ヴェルクマイスター音律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/04 19:24 UTC 版)
ヴェルクマイスターIV (VI): セプテナリウス調律
この音律はモノコードの長さの196()の部分への分割に基づいている。次に、様々な音が、その音高を生み出すために駒を196の部位のどこの置くべきかによって定義される。得られた音階は有理数の周波数関係を有するため、上述した無理数の調整値とは数学的に異なる。しかしながら、実際上は、どちらも純正と非純正に響く五度を含む。ヴェルクマイスターはまた、全長を147分割した音律も示している。これは単純に196分割音律の音程の移調である。ヴェルクマイスターはセプテナリウスを「コンマの分割を全く行わないが、にもかかわらず実際上は本当に満足できるほど正しい追加の音律」と記している。
これらの音律の明らかな問題はD(または移調版ではA)に与えられる値である。ヴェルクマイスターはこれを176として書いた。しかしながら、これは音楽的に悪い効果を生み出す。その理由は、五度G-Dは非常に(半コンマ以上)低くなり、三度B♭-Dは純正であるが、D-F♯は1コンマ以上高くなるためであり、これらは全て音律に関するヴェルクマイスターの著作物のその他の部分と矛盾する。モノコード分割の図において、数「176」は極端に右よりの位置に書かれている(175が書かれるべき位置)。したがって、176という数は175の間違いと考えられ、175を使うと音楽的にはるかに矛盾のない結果が得られる。両方の値を下の表に示している。
D=175を用いる音律では、五度C-G、G-D、D-A、B-F♯、F♯-C♯、B♭-Fは純正よりも狭く調整されるのに対して、五度G♯-D♯は広く調整される。その他の五度は純正である。
音 | モノコード長 | 厳密な周波数関係 | 値(単位: セント) |
---|---|---|---|
C | 196 | 1/1 | 0 |
C♯ | 186 | 98/93 | 91 |
D | 176(175) | 49/44(28/25) | 186(196) |
D♯ | 165 | 196/165 | 298 |
E | 156 | 49/39 | 395 |
F | 147 | 4/3 | 498 |
F♯ | 139 | 196/139 | 595 |
G | 131 | 196/131 | 698 |
G♯ | 124 | 49/31 | 793 |
A | 117 | 196/117 | 893 |
B♭ | 110 | 98/55 | 1000 |
B | 104 | 49/26 | 1097 |
- ^ Andreas Werckmeister: Orgel-Probe (Frankfurt & Leipzig 1681), excerpts in Mark Lindley, "Stimmung und Temperatur", in Hören, messen und rechnen in der frühen Neuzeit pp. 109–331, Frieder Zaminer (ed.), vol. 6 of Geschichte der Musiktheorie, Wissenschaftliche Buchgesellschaft (Darmstadt 1987).
- ^ A. Werckmeister: Musicae mathematicae hodegus curiosus oder Richtiger Musicalischer Weg-Weiser (Quedlinburg 1686, Frankfurt & Leipzig 1687) ISBN 3-487-04080-8
- ^ A. Werckmeister: Musicalische Temperatur (Quedlinburg 1691), reprint edited by Rudolf Rasch ISBN 90-70907-02-X
- 1 ヴェルクマイスター音律とは
- 2 ヴェルクマイスター音律の概要
- 3 ヴェルクマイスターIII (V): 追加のテンペラメント、1/4コンマ分割
- 4 ヴェルクマイスターIV (VI): セプテナリウス調律
- 5 外部リンク
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