ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 16:27 UTC 版)
キャスト
役名 - 俳優(ソフト版吹き替え)
- ボラット・サグディエフ - サシャ・バロン・コーエン(吹替:山寺宏一)
- アザマット - ケン・デイヴィシャン(吹替:斎藤志郎)
- ルネル - ルエネル(吹替:斎藤恵理)
- パメラ・アンダーソン - 本人
- 吹き替えその他キャスト:木下紗華/石住昭彦/千田光男/伊藤和晃/水野龍司/楠見尚己/沢田敏子/五十嵐麗/加藤優子/松本大/鈴木琢磨/高瀬右光/赤城進/ふくまつ進紗/間宮康弘/新田万紀子
物議
本作は多くの出演者を騙して撮影しているため、映画の枠を超えて現実で数々の問題が起きている。前述の通りボラットを「16 WAPT News」に出演させたプロデューサーは、この責任を問われ解雇されている。
訴訟
ボラットはユダヤ人を激しく差別するキャラクターであることから、アメリカのユダヤ人協会は制作に関わったHBOを訴えた(前述にもあるようにボラット役のコーエンは敬虔なユダヤ系イギリス人である)。
また、撮影に使われたルーマニアのグロド村を「強姦と売春の街」と評したことから、この村も訴える準備をしている。この村における一連の騒動は2008年制作のドキュメンタリー番組 When Borat Came to Town に詳しい。
ヒッチハイク中に出会った学生たちも「名を伏せるとの約束が反故にされた」として訴訟を起こしたが、却下されている。尚このシーンには20世紀FOXによる未成年飲酒の幇助も指摘されている[2]。
カザフスタンの反応
当然ながらボラットは実在のカザフスタン政府と険悪な関係にある。
2005年にボラットがMTVに登場したことを受け、カザフスタン外務省はコーエンに対して法的措置に訴える構えをみせるとともに、カザフスタン国内に設置されていたボラットの公式サイト(www.borat.kz)を閉鎖した。また2006年9月にカザフスタン大統領ヌルスルタン・ナザルバエフがアメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュのもとを訪れて会談した際には、「『ボラット』以後のカザフスタンの国際的イメージについて」という話題が出たという。その後カザフスタン政府は本作の影響を打ち消すため数億ドルを費やして「ユーラシアの心」キャンペーンを発動した。
しかしながらカザフスタン政府は映画を上映禁止とはせず、配給会社に配給を見直すよう促しただけであった。その結果、現地の配給会社ジェミニフィルムは同意し、本作の国内上映は見送られた。ところが現地紙『キャラバン』の記者は本作をオーストリアのウィーンで観て「明らかに今年ナンバーワンの映画。明らかに反カザフ的でなく、反ルーマニア的でもなければ、反ユダヤ的でもない。しかし残酷なまでに反アメリカ的で、愉快なのと同時に悲しさを感じさせる」と評価した。またカザフスタン人小説家Sapabek Asip-ulyは地元紙『ブレーミヤ』の中で「全世界の視線をカザフスタンに引きつけることは、我々が独立運動ののち何年もの歳月を費やしてもできなかったことだが、ボラットはそれをやってのけた」と評価したほか「官僚はユーモアのセンスのない奴らばかりだったが、今や国全体がネタの宝庫になった」とも述べている。
なお、2012年3月22日にクウェートで行われた射撃大会の表彰式において、本来の国歌「我がカザフスタン」を流す筈が、競技会運営事務局の手違いで本作の「Kazakhstan National Anthem」をダウンロードし、流してしまうハプニングが発生、選手団が謝罪を要求する事態に発展した[3]。
しかし、2020年に続編が公開されるとカザフスタン政府は態度を一変させ、むしろその知名度を活かして同国への観光客を誘致する政策に切り替えており、共存共栄の道を模索し始めている。
続編
ニューズ・コープのルパート・マードックは2007年2月初旬に本作の続編の制作が決定したともらした。しかしこの発言はコーエン自身がボラットに続編はないと言明したことにより覆された。その理由は、「ボラットがあまりにも有名になってしまったため、もう誰も騙されないだろうから」だという。だが2020年に続編の撮影が内密に行われており、2月にはドナルド・トランプに扮したボラットが保守政治活動協議会を妨害し、ニュースとして取り上げられていた[4]。だがこの時には彼がボラットであることは明かされなかった。8月に、SNS上でボラットを発見したとの情報が出回るようになり、続編制作の憶測が広がった[5][6]。9月初頭に撮影が完了し[6][7]、9月の終わりには続編が11月の米大統領選挙直前にAmazonプライム・ビデオでストリーミング配信されることが明らかになった[8]。そして本作は『Borat Subsequent Moviefilm』というタイトルで2020年10月23日に全世界同時配信された。邦題は『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』。
- ^ a b c d “Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan (2006)” (英語). Box Office Mojo. 2010年6月25日閲覧。
- ^ “泥酔状態を世界にさらした大学生VS“ボラット”訴訟の全内容!”. シネマトゥデイ. (2007年4月24日)
- ^ “表彰式でパロディー国歌、カザフ選手団が謝罪要求”. ロイター. (2012年3月26日)
- ^ News, A. B. C.. “Trump impersonator interrupts Vice President Mike Pence's CPAC speech” (英語). ABC News. 2020年10月28日閲覧。
- ^ “Sacha Baron Cohen spotted reprising Borat role in possible sequel to 2006 film” (英語). The Independent (2020年8月19日). 2020年10月28日閲覧。
- ^ a b “訴訟に発展した社会風刺コメディ「ボラット」の続編が極秘裏に製作か(映画.com)”. Yahoo!ニュース. 2020年10月28日閲覧。
- ^ “『ボラット』の続編が撮影完了した模様 「今年公開されたら2020年も救われるな」「人類は『ボラット』の続編に耐えられるのかな」|ニフティニュース”. ニフティニュース. 2020年10月28日閲覧。
- ^ “映画『ボラット』続編、アマゾン・プライムで配信へ”. www.afpbb.com. 2020年10月28日閲覧。
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