フィガロの結婚
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音楽
- 序曲は流麗かつ華麗な曲調で、現代ではモーツァルトの序曲の中で一・二を争うほどの人気があり、コンサートでは序曲単独で演奏されることも多い。2006年のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートではモーツァルト生誕250周年記念の特例として演奏された。
- ウィーンでは1789年に再上演が行われた。初演と配役が違い、特にスザンナ役のソプラノのために異稿アリアKV577とKV579が書き下ろされた(第4幕の代替曲であるKV577は、旧全集版では伯爵夫人のためのアリアとされていた)。他の場面でもレチタティーヴォがアコンパニャートからセッコに変更されたり、短縮や拡張により新しいパッセージが付け加えられた(第3幕伯爵夫人のアリア)など改作が随所で行われている。筆写スコアで伝えられ自筆と確認出来ないものであるが、新モーツァルト全集[注 2]やアラン・タイソン校訂の「6つの異稿集」(oxford, 1989年)で紹介されている。CDもチャールズ・マッケラス盤で異稿が何曲も取り上げられたほか、KV577、579を出演歌手に歌わせた全曲録音も複数存在する。
- 20世紀末には声楽・器楽ともに楽譜に無い装飾をアドリブで行う18世紀当時の様式が見直され、装飾を記した同時代の楽譜も再確認されるようになった。「恋とはどんなものか」(第2幕)は特にイギリスで活躍したローマ生まれの作曲家ドメニコ・コッリ(1746年 - 1825年)による装飾が残っており、マッケラス盤のフォチーレ、コジェナーのアリア集で用いられている。
- 第4幕のフィナーレ直前のケルビーノの登場について、楽譜では「歌いながら(cantando)」と指示があるだけで、具体的な旋律の指定はない。「ケルビーノはドン・ジョヴァンニである」というキェルケゴールの発言をヒントに『ドン・ジョヴァンニ』の「シャンパンの歌」の旋律を歌わせる演出が行われることがある。珍しいところでは、ニコラウス・アーノンクール指揮の全曲版CDで、本作の前年に書かれた歌曲「すみれ」が歌われた例がある。1789年再上演用とみられる筆写スコアでは「恋とはどんなものか」が歌われている。
注釈
- ^ フィガロの独白「貴方(伯爵)は豪勢な殿様ということから、御自分では偉い人物だと思っていらっしゃる! 貴族、財産、勲章、位階、それやこれやで鼻高々と! だが、それほどの宝を獲られるにつけて、貴方はそもそも何をなされた? 生れるだけの手間をかけた、ただそれだけじゃありませんか! おまけに人間としても平々凡々(以下略)」は世襲政治家や貴族への揶揄としてたびたび引用される。
- ^ 初版は新全集版は1973年に2巻組で刊行され、日本でも多くの大学・図書館が所蔵しているが、3~4幕の自筆スコアが第二次大戦後ポーランドで管理されていたため校訂に使用出来ないという問題が解消されなかった。ベルリンの壁崩壊の後、本格的な改訂とともに縮刷合本化されたスタディ・スコアが2010年刊行された。第3幕の伯爵夫人のアリアはテンポ指示が Andante から Andantino に変更されるなどの違いがあるほか、異稿も部分的なものながら初演前のヴァージョンまで網羅し、1972年版より8曲増えている。
出典
- ^ "The Figaro Trilogy: The Barber of Seville, The Marriage of Figaro, The Guilty Mother", ISBN 0199539979
- ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
- ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
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