ボールドウィン・ストリート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/16 15:56 UTC 版)
地理
ボールドウィン・ストリートは、ダニーデン市の中心部から3.5km東北、ノース・イースト・バレー (North East Valley) 地区にある。地区の幹線であるノースロードから東南方向に分かれる全長350mの直線道路で、シグナル・ヒル (Signal Hill, New Zealand) 上のオポホ地区 (Opoho) 方面へ向かって上っている。
ノースロードに接続する麓側は比較的緩やかであるが、半ばを過ぎたあたりからの頂上側161.2m区間で高低差47.22mの急坂になっている。最大勾配は35%(傾斜角19°)、1:2.86(2.86m進むごとに高さが1m上がる割合)。この最大勾配区間が実に70.6mにわたって続くのがボールドウィン・ストリートの特色である。街路全体でも、ノースロードから分岐する海抜30mの地点から頂上の海抜100m地点まで高低差が70mあり、平均勾配は20%を超えている[1]。
ボールドウィン・ストリートの麓側はアスファルトで舗装されているが、頂上側はコンクリート舗装となっている。これは維持管理の都合によるもので、アスファルトでは気温が高い日にタールが急傾斜によって流れてしまうためである。また、冬季の安全性を確保するためでもある。
末端(頂上)は一見クルドサック(袋小路)状になっているが、ブキャナン・ストリートと呼ばれる細い道と交差した丁字路になっている。ボールドウィン・ストリートと並行するコルダー・アベニューとアーノルド・ストリートの末端からはさらに上に未舗装の小道が続いており、ブキャナン・ストリートはこれらの上部を結んでいる。
歴史
ニュージーランドの道路の多くは、実際の地形を考慮せず、地図上で格子状に引かれた。ボールドウィン・ストリートを含むダニーデンの多くの道路も多分に漏れず、19世紀後半にチャールズ・ケトル (Charles Kettle) によって設計された。
街路の名は、この土地を住宅地として分譲したウィリアム・ボールドウィン(William Baldwin)にちなんでいる。ウィリアム・ボールドウィンは、オタゴの州議会議員を務め、新聞社の創設者でもあった。
ボールドウィン・ストリートと平行に引かれた、1本北のアーノルド・ストリート(Arnold Street、1:3.6)、1本南のコルダー・アベニュー(Calder Avenue、1:5.4)、2本南のダルメニー・ストリート(Dalmeny Street、1:3.7)は、いずれも急勾配の道路である。
「世界一急な街路」
ギネスブックに最初に掲載されたとき、この道の傾斜のデータには重大な誤記があった。最大傾斜を 1:1.266 (79%、38°)としていたのである。あまりに異様な数値のためにボールドウィン・ストリートは有名になった。「1:2.66と記そうとして誤った」「38%と38°を誤った」などと諸説が取りざたされている。修正されたギネスブックの認定値は1:2.86(35%、19°)であるが、誤記が判明したのち、「世界一急な街路」の座をめぐるいくらかの論争も引き起こすことにもなった。2019年6月6日の計測の結果、ウェールズのフォルズ・ペン・スレフの勾配がボールドウィン・ストリートをしのぐ37.45%であることが確認され、同年7月16日にギネス世界記録が更新された[2][3]。
「急な街路」として知られるものには以下のようなものがある。
- 米国ピッツバーグのカントン・アベニュー (Canton Avenue) は最大勾配37%[4][5] 。最大勾配区間は6.5mほどである。
- 米国ロサンゼルス市内には32%を超える坂が3本ある。サンペドロの28番街の最大勾配は33.3%である[6]。
- 米国サンフランシスコのフィルバート・ストリート (Filbert Street (San Francisco)) と22番街の最大勾配は31.5%(17°)[7]。
- ^ a b Hamel, A. (2008) Dunedin tracks and trails. Dunedin: Silver Peaks Press. pp. 2.08-09
- ^ 「世界で「最も急な坂道」、英ウェールズでギネス認定」『ロイター通信』、2019年7月17日。2023年2月17日閲覧。
- ^ 「世界一「急な通り」に認定 英ウェールズの住民、NZの名所から記録奪う」『BBC NEWS JAPAN』、2019年7月16日。2023年2月17日閲覧。
- ^ Bob Batz, Jr. (2005年1月30日). “Here: In Beechview”. Pittsburgh Post-Gazette 2007年8月11日閲覧。
- ^ “Pittsburgh Hills”. Western Pennsylvania Wheelmen. 2007年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年8月11日閲覧。
- ^ Getting the Slant on L.A.'s Steepest Street - Los Angeles Times, Thursday 21 August 2003
- ^ Baldwin St steeped in controversy (pdf) - Otago Experience (Dunedin City Council newsletter), Issue 3, March 2003, page 5
- ^ “Pupil wins gutbuster for third year in a row”. Otago Daily Times. (1993年2月17日). pp. 3
- ^ McNeilly, Hamish (2008年3月13日). “Steep task no trouble for Gutbuster winner”. Otago Daily Times. 2008年11月30日閲覧。
- ^ “Stuntman conquers Baldwin St”. Otago Daily Times. (2010年1月2日) 2011年5月8日閲覧。
- ^ Dustbin death - The Guardian, Friday 2 March 2001
- ^ “'Chilly bin riders' have no regrets”. 3 News. 2009年11月17日閲覧。
- 1 ボールドウィン・ストリートとは
- 2 ボールドウィン・ストリートの概要
- 3 イベントと事件
- 4 脚注
- ボールドウィン・ストリートのページへのリンク