トランスフォーマー バイナルテック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/27 15:34 UTC 版)
概要
トランスフォーマーには飛行機や船、さらに乗り物以外(拳銃、顕微鏡、ステレオラジカセなど)の姿を持つものもあるが、本シリーズの玩具は全て実在の自動車の姿(ビークルモード)から人間型(ロボットモード)ないし動物型へ変形する。初めて実車メーカーから正式にライセンスを取得したシリーズである[1]こと、またメーカー監修下で制作されているビークルモードが変形機構を持たない一般的な市販模型自動車並みの精密さを持っていることが大きな特徴。「バイナルテック」とは、「Binal」(双方の、二つの)と「Technology」(技術)を組み合わせた造語であり、ストーリー上では地球とサイバトロン双方の技術、玩具ではビークルモードとロボットモード双方のクォリティの融合という意味を持つ。車体外装部分の大半にダイキャストパーツが使用されているのも本シリーズの特徴であったが、それについては例外もある。縮尺はおよそ1/24。
『トランスフォーマー カーロボット』の流れを汲む、高度な変形機構を採用した上級者向けシリーズとして位置づけられている(『マイクロン伝説』『変形!ヘンケイ!トランスフォーマー』などを年少者向けシリーズとすることで、住み分けが図られた)。
なお、玩具の発売元であるタカラがトミーとの合併でタカラトミーへと組織再編される過程で、本シリーズの商品展開は一時的に『トランスフォーマー キスぷれ』へと差し替えられており、海外で『ALTERNATORS』として先行販売されていた一部アイテムは、『バイナルテック』としてではなく、そちらのキャラクターとして商品化されている。別項も併せて参照。
『キスぷれ』の展開が一段落したのち、限定アイテムというかたちで『バイナルテック』のブランドが復活した。BT-16以降中断していたストーリー展開に関しても、復活後のBT-17で続きが描かれ、物語中の事態にはこれをもって一応の決着が付けられている。ただし、完全に完結したわけではなく、BT-18以降も継続するかたちをとっている。
2008年より、シリーズは一般販売による再スタートが開始。一度は『キスぷれ』版として素材や仕様を変更して発売されたコンボイだったが、本来の『バイナルテック』標準のダイキャスト製仕様の商品が発売決定し、加えてアーシーなどのキャラも発売が決定している。
2009年より1/32スケールモデルのトランスフォーマー オルタニティの展開も開始された。
ストーリー
トランスフォーマーと人類との関係が始まって、20年が経とうとしていた西暦2003年。サイバトロンシティの着工、地球防衛軍の設立、外宇宙への進出など、人類と正義の軍団サイバトロンはかけがえのない運命共同体となっていた。
そんな中、悪の軍団デストロンは病原体「コズミックルスト」による破壊工作を実行、これにより、地球に駐留するサイバトロン戦士の多くが死の淵に追いやられた。時同じくして、デストロンの大規模侵攻がスタート、サイバトロンは地球に増援や補給物資を送れない状態にあった。この絶体絶命の状況を前にし、地球防衛軍は「人類によるトランスフォーマー開発計画」たるバイナルテックプロジェクトを発動、サイバトロンマザーコンピュータ・テレトラン1の指揮のもと、世界中の企業と研究機関の手により、可変式人型マシンの開発が急ピッチで行われた。こうして完成したロボットのボディにサイバトロン戦士の人格が移植され、彼らは新たなる機械生命体として蘇ったのだった。
ストーリーとしては『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』の続編に当たるが、『トランスフォーマー ザ・ムービー』や『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』とはパラレルワールドの関係にある。
後述するラヴィッジは両方の世界を知っており、「無駄な戦いの無い未来」を作り出すために強引な歴史改変を実行する。これにより歴史崩壊の危機を招くこととなるが、物語終盤において未来から来た「ザ・プロテクター」なる正体不明のスパークの働きで危機は回避され、本作品の世界は本来の歴史から完全に分岐したまま存続することとなった。
なお、同時期に展開していた別シリーズ『トランスフォーマー キスぷれ』は、この歴史分岐後の「本来の歴史」に属する物語(『ザ・ムービー』と『2010』の間の時代を描く)となっている[2]。
補足
サイバトロン戦士は正式にバイナルテックプロジェクトで作られたものだが、デストロン兵士はサイバトロン戦士のボディとして作られたものを人格移植前に強奪し、デストロン兵士の人格を移植するなど、変わった経歴で誕生している。
グリムロックは、元はティラノサウルスに変形するロボットであり、戦闘による負傷で変形機構を損傷したことからバイナルテック化されて自動車に変形するようになったという設定。またラヴィッジは元は「ジャガー」の名で、カセットテープからその名の通りジャガーに変形するキャラクターである(元のジャガーの名称が使用できないのは、実車でジャガーが存在するためと言われる。また、『ALTERNATORS』版マイスターでも同じ状況が発生[要曖昧さ回避]し、ジャズという名前が使えなくなっている)。また、このラヴィッジは『ビーストウォーズメタルス』のメタルス・ジャガーの生まれ変わった姿であり、バイナルテック化の対象が、自動車に変形するロボットや人型ロボット、そしてG1の登場人物に限定されなくなったことから、今後もさらなる展開の広がりの可能性を見せている。
同じキャラクターのバリエーション
スモークスクリーンには無印とGTの2種バリエーションがあり、それぞれにマーキング違いのバリエーションが存在する。また、トラックスとマイスターには2種類のカラーバリエーションがある。本来生物であるトランスフォーマーにおいて、同キャラクターのバリエーションは以下のような設定がある。
ジェネトロニック・トランスリンクシステム
ジェネトロニック・トランスリンクシステム(GTシステム)とは、1つの生命の源・ライフフォースを共有する同一人格のトランスフォーマーを複数人活動させるための技術。サイバトロン戦士の絶対数不足のために考案された。スモークスクリーンGTに搭載され、最大4人のスモークスクリーンが同時に活動可能。しかし、この技術がトランスフォーマーの精神にどう影響するのかは全くの未知である。
ボディショップ計画
ラヴィッジによって存在を明らかにされた、自分やプロールたちが死ぬ「もうひとつの未来(『ザ・ムービー』)」に対する恐怖心から、ホイルジャックは「未来の戦死者」を救う方法を探し求め、GTシステムの応用にその活路を見出した。それが、緊急時にボディの共有を行う「ボディショップ計画」である。プロールの青いボディは、そのような緊急時に使われる予備のボディの1つである。なお、「もうひとつの未来」を知る以前から、緊急用の予備ボディという構想自体はあったようである(初代『トランスフォーマー』第11話「フランケンシュタイン・スパイク/Autobot Spike」)。
レプリカ・オートマトン
レプリカ・オートマトンとは、トランスフォーマーの人格や精神を真似て作られた人工知能を搭載する可変式人型マシン、すなわち「人間の手によって作られたトランスフォーマー」。人工知能の能力は、超ロボット生命体と呼ぶには不足であったが、それでも高水準の自律行動をとりうる。マイスターを参考に作られたレプリカ・オートマトンはマイスター本人に「Zoom-Zoom」と命名された。
- 白い方がマイスター、赤い方がZoom-Zoom。白いボディも元々レプリカ・オートマトンに使う予定だったが、作戦上の必要性からマイスター本人が使うことになった。
その他
トラックスは体の色を自由に変更可能で、カラーバリエーションはそれぞれの状態を再現したものと解釈される。
- ^ より正確には、『トランスフォーマー カーロボット』の「JRX」が初めてライセンスを取得した商品となる。ただし、「JRX」は自動車ではなく新幹線から変形する。
- ^ 実態はさらなる異世界であり「リバースメガトロン」が「リバースコンボイ」の体を乗っ取る過程に発生した「もうひとつの『本来の歴史』」である。「ロボットマスターズ」も参照。
- 1 トランスフォーマー バイナルテックとは
- 2 トランスフォーマー バイナルテックの概要
- 3 商品
- 4 バイナルテック・アスタリスク
- 5 TIPS
- 6 外部リンク
- トランスフォーマー バイナルテックのページへのリンク