二地域居住 二地域居住の概要

二地域居住

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/22 16:17 UTC 版)

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田舎で暮らす期間としては、年間「1~3か月連続」あるいは「毎月3日以上で通算一ヶ月以上」などがある。2005年国土交通省の研究会が提唱し、同省では国土計画の中に取り上げていきたい考えを示している。観光客などが一時的に滞在する観光等の「交流人口」と「定住人口」の中間的な考え方と位置づけられる。

概要

  • 人数
2005年の国土交通省の研究会報告によると、都市住民へのアンケートと将来推計人口をもとに「大胆な仮定」(同省発表文による)のもとで、二地域居住者は2005年で約100万人(都市人口比:2.5%)。2010年にはで約190万人(同4%)、2020年で約680万人(同17%)、2030年で約1080万人(同29%)となることを同研究会では見込んでいる。
  • パターン
季節居住(別荘避暑・避寒など)、週末居住、いわゆる「金帰月来」、夫婦別居、テレワークなどさまざまな形が考えられる。
このなかから、本格的に田舎暮らしに落ち着いたり、就農、地方での起業等に結びつく場合も考えられる。
  • 類似の概念
類似の考え方に基づくものとしては、リゾート開発構想はなやかなりし頃から「マルチハビテーション」(略してマルハビ、直訳すれば多地域居住)がアイデアとして提唱され総務省を中心に推進された。その後情報技術の進展とともに「テレワーク」等も提唱された(これもどちらかというと総務省主導)。総務省においては、現在、観光・交流の視点から、こうした概念を統合・再構築し「交流居住」として施策を展開している。
今回の「二地域居住」は、団塊の世代のリタイアに焦点を当てているのが特徴である。

半定住と二地域居住

用語としての「半定住」の端緒

用語としては「半定住」のほうが先とみられる。

2002年の国の懇談会において、森巖夫(明海大学教授)は「これからは『半定住』が重要である。半定住とは、仕事や生活の段階に応じて都市に住んだり、地方に住んだりすることである」と述べている。

地方自治体でも、「半定住」の促進を掲げる例が増えている(「定住」を政策として推進することを放棄したわけではない)。

  • 県レベル
富山県の「未来とやま戦略アクションプラン」(中間とりまとめ案、2006年4月26日)ではより具体的に、『ときどき(週末)富山県民』の掘り起こしとコーディネートとして、首都圏居住者が、週末や連休を富山県でスポーツなどの活動をする、「ときどき富山県民」へのアプローチに取り組む。(体験型半定住人口の掘り起こし)
同県では、2006年度の政策予算の資料で、半定住を「首都圏等と地方の両方に家を持つマルチハビテーション、長期滞在、週末毎などの反復滞在を指す。」と定義づけている。
  • 市町村レベル
鹿児島県加世田市の地域再生計画の中にも「交流人口・半定住人口の拡大と新たな雇用確保を図り…」と、交流人口と並んで半定住を取り上げられている。


二地域居住との相違

2004年度の国土交通省・農林水産省の「半定住人口による多自然居住地域支援の可能性に関する調査」では「半定住」ではなく、「二地域居住」という用語を前面に出している。同報告書で、「議論の過程で、当初の『半定住』という名称を『二地域居住』へと変更」したとある。報告書表紙もメインタイトルは「二地域居住」を掲げているが、調査事業名としては「半定住」を用いている。

同報告書では、二地域居住を「都市住民が年間で1ヶ月以上の中長期、あるいは定期的・反復的に、農山漁村等の同一地域に滞在する」と規定している。
さらに具体的に、次のように定義している。

二地域居住の定義:「二地域居住」とは、都市住民が、本人や家族のニーズ等に応じて、多様なライフスタイルを実現するための手段の一つとして、農山漁村等の同一地域において、中長期(1~3ヶ月程度)、定期的・反復的に滞在すること等により、当該地域社会と一定の関係を持ちつつ、都市の住居に加えた生活拠点を持つこと。
セカンドハウスは含むが、避暑・避寒は含まない。

なお、同調査における二地域居住人口の推計の前提として、ここでいう都市とは人口30万人以上の都市(特例市要件)を指す。

4つの人口へ

先の国土交通省の報告では、定住人口、交流人口、二地域居住に、さらにインターネット住民等の「情報交流人口」を加え、「4つの人口」と呼んでいる。

意義

先の国土交通省の研究会によると次のとおり。
  1. 都市住民は、「こころの時代」の多様なライフスタイルを農山漁村で創造することが可能。
  2. 都市生活では難しかったプライベートな書斎やアトリエ、音楽演奏室等の所有が実現。
  3. 農山漁村の側でも、一定規模の消費需要、住宅需要等を創出、地域コミュニティ活動や地域文化活動等の新たな担い手の増加。
  4. 様々なケア等の生活面や震災等の災害に対するセーフティー・ネット(安全網)の役割。



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