幇助犯)を含むことが前提であるが、さらに共同正犯を含めるかについては争いがある。)。これを共犯の処罰根拠の問題という。共犯の処罰根拠についての学説の分類には争いがあるが、ここでは、代表的な五分説を説明する。もっとも、これはドイツにおける分類であり、必ずしも日本における学説状況とは対応しない。

責任共犯説(責任共犯論、堕落説)

共犯(特に教唆犯)は、(法益侵害への加功に加えて)正犯者を誘惑・堕落させたために処罰されるべきだ、という立場である。 現在では支持者は少ないが、伝統的な古典派はこれに近い見解を採っていた。極端従属形式に至る。

不法共犯説(不法共犯論、違法共犯論)

共犯は、正犯の不法(構成要件該当性+違法性)を惹起したために処罰されるべき、という立場である。違法論のバリエーションによってさまざまな説がここに分類される。例えば、(二元論を含む)行為無価値論からは行為無価値惹起説が採られたり、二元論からは(法益侵害も処罰根拠に含める)二重の不法内容の理論が唱えられたりする。結果無価値論ないし二元論から唱えられる修正惹起説(後述)もこの一種とされることもある。制限従属形式に至る。

惹起説(因果共犯論)

共犯が処罰されるのは、共犯自身が違法に法益侵害結果を惹起するからだ、とする見解。 この見解には、さらに純粋惹起説、修正惹起説、混合惹起説の3つがある。

  • 純粋惹起説(独立性志向惹起説)
    共犯自身が違法かつ有責に法益を侵害することが処罰根拠であるとして、正犯の構成要件該当性は不要とする(違法性は要求する見解が多い)。限縮的正犯概念を前提として正犯と共犯の区別を行為類型の差に求め、要素従属性が緩和されるだけでなく、正犯なき共犯をも認める(拡張的共犯概念)。また、共犯なき正犯も肯定する。日本では、関西系の結果無価値論者に支持者が多い。従来は共犯独立性説に立つ近代派(牧野英一ら)によって支持されていた。
  • 修正惹起説(従属性志向惹起説)
    違法の連帯性を前提として、共犯が正犯とともに法益侵害結果を惹起したことに処罰根拠を求める。共犯自身が違法かつ有責であるだけでなく、正犯が構成要件に該当し違法に法益侵害結果を惹起することを要求する。制限従属性を堅持するため、不法共犯論との差異はほとんどないと言われる。日本では、これを元に要素従属性を緩和する見解(「第三の惹起説」と呼ぶ論者もいる)が有力に唱えられている。正犯なき共犯も共犯なき正犯も否定する。
  • 混合惹起説
    違法の相対性を承認し、共犯が処罰されるのは正犯の構成要件該当性及び違法性を前提とした(制限従属性)共犯自身の違法性に基づくとする。現在最も有力な見解である。正犯なき共犯は否定し、共犯なき正犯は肯定する。







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