リース (紋章学) リース (紋章学)の概要

リース (紋章学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/01 07:04 UTC 版)

モットー (スコットランド)
画像ファイル(環境により文字がずれることもあります)

解説

リース(トルス)

リースは一緒に捻られた一対のリボンから成り、それぞれのリボンは、マントと同様にエスカッシャンの主要な色である原色と金属色のティンクチャー、すなわちリヴァリース(仕着せ色)の色に着色される。一般にリースはマントで使われる色と同じ組み合わせの2色で表される。

カナダオンタリオ州の紋章。ヘルメットが省略されている。

普通、リースはヘルメットの上に置かれるが、地方自治体都市の紋章ではヘルメットが省略され、エスカッシャンからわずかに離れた場所に直接リースを置き、その上にクレストを描くことがある[2]。また、アメリカ陸軍の各連隊に与えられている紋章はすべてと言ってよいほどヘルメットとマントが省略されている形式を採っている[3]。また、貴族以下の階級の者の紋章には必ずリースがあるが、国王皇太子の紋章にはリースがなく、女性や聖職者の紋章にもない[2]

リースは、クレストの一部として、 On a wreath of the colours x and y... という書式で記述され、 x と y にはそれぞれ金属色と原色のティンクチャーの名称を記述する。例えば、カナダの国章のリースは、 On a wreath of the colours Argent and Gules, a lion passant guardant Or と記述されている[4]

リースは、時折、十字軍に参加した騎士が戦争に出発する際に彼の敬愛する女性が形見として騎士に渡した一種のハンカチーフであることもあり、騎士はこれをヘルメットにクレストが取り付けられた接点を覆い隠すようにヘルメットの頂部に巻きつけたとされるが、これは専門家によって疑問視されている。ヘルメットとクレストの接点を覆う役割は事実と考えられるが、ハンカチーフをリースのように捻じって使用するのには構造上無理があるのではないかという観点からである。[5]

紋章に描かれる様々な動物の装飾として、冠のように動物の頭上に、又は首輪のように首のあたりにリースがしばしば使われる。イングランド北西部にかつて存在したボルトン自治郡の紋章では、左右のライオンのサポーターが首にセーブルアージェントのリースを巻きつけている[6]

参考文献

  • 森護 (1996年8月23日). ヨーロッパの紋章 ―紋章学入門― シリーズ 紋章の世界 I (初版 ed.). 東京都渋谷区: 河出書房新社. ISBN 4-309-22294-3 
  • 森護 (1998年5月10日). 紋章学辞典 (初版 ed.). 東京都千代田区: 大修館書店. ISBN 4-469-01259-9 
  • Author Charles Fox-Davies (1909). A Complete Guide to Heraldry

関連項目


[脚注の使い方]
  1. ^ a b 森護. 紋章学辞典 (初版 ed.). pp. p.244 
  2. ^ a b 森護. ヨーロッパの紋章 ―紋章学入門― シリーズ 紋章の世界 I (初版 ed.). pp. p.52 
  3. ^ commons:Category:US Army Infantry Regimental Coats Of Arms
  4. ^ Coat of Arms of Canada” (英語). Royal Heraldry Society of Canada. Royal Heraldry Society of Canada. 2010年3月27日閲覧。
  5. ^ A Complete Guide to Heraldry. T. C. & E. C. JACK. (1909). pp. 402-403 
  6. ^ Coat of Arms” (英語). Bolton, UK. 2010年3月27日閲覧。


「リース (紋章学)」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リース (紋章学)」の関連用語

リース (紋章学)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リース (紋章学)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリース (紋章学) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS