マクシミリアン・ジーナス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 15:00 UTC 版)
制作・備考
制作
『超時空要塞マクロス』の原型となった企画において、1981年4月に発案された敵異星人の「天才少女」にスパイをさせる動機として、地球人に恋をさせることになり、その相手に「主人公=最高といった画一的な概念を破れる」ということで味方側に主人公を上回る「天才少年」が設定された[19]。同年9月には「天才少年」と「天才少女」の結婚式を放送するというエピソードも作られた[19]。初期のキャラクターデザイン案は陰湿なイメージの顔立ちだったために採用されず、敵キャラクターであるカムジン・クラヴシェラに転用された[要出典]。
命名の由来
第一次世界大戦中、ドイツ軍は戦績優秀なパイロットにプール・ル・メリット勲章を授けた。マックス・インメルマン、マンフレート・フォン・リヒトホーフェンなどの撃墜王が受章し、勲章の色とインメルマンの名から通称「ブルー・マックス」と呼ばれた。マクシミリアン(マックス)の名と機体パーソナルカラーの青は、この勲章をもとに制作スタッフが設定した[要出典]。ジーナス(Jenius)は英語の「天才(genius)」から来ている[要出典]。
『マクロス7』におけるデザイン
『マクロス7』では、50歳という設定ながら実年齢とはかけ離れた若々しい姿で描かれている。キャラクター原案の美樹本晴彦は、現実世界においても実年齢と外見のかけ離れた人は多くおり、マックスの性格上、老けた姿で二枚目を気取るよりは若々しいままでよいのではないかと考えてデザインしたと語っている[3]。若々しい理由としては「天才だから」とコメントし、凡人とは異なった緊張感の中で生きているために若さを保つことができているのではないかという「こじつけ」で描いたとしている[20]。美樹本によるデザイン画にもマックスの台詞として、老けるということを「凡人の発想[21]」だという記述がある。
『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』への登場
もともと『マクロスΔ』および、劇場版前編『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』には、主人公たちが所属するケイオス・ラグナ支部の艦「マクロス・エリシオン」の艦長であるアーネスト・ジョンソンというキャラクターが存在するが、『マクロスΔ』シリーズの脚本を手掛ける根元歳三によると「アーネスト艦長は登場できなくなってしまいましたので……[22]」、監督の河森正治によると「前作でマクロス・エリシオンが動けない状態になってしまったので[23]」[注 6]ということで物語に絡む登場はしなくなり、河森がそれに代わる艦長役としてマックスを出すことを提案したという[22]。マックスを選んだ理由について河森は、続編ということで味方側にも変化をつけたいと思い、かつ新鮮さを求めながらも、完全な新キャラクターでは限られた時間内での説明が困難であること[25]、艦長の経験やミラージュとの関係があるため不自然に感じられないことを挙げている[23]。根元もミラージュのドラマを描けるということもあって決定したと述べており[22]、マックスの登場により「必然的に、ミラージュが動きやすくなった」と語っている[26]。
『絶対LIVE!!!!!!』にマックスが登場することは2021年9月18日に解禁された本予告で公表された[9]。製作会社ビックウエストの畠中雄一によると、それ以前の特報で青いマクロス・ギガシオンを出したところ、即座にマックスを登場させることが見抜かれたために隠しとおすことはあきらめ、予告映像にYF-29を出し、速水をナレーションに起用するなど、マックスを前面に押し出す宣伝を展開することになったという[6]。速水は情報が解禁された当時「マックス悪役説が流れた」と語っている[4]。
『絶対LIVE!!!!!!』でマックスのキャラクターデザインを担当したのは、『マクロスF』や『マクロスΔ』で作画監督を務めた経験のあるアニメーターの丸藤広貴である[27]。デザインにあたって丸藤は河森から「天才いぶし銀」という注文を受けたといい、苦労した点として「パイロットスーツ一式のデザイン」を挙げている[27]。
畠中は、『絶対LIVE!!!!!!』におけるマックスの戦い方は主人公のハヤテと明確に変えられており、若いハヤテが激しく動いて弾切れを起こすほど撃つのに対し、マックスは無駄弾を撃たず、「相手を未来予測で誘導して一撃で倒す」という描写になっていると語っている[6]。
物語終盤でマックスが発する「ただの天才だ」という台詞は、根元によればもともと脚本には存在せず、河森が付け加えたものであるという[26]。
速水奨との関係
演じる速水にとっては初めてオーディションで獲得したのがマックス役であり、その後のキャリアに欠かせない存在として、自身はマックスのことを「名刺」だと語っている[10]。『マクロス7』などの作品でも歳を重ねた姿の役を続けて演じており、その後も『絶対LIVE!!!!!!』での出演が叶うまで、河森に出演を嘆願していたという[10]。『絶対LIVE!!!!!!』出演以降は、自身の代表作に必ずマックス役を挙げるようにしたと発言している[6]。
2023年1月4日にテレビ朝日系列で放送された特別番組『Z世代声優が選ぶ!昭和アニメのスゴい声優50人はこれだ!SP』で声優50人のひとりに選出された速水はマックス役について回顧し、「演じてるというよりも喋ってる感覚。天才っていう存在がリアルに把握できないので、あまり演技プランとかも無かった」と語った[28]。
注釈
- ^ a b 『超時空要塞マクロス』第11話までは「大浜靖」名義。第12話エンディングではマックス役の表示がなく、第13話より「速水奨」名義で表示。
- ^ BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』の映像特典「みらーじゅ日記 マックスおじいさま」では、ミラージュが「72歳ですか」と言う場面がある。
- ^ a b 分冊百科『マクロス・クロニクル』には、『マクロス VF-X2』の登場人物「マリアフォキナ・バンローズ」の本名が「テレーズ・マリアフォキナ・フォミュラ・ジーナス」と「囁かれ」ると記述されている[7]。同記事ではこれがジーナス夫妻の四女テレーズと同一人物であるとは述べられていない。
- ^ 結婚後、ミリアは複合姓の「ミリア・ファリーナ・ジーナス」となり、『超時空要塞マクロス』第30話「ビバ・マリア」では結婚後のマックスも「マクシミリアン・ファリーナ・ジーナス」と紹介されるが、後継作品ではマックスが複合姓で呼ばれることはない。
- ^ 『マクロス7』で運転する自家用車や、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』で艦長を務めるマクロス・ギガシオンも、自身の専用機と同じく青色である。
- ^ アーネストを演じた石塚運昇は『激情のワルキューレ』公開後の2018年8月13日に死去しているが[24]、これらのインタビューやコメントにおいては、アーネストが出ない理由としてこのことへの言及はされていない。
- ^ 作品別では『超時空要塞マクロス』のマックスが第21位、『マクロス7』のマックスが第40位、『愛・おぼえていますか』のマックスが第47位。
- ^ うち女性票に限った結果では第5位[37]。
- ^ 「ロボテック・シリーズ」においては『機甲創世記モスピーダ』に登場する同機種の型式番号と名称が上記のとおり変更されている。
出典
- ^ a b c d e f g 『マクロスグラフィティ』秋田書店、1983年、27頁。
- ^ a b 『THIS IS ANIMATION Special マクロス7』小学館、1995年、26頁。
- ^ a b c 「スタッフ・インタビュー5 キャラクター原案 美樹本晴彦」『THIS IS ANIMATION Special マクロス7』小学館、1995年、58頁。
- ^ a b “大ヒット御礼『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!/同時上映 劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』10月23日(土)舞台挨拶レポート”. MACROSS PORTAL SITE (2021年10月26日). 2021年10月29日閲覧。
- ^ BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』ブックレット、バンダイナムコフィルムワークス、2022年、32頁。
- ^ a b c d BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』オーディオコメンタリー第2部、バンダイナムコフィルムワークス、2022年。
- ^ 「用語辞典 【マリア・ベラスケス・ホイリー】〜【ミリア・ファリーナ・ジーナス】」『マクロス・クロニクル No.46』、ウィーヴ、2010年、29頁。
- ^ a b c 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』パンフレット、ビックウエスト、2021年、22頁。
- ^ a b c “『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』(同時上映『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』)2021年10月8日(金)公開決定! 本予告も解禁”. アニメイトタイムズ. アニメイト (2021年9月18日). 2021年10月16日閲覧。
- ^ a b c d “「マクロス」が人生を変えた―マックス役・速水奨&フレイア役・鈴木みのりに訊く、2人にとっての「マクロス」とは【『劇場版マクロスΔ』インタビュー】”. アニメ!アニメ!. イード (2021年10月5日). 2021年10月16日閲覧。
- ^ 『週刊ファミ通 No.1233』エンターブレイン、2012年、181頁。
- ^ 河森正治「マクロス年表」『マクロス・パーフェクト・メモリー』みのり書房、1983年、55頁。
- ^ a b c d e 「短期集中連載第3回 Dr.チバの、とってもくわしい! マクロス世界史講座」『アニメージュ』1996年1月号、徳間書店、1995年、56頁。
- ^ 『THIS IS ANIMATION Special マクロスプラス』小学館、1995年、70頁。
- ^ 河森正治・千葉昌宏「MACROSS HISTORY」『マクロスプラス MOVIE EDITION』『マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!』パンフレット、ビックウエスト、1995年。
- ^ 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』パンフレット、ビックウエスト、2021年、26頁。
- ^ a b “『マクロス』トークショーに、ジーナス家や歌姫が時空を超えて集結! マックスとミリアが孫と対面!?【AnimeJapan 2016】”. ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage (2016年3月26日). 2023年10月22日閲覧。
- ^ 「グッズシート 08 イベント マクロス クロスオーバーライブ30」『週刊 マクロス・クロニクル 新訂版 No.70』デアゴスティーニ・ジャパン、2014年、31 - 32頁。
- ^ a b 河森正治「ルーツ・オブ マクロス」『マクロス・パーフェクト・メモリー』みのり書房、1983年、234頁。
- ^ 『アニメージュ』1994年10月号、徳間書店、24頁。
- ^ 『THIS IS ANIMATION Special マクロス7』83頁。
- ^ a b c 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』パンフレット、ビックウエスト、2021年、29頁。
- ^ a b BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』ブックレット、バンダイナムコフィルムワークス、2022年、7頁。
- ^ “声優・石塚運昇さん死去 68歳 「ポケモン」オーキド博士役など”. ORICON NEWS. オリコン (2018年8月17日). 2021年11月28日閲覧。
- ^ “『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』Blu-ray&DVD発売記念 河森正治(監督)×鈴木みのり(フレイア・ヴィオン役) スペシャルインタビュー”. V-STORAGE. バンダイナムコフィルムワークス (2022年10月6日). 2023年5月7日閲覧。
- ^ a b “『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! (同時上映)劇場短編マクロスF ~時の迷宮~ 絶対ネタバレ舞台挨拶』11月13日(土)舞台挨拶レポート”. MACROSS PORTAL SITE (2021年11月21日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ a b BD/DVD『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! / 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜 特装限定版』ブックレット、バンダイナムコフィルムワークス、2022年、33頁。
- ^ “Z世代声優が選ぶ!昭和アニメのスゴい声優50人はこれだ!SP 2023/01/04(水)18:30 の放送内容 ページ2”. TVでた蔵. ワイヤーアクション (2023年1月4日). 2023年6月18日閲覧。
- ^ “第6回アニメグランプリ [1984年6月号]”. 月刊アニメージュ【公式サイト】. 徳間書店. 2010年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月7日閲覧。
- ^ 「バルキリー・ベスト・ファイブ」『マクロスグラフィティ』秋田書店、1983年、68頁。
- ^ 『マクロスグラフィティ』秋田書店、1983年、87頁。
- ^ “投票結果”. 全マクロス大投票. 日本放送協会. 2023年6月18日閲覧。
- ^ “【超時空要塞マクロス】好きな「初代マクロスの統合軍」のキャラクターランキングTOP15! 1位は「ロイ・フォッカー」【2021年投票結果】(7/7)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2021年11月26日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ “【超時空要塞マクロス】初代マクロスの統合軍で好きなキャラクターランキングTOP15! 第1位は「ロイ・フォッカー」に決定!【2022年最新投票結果】(5/5)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2022年12月17日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ “【超時空要塞マクロス】初代「マクロス」の統合軍で好きなキャラクターランキングTOP16! 第1位は「ロイ・フォッカー」【2023年最新投票結果】(5/5)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2023年12月18日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ “声優「速水奨」が演じたテレビアニメキャラ人気ランキングTOP28! 第1位は「マクシミリアン・ジーナス『超時空要塞マクロス』」【2024年最新投票結果】(1/6)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2024年3月30日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ “【女性が選ぶ】声優「速水奨」が演じたテレビアニメキャラ人気ランキングTOP29! 第1位は「フェルディナンド(本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません)」【2024年最新投票結果】(7/7)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア (2024年3月22日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ a b c d 『超時空要塞マクロス』第8話「ロンゲスト・バースデー」。
- ^ 『超時空要塞マクロス』第18話「パイン・サラダ」。
- ^ 『超時空要塞マクロス』第20話「パラダイス・ロスト」。
- ^ 『超時空要塞マクロス』第25話「バージン・ロード」。
- ^ 『超時空要塞マクロス』第24話「グッバイ・ガール」。
- ^ a b 『超時空要塞マクロス』第30話「ビバ・マリア」。
- ^ 『超時空要塞マクロス』第19話「バースト・ポイント」。
- ^ VHS/LD/DVD『マクロス7 9』映像特典「マクロス7ぷらす グババの惑星」。
- ^ 『マクロス7』第35話「ふたりだけの夜」。
- ^ 『マクロス7』第16話「戦場のオルゴール」。
- ^ 『マクロス7』第26話「惑星ラクスの死闘」。
- ^ 『マクロス7』第38話「禁断惑星のシビル」。
- ^ 『マクロス7』第44話「悪夢の突入作戦」。
- ^ 『マクロス7』第49話「銀河に響く歌声」。
- ^ 美樹本晴彦「4th; TRASH[MINMAY VOICE]」、角川コミックス・エース『マクロス7 トラッシュ vol.1』角川書店、1995年、143頁。
- ^ 美樹本晴彦「17th; TRASH[因果]」、角川コミックス・エース『マクロス7 トラッシュ vol.3』角川書店、1996年、165 - 168頁。
- ^ 美樹本晴彦「28th; TRASH[告白]」、角川コミックス・エース『マクロス7 トラッシュ vol.5』角川書店、1997年、160頁。
- ^ 小太刀右京『劇場版マクロスF(下) サヨナラノツバサ』角川書店、2011年、270頁。
固有名詞の分類
架空の軍人 |
ジャック・クラウザー ロイ・キャンベル マクシミリアン・ジーナス アレクサンドル・ビュコック パウル・フォン・オーベルシュタイン |
マクロスシリーズの登場人物 |
ブリタイ・クリダニク シェリル・ノーム マクシミリアン・ジーナス 早瀬未沙 ランカ・リー |
- マクシミリアン・ジーナスのページへのリンク