ムブティ族 ムブティ族の概要

ムブティ族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/02 17:47 UTC 版)

ムブティ
1930年、ムブティ族と探検家のオサ・ジョンソン
(3~5万人?)
居住地域
コンゴ民主共和国
言語
エフェ語、アソア語、カンゴ語
宗教
ムブティ神話
関連する民族
バカ族

区分

以下の3つの特徴的な集団がある。

  1. エフェ族は近隣のスーダン系民族の言語、レセ語(Lese)を話す。
  2. スア・カンゴ・ムブティ族は近隣のバントゥー系民族言語、ビラ語の方言を話す。
  3. アスア族はムブティ族の中では唯一独自の言語を持つ民族であり、アスア語は近くのスーダン系言語のマングベツ語(Mangbetu)にとても似ている。

ムブティという言葉は、イトゥリの森の中央に住む一民族だけでなくイトゥリ地方に住む全てのピグミーを表すように用いられて来たので紛らわしい。[1]紀元前2500年頃に古代エジプトが「森の民」と呼んだ人々がムブティ族だったという説がある。

環境

コンゴ民主共和国内のイトゥリ熱帯雨林の位置

イトゥリ熱帯雨林地方では毎年127~180cmの多くの雨が降る。[1]乾季は比較的短く、1~2ヶ月である。[1]この森は点在する川や湖の為に湿った地域である。ムブティ族に影響を与える生態学的要因が幾つかある。例えば病気は森では多く発生し素早く広まり、人間だけでなく植物や動物、主要食糧源も同様に殺し破壊する。ツェツェ蠅が媒介するアフリカ睡眠病は大型哺乳類に限られる。[2]雨が多すぎる事で、洪水も同様に食料供給を脅かす。

家と組織

ムブティ族は村に住み、家族で一緒に家に住む。乾季の始まりに彼らは村を出て森に入り野営を始める。[2]こうしてムブティ族はより多くの森で資源を集める事が出来る。この村人達は他の集団とは分かれている。彼らの家は小さく円形で短期的な物である。家の建築は地面に家の枠を描く事から始まる。[1]家の壁は強く地面に突き立てた棒であり上部を蔓で結ぶ。[1]屋根は大きな葉で作られる。

食料と資源

ムブティ族は原則的に狩猟採集社会である。彼らは蟹や貝、蟻、幼虫、蝸牛、豚、羚羊、猿、魚、蜂蜜、豆科植物、ピーナッツ、ハイビスカス、アマランサス、瓜科植物等を食べる。野菜はヤム芋や液果、果物、根、葉、コーラナッツを食べる。[2]狩りでは特に森猪を狙う事が知られている。森猪から得られる肉は鼠の肉と同様に「クウェリ」、即ち食べた者に病気を齎す悪い肉と考えられている。[1]しかしそれらは農業を行うバントゥー族の集団との交易では貴重な商品である。森猪を「クウェリ」と定義する伝承もあり、理由は夜行性である事やムブティ族が作った農産物を好んで食べる為である。[2]この伝承はムブティ神話と繋がり、森猪が「ネゴーグノグンバー」の物理的兆候と考えられている。更に、森猪がムブティ族の乳児を夜に食べていたという不確かな報告もある。他の森で得られる食料は「クウェリ」でない。[2][1][2]ムブティ族は狩りに網や罠、弓矢を用いる。女性や子供達も時には獲物を網に追い込む手伝いをする。男女共食料採集を行う。それぞれの村が固有の狩場を持っているが、境界を維持するのは難しい。[1]

交易

バントゥー族の村人とムブティ族は多くの商品を交易で入手する。時には鉄の道具、壺、木製商品、籠を肉や動物の皮、森で取れる物と交換する。[1]野生動物の肉は特に交換される商品である。仲介人を通して村人と農作物を交換する事もある。[1]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Mukenge, Tshilemalea (2002). Culture and Customs of the Congo. Westport, Connecticut: Greenwood Press 
  2. ^ a b c d e Turnbull, Colin M. (1968). The Forest People. New York, Simon and Schuster, Inc 
  3. ^ 山内昶 『タブーの謎を解く―食と性の文化学』(筑摩書房ちくま新書〉、1996年) 55ページ ISBN 4-480-05691-2
  4. ^ “NGO: Soldiers raping pygmies” (英語). フランス通信社. 24.com. (2009年5月10日). http://www.news24.com/Africa/News/NGO-Soldiers-raping-pygmies-20090509 2011年10月6日閲覧。 
  5. ^ Evanzz, Karl (1999). The Messenger: The rise and fall of Elijah Muhammad. New York: Pantheon Books. ISBN 0-679-44260-X 


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