ミズスギ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/09/08 00:59 UTC 版)
分類
ヒカゲノカズラ科の大部分をヒカゲノカズラ属にまとめるのが比較的伝統的な扱いで、その立場では本種はヒカゲノカズラ属に含まれる。その場合の学名は Licopodium cernuum で、記載時はこれであった。しかし、細分する立場からミズスギ属を立てる説もあり、その場合は Palhinhaea cerunuum である[9]。ここではYListに従ってヤチスギラン属としてある[10]。
広域分布種であるので、地域による変異は多く見られ、名前の与えられたもの多いが、その範囲等は明確でない[11]。
類似種など
ヒカゲノカズラ科に属するもので地上を這うタイプの中で、日本産では胞子嚢穂を下向けに出すものは他にない。
一見ではヒカゲノカズラは比較的似ている。もちろん胞子嚢穂付近の形態ははっきり異なるが、栄養体においても本種の方が淡緑色で軟らかく、繊細で『女性的』な印象がある。また、地上茎が倒れて先端で着根し、新たな芽を出すことはあるが、ヒカゲノカズラのように長く地上を横に這うことはない[12]。
利害
特に害はない。生け花材料とすることがある[13]。
保護の状況
環境省のレッドリストには特に取り上げられていない。都道府県別では、分布北限域での指定が目立ち、特に岩手県、秋田県、千葉県、神奈川県、長野県、石川県で絶滅危惧I類に指定されている[14]。これらの北部地域では温泉や火山に関わる噴気孔周辺に生育しているもののようで、その活動などの状況如何が絶滅につながる。
参考文献
- 岩槻邦男編、『日本の野生植物 シダ』、(1992)、平凡社
- 牧野富太郎、『牧野 新日本植物圖鑑』、(1961)、図鑑の北隆館
- 田川基二、『原色日本羊歯植物図鑑』、(1959)、保育社
- 高宮正之、「ヒカゲノカズラ科」:『朝日百科 植物の世界 12』、(1997)、朝日新聞社:p.89-92
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