ムブティ族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/02 17:47 UTC 版)
労働
狩りは男性、女性、子供達が協力して行う。女性と子供達は弓矢を使う狩りには参加しないが、網を使う狩りには参加する。女性の方が網で男性よりも多くの獲物を捕らえる事もある。男性が網を守る横で、女性と子供達は動物を網に追い込む。皆が採集に参加し、男女共に子供達の安全を気にする。女性は料理や掃除、家の修復、水の獲得に責任を持つ。親類を基準にした組織は食料を得る為に協力し若者を養う。男性にとって蜂蜜を取るために女性を木に持ち上げる事は容易である。
親族関係と血統の仕組み
ムブティ族は父系制の血統の仕組みを持ち、結婚後は夫の家族と共に暮らす。しかし、この仕組みは緩くなって来ている。現在ムブティ族に見られる家族形態は核家族のみである。[1]親戚同士での助け合いも多い。
結婚習慣
姉妹交換は一般的な結婚の形である。[1]相互交換に基づいて、他の村から来た男性は姉妹や他の女性も一緒に連れてくる。[1]ムブティ族の社会では結婚料金は習慣にはなっていない。非公式な結婚式は、花婿が花嫁の家族に自分だけで狩って殺した羚羊を送る。 複婚も行われるが、集団によって割合は異なり、一般的な事でもない。山内昶によれば、ムブティ族では母親が息子と親子婚をすることが文化的に容認されていたとされる[3]。ムブティ族の男性が、超自然的な力が齎されるとの話から軍隊の兵士によるメイル・レイプの標的にされている模様という報告がある[4]。
政治構造
ムブティ族の社会は支配する集団や血統を持たず、政治組織は存在せず、小さな社会構造があるだけである。ムブティ族は平等主義の社会で、村が最高の社会組織である。[1]狩猟遠征の際に先導者が現れる事もある。[1]基本的に男女平等である。問題や決定は火の周りの会議で議論され、この際男女平等に議論に参加する。[1]違反や微罪、暴力があれば、違反者は殴られたり軽蔑される事で罰される。近年では違反者は森から追い出され個人地主の元で薄給、もしくは無給で働かされる。[1]
宗教
- ムブティ神話を参照。
ムブティ族の生活の全ては森を中心に行われる。彼らは森は偉大な守護者であり、供給者であり、聖地であると考えている。彼らは時に森を「父」や「母」と呼ぶ。ムブティ族の生活に影響を与える重要な儀式は「モリモ」とあらわされる。族の主要人物の死等の出来事の後には、「モリモ」は森を揺らす程に騒々しく行われる。これは何か悪い事が子供達に起きたらそれは森が寝ているせいだと考える為である。[1]多くのムブティ族の儀式の中で、「モリモ」を完了する時間は厳格に定められているわけではなく、集団の雰囲気によって決められる。各家庭から「モリモ」に捧げる食料が集められ、夜には男性が炎の周りで踊り歌う。女性と子供達は扉を閉めて家の中にいなければならない。これらの習慣はイギリス人考古学者のコリン・ターンブルによって研究された。「モリモ」は儀式の間に男性が吹くトランペットの名前でもある。伝統的にこれは木や竹で作られるが、ターンブルは金属の筒で作った物もあったと報告している。「モリモ」が奏でる音は材料そのものよりも重要と考えられている。使わない時は、トランペットは森の木に保存される。儀式の間、トランペットは村の若者が火に投げ入れる。[1]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Mukenge, Tshilemalea (2002). Culture and Customs of the Congo. Westport, Connecticut: Greenwood Press
- ^ a b c d e Turnbull, Colin M. (1968). The Forest People. New York, Simon and Schuster, Inc
- ^ 山内昶 『タブーの謎を解く―食と性の文化学』(筑摩書房〈ちくま新書〉、1996年) 55ページ ISBN 4-480-05691-2
- ^ “NGO: Soldiers raping pygmies” (英語). フランス通信社. 24.com. (2009年5月10日) 2011年10月6日閲覧。
- ^ Evanzz, Karl (1999). The Messenger: The rise and fall of Elijah Muhammad. New York: Pantheon Books. ISBN 0-679-44260-X
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