ベイヤーフィルター 現象

ベイヤーフィルター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 20:32 UTC 版)

現象

デジタルセンサーの解像度の限界に近い繊細な表現を持つ画像は、デモザイク処理の際のアルゴリズムの関係で、被写体の表現を正しく再現しきれない結果が生成される事がある。典型的な症状としては、繰り返しパターンに於けるモアレの発生や、色・ピクセル表現での迷路のような文様の発生が上げられる。

偽色

よく知られており、望ましくない現象としては、色フィルタ群からデモザイク処理を行なう際に発生する「偽色」が典型である。この典型的な現象は、色が急激に・または電線などが横切る画像において、エッジに伴う色の不自然な変化として現れる。 偽色の発生の防止や除去には、様々な方法が存在する。最終画像の生成の前・デモザイク処理の際に色相遷移の滑らかな補間が行われる事で、偽色の発生が防止される。また、デモザイク後に偽色を除去することができる他のアルゴリズムもある。これらは、赤と青の色空間を補間するためのより強固なデモザイク処理アルゴリズムを使用することで、画像の偽色を除去する利点がある。

仮に、すべての画素で色を完全に捉える事のできる理論的に完璧なセンサーであっても、モアレや他の不自然な画像現象の発生はゼロにはできない。これは、試料に離散的な中での連続信号が含まれるシステムに於いては避けられない結果である。この理由から、事実上大半のデジタルセンサは、光学ローパスフィルタ(OLPF)またはアンチエイリアシング(AA)フィルタを組み込んでいる。これはセンサーの直前に接する薄い層で、センサーの分解能よりも細かく任意の潜在的な問題の発生を、詳細をぼかすことで効果的に動作する。

調整

三つの新たなコダック RGBWフィルタパターン

ベイヤーフィルタは、大半の普及価格帯デジタルカメラで採用されている。他にはCYGMフィルタ(シアン、黄、緑、マゼンタ)およびRGBEフィルター(赤、緑、青、エメラルド)があり、デモザイク処理は似通ったものである。Foveon社のX3センサー(赤、緑、青を感知する3層が垂直に並ぶ)や、3CCD(赤・緑・青の各色ごとに1つ)方式はデモザイク処理を必要としない。

パンクロマチック・セル

初期のRGBWフィルタパターン

2007年6月14日にイーストマン・コダックは、ベイヤーフィルタの代替技術を発表した。光センサのカラーフィルタパターンに当たる光の量を多く集めるために「パンクロマチック」セルと呼ばれる部品を用いることで可視光のすべての波長への感度を高め、デジタルカメラ内の画像センサの光に対する感度を増加させるというものである。 コダックはいくつかのパターンを提示したが、ベイヤー配列では見られる2×2単位の小さい繰り返し単位が含まれない。

エドワード・T.チャンが2007年にアメリカで出願した特許は、赤・青・緑と透明の各画素で構成される画素の2×2ブロックを含むパターンを有するものである。全体的に高い赤外線感度を含むものだが、コダックの特許出願が先だった。 このようなセルは、CMYW(シアン、マゼンタ、黄、白)「RGBW」(赤、緑、青、白)とされていたが、コダックはそれらと新しいフィルタパターンとを比較していない。

富士フイルム「EXR」カラーフィルタアレイ

EXRセンサー

富士フイルムのEXRカラーフィルタアレイは、CCD(SuperCCD)とCMOS(BSI CMOS)の両方が製作されている。SuperCCDと同様、フィルタは45度回転した配置である。ベイヤーフィルターの設計とは異なり、同じ色を検出する二つの隣接する受光素子が常にある。この配列の設計の主な理由は、隣接する二つの受光素子の情報を統合することで、見かけの受光感度が向上する「ビニング」と呼ばれる手法を用いている事である。 他の理由としては、二種類の異なる露光をセンサーで記録し、それを統合することでさらに大きいダイナミックレンジの画像を生成できる事があげられる。

下層部の回路は、センサの交互の列から自分の情報を取る2の読み出しチャンネルを有する。結果的に、受光素子の各半分のための異なる露光時間で、2つの交互のセンサーのように振る舞うことができるということである。これらの受光素子の半分は、意図的に露出不足することが可能である。このため、露出場面での明るい領域をすべて取り込むことができる。この保持されたハイライト情報は、色情報を受け持つ受光素子との狭い間隔を利用し、「完全な」露出を記録しているセンサーの他の半分からの出力とミックスすることができる。

X-Transセンサーで使用される6×6の繰り返しグリッド パターン

富士フイルム・Xシリーズのカメラの多くで採用されている「X-Trans CMOSセンサー」は、ベイヤーフィルタよりも色モアレに対する良好な耐性を提供するための要求から開発されたもので、ローパスフィルターを必要としない。これにより、同じメガピクセル数のセンサーでより高い解像度が得られる。また新しい画素デザインは、赤、青、緑の画素の各配列の工夫により、偽色の発生を低減すると主張されている。これらの画素の擬似ランダム配列は、フィルムカメラ等の粒状性の再現ももたらすとされる。

脚注

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