公務の執行を妨害する罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/12 01:47 UTC 版)
強制執行関係売却妨害罪
偽計又は威力を用いて、強制執行において行われ、又は行われるべき売却の公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の4)。本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。
なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となる(組織的犯罪処罰法3条)。
加重封印等破棄等罪
報酬を得、又は得させる目的で、人の債務に関して、第九十六条から前条までの罪を犯した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の5)。本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。
公契約関係競売等妨害罪
偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の6第1項)。2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、法定刑が2年以下の懲役又は250万円以下の罰金から3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科に引き上げられた。
談合罪
公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする(刑法96条の6第2項)。談合行為が詐欺罪を構成するか否かについては争いがあり、大審院がこれを消極に解したことを受けて(大判大正8年2月27日刑録25輯252頁)、昭和16年刑法改正により新設されたものである[4]。2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、法定刑が2年以下の懲役又は250万円以下の罰金から3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科に引き上げられた。
主体
本罪は必要的共犯である。公務の執行を妨害する危険のあるような談合であれば成立し、入札参加者の一部の者によって行われようと全部の者によって行われようと談合罪を構成する(判例[5])。
行為
本罪の「談合」とは、競売・入札の競争に加わる者が互いに通謀し、その中の特定の者を落札者ないし競落者たらしめるため、他の者は一定の価格以下または以上に入札または付値しないことを協定することである(判例[6])。本罪は抽象的危険犯であり、本罪が成立するためには公の競売または入札において公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で競争者が互に通謀してある特定の者をして契約者たらしめるため、他の者は一定の価格以下または以上に入札しないことを協定するだけで足りるのであり、現にその協定に従って行動したことを必要としない(判例[7])。
目的犯
本罪は公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的を要する目的犯である。
「公正な価格」とは、入札を離れて客観的に測定さるべき価格をいうのではなく、その入札において公正な自由競争が行われたならば成立したであろう落札価格をいう(判例[6])。
また、「不正な利益」とは競売・入札上の公正な価格を害することによって取得される利益をいう。談合による利益が社会通念上いわゆる「祝儀」の程度を越え不当に高額である場合でなければならない(判例[6])。
脚注
出典
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