一様加群 一様加群の概要

一様加群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/05 15:28 UTC 版)

Alfred Goldie英語版 はユニフォーム加群の概念を加群の次元のはかりかたを構成するために使った。今では加群のユニフォーム次元 (uniform dimension)(あるいは Goldie 次元 (Goldie dimension) として知られている。ユニフォーム次元はベクトル空間の次元の概念の側面をすべてではないがいくつか一般化する。有限ユニフォーム次元はどの環が半単純環において右整環(right order)であるかを特徴づけるゴルディーの定理英語版を含むいくつかの定理のための鍵となる仮定だった。有限ユニフォーム次元の加群はアルティン加群ネーター加群の両方を一般化する。

文献によってはユニフォーム次元はまた単に加群の次元 (dimension of a module) あるいは加群のランク (rank of a module) とも呼ばれる。ユニフォーム次元はこれも Goldie によるが関連した概念である加群の被約ランク英語版と混同してはならない。

ユニフォーム加群の性質と例

ユニフォーム加群であることは通常直積や商加群で保存されない。2つの0でないユニフォーム加群の直和はつねに共通部分が0の2つの部分加群すなわち2つのもともとの成分加群を含む。N1N2 がユニフォーム加群 M の真の部分加群でありどちらの部分加群も他方を含まなければ、 はユニフォーム加群でない、なぜならば

単列加群英語版はユニフォーム加群であり、ユニフォーム加群は直既約である必要がある。任意の可換整域はユニフォーム環である、なぜならば ab が2つのイデアルの0でない元であれば、積 ab はイデアルの共通部分の0でない元であるからだ。

加群のユニフォーム次元

次の定理によって加群の次元をユニフォーム部分加群[1]を使って定義することができる。それはベクトル空間の定理の加群版である。

定理: UiVj が加群 M のユニフォーム部分加群の有限個の集まりの元であって がともに M本質部分加群であれば、n = m である。

加群 Mユニフォーム次元 (uniform dimension) は、u.dim(M) と表記されるが、次のようなとき n と定義される。ユニフォーム部分加群 Ui の有限集合が存在して M の本質部分加群である。先ほどの定理によってこの n が well defined であることが保証される。もし部分加群のそのような有限集合が存在しなければ、u.dim(M) は ∞ と定義される。環のユニフォーム次元を話すときには、u.dim(RR) と u.dim(RR) のどちらがはかられているのかを明確にする必要がある。環のユニフォーム次元が左右で異なることはあり得る(下記参照)。

NM の部分加群であれば、u.dim(N) ≤  u.dim(M) であり、等号が成立するのはちょうど NM本質部分加群であるときである。とくに、M とその移入包絡 E(M) はつねに同じユニフォーム次元をもつ。次のこともまた正しい。u.dim(M) = n であることと E(M) は n 個の直既約移入加群の直和であることは同値である。

u.dim(M) = ∞ と M が 0 でない部分加群の無限直和を含むことが同値であることを示すことができる。したがって M がネーターあるいはアルティンであれば、M のユニフォーム次元は有限である。M が有限の組成長 k をもてば、u.dim(M) ≤  k であり、等号成立はちょうど M半単純加群のときである(Lam 1999)。

標準的な結果は右ネーター整域は右オール整域英語版 (Ore domain) であるというものである。実は、この結果を Goldie による別の定理から導くことができる。その定理は、以下の3つの条件が整域 D に対して同値であるというものである。

  • D は右オール
  • u.dim(DD) = 1
  • u.dim(DD) < ∞

環のユニフォーム次元

R を関係 yx = y2 = 0 をもった元 xy で生成される Z-代数とすると、これは左ネーター環だが右ネーター環でない(ネーター環#例参照。)したがって上述の性質から u.dim RR < ∞ である一方、

であるから R は 0 でない部分右加群の無限直和を含み u.dim RR = ∞ である。


  1. ^ uniform submodule すなわち部分加群であってそれ自身がユニフォーム加群になっているようなものの意味。
  2. ^ 同じ結果は (Reiter 1981) と (Hanna & Shamsuddin 1984) においても見つけられる


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