プリチャル 設計

プリチャル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/02 02:08 UTC 版)

設計

接続モジュールは6個のハイブリッドドッキングポートを備えた球形に設計されている。1つのポートは宇宙ステーションと接続可能な能動ポートであり、他の5つは接続モジュールに他の宇宙機がドッキングするための受動ポートである[2]。このような設計は、宇宙機とのドッキングポートをそれぞれ1つしか備えていないピアースおよびポイスクドッキングモジュールからの顕著な設計変更である。さらに、能動ポートの対向側ポートは、ドッキングしたロシア製宇宙機と宇宙ステーションとの間で双方向の自動的な推進剤の移送機能と、クルスシステムを使用した有人および無人宇宙機の自動ドッキング機能を備えている[5]。ドッキング室は14立方メートルの内容積がある[2]

国際宇宙ステーションでの利用

Prichalは2021年7月21日に打ち上げられたナウカモジュールにドッキングすることが計画されている。ナウカはズヴェズダモジュールの天底側ポートに接続されており、プリチャルはナウカの天底側ポートへとドッキングすることが計画されている[15]。このように配置することで、ズヴェズダおよびザーリャモジュールから十分離すことができ、残りの5つのドッキングポートをソユーズプログレス補給船および他のモジュール(特にSPM-1)を自由に使用することができる。

複数のドッキング区画

将来、ソユーズ宇宙船をラスヴェットおよびプリチャルの天底側ポートにドッキングし、プログレス輸送船をズヴェズダの船尾側およびポイスクの天頂側ポートにドッキングするのが標準手順になるかもしれない。これは、ズヴェズダの船尾側ポートに接続された移送チャンバーに小さな空気漏れがあることからできるだけ閉じていることが求められ、そうするともしもソユーズがズヴェズダの船尾側ポートにドッキングしている場合は行き来が妨げられてしまうからである。さらに、プログレスをズヴェズダの船尾側ポートにドッキングすればメインエンジンを使ってISSをリブーストすることもできる。プログレスはまた、ポイスクの天頂側ポートへもドッキングするが、これはピアースの離脱以降はポイスクが現在はロシア軌道セグメントの船外活動用エアロックの機能も果たしており、船外活動中はポイスクが与圧されていないためにポイスクにソユーズがドッキングしている場合には行き来が妨げらえるが、これはISSの避難シナリオに安全上の問題となるからである[16]

関連項目


  1. ^ В РКК "Энергия" утвердили эскиз нового узлового модуля МКС”. Roskosmos. 2012年12月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k Zak, Anatoly (2020年6月22日). “Prichal Node Module, UM”. RussianSpaceWeb. 2020年6月23日閲覧。
  3. ^ Sohail, Daniyal (2019年2月20日). “Russia To Install Prichal Node Module On ISS In 2022, One Year Behind Schedule - Glavkosmos”. UrduPoint. 2019年11月8日閲覧。
  4. ^ “Строительство российского сегмента МКС завершится в 2022 году [Building of the Russian segment of the ISS will be finished in 2022]” (Russian). RIA Novosti. (2018年11月19日). https://ria.ru/space/20181119/1533093337.html 2018年11月20日閲覧。 
  5. ^ a b c Atkinson, Ian (2020年8月19日). “Russia's Nauka Arrives Baikonur for final launch preparations”. NASASpaceFlight.com. 2020年8月20日閲覧。
  6. ^ [1] Energia.ru (13 January 2011) Retrieved 8 October 2011
  7. ^ a b January 13, 2011. S.P. Korolev RSC Energia, Korolev, Moscow Region”. S.P. Korolev Rocket and Space Corporation Energia (2011年1月13日). 2016年1月31日閲覧。
  8. ^ Bodner, Matthew (2017年7月24日). “Russia's Post ISS plans a Mystery at Best”. SpaceNews. 2020年8月20日閲覧。
  9. ^ Zak, Anatoly. “Russian segment of ISS”. RussianSpaceWeb. 2020年10月22日閲覧。
  10. ^ Zak, Anatoly (2017年3月22日). “This Russian ISS Module Has Been Delayed For a Decade and It's Still Not Ready to Fly”. Popular Mechanics. 2020年8月20日閲覧。
  11. ^ Russia Needs Billions More To Complete It's〔ママ〕 ISS Segment”. Space-Travel.com (2008年4月14日). 2009年1月29日閲覧。
  12. ^ Shamsutdinov, Sergei (2008年7月). “Program for Development of the Russian ISS Segment” (Russian). Novosti Kosmonavtiki. 2011年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月15日閲覧。
  13. ^ Kaiyran, Denis (2018年11月19日). “Сергей Крикалев: к экипажу из шести человек МКС вернется в апреле [Sergey Krikalev: ISS will return to the crew of six in April]” (ロシア語). RIA Novosti. https://ria.ru/interview/20181119/1532959857.html 2018年11月20日閲覧。 
  14. ^ Новости. Узловой модуль «Причал» отправился на Байконур”. www.roscosmos.ru. 2021年7月31日閲覧。
  15. ^ The MLM module for the Russian segment of ISS”. RussianSpaceWeb.com. 2018年11月24日閲覧。
  16. ^ Harding, Pete (2021年7月29日). “MLM Nauka docks to ISS, malfunctions shortly thereafter”. NASASpaceFlight.com. 2021年7月30日閲覧。


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