タイ王国 経済

タイ王国

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経済

バンコクはビジネス、文化、政治などを総合評価した世界都市格付けで41位の都市と評価された[87]

高度経済成長

経済の安定や外国企業の積極的な進出を背景にした1980年代以降の高度経済成長はすさまじく、1985年から1995年にかけての10年間、タイは年間平均9%の経済成長率を記録した。しかし、アジア通貨危機(1997年)によって経済は停滞した。この際にタイは1ドル/25バーツに固定していた固定相場制を廃止。1998年1月には1ドル/56バーツにまで値下がり、経済規模は10.2%も悪化した。

サトーンユニークタワーはバンコクの未完成の超高層ビルで、アジア通貨危機(1997年)によって経済は停滞した。

この危機は、特にタイの財閥の同族支配廃止や、外国資本の参入につながった。しかし、タイは外国への輸出を積極的に行ったことから1999年、経済成長率は再び4%台を記録、2003年には6%台を記録し、好景気に逆転した。この好景気を背景に中流階級の台頭が起こっている。クーデターによるあおりも受けたため2008年は2.5%とやや伸び悩み、2009年はリーマンショックもあり-2.3%とマイナス成長も2010年は7.8%と再び高成長。このように年ごとに経済成長にばらつきがあり、80年代後半から90年代前半に見られたようなすさまじい経済成長からはやや落ち着いている。

タイ統計局によると、2009年の世帯当たりの平均所得は月2万903バーツ。1人あたりの平均所得は月6,319バーツ[88]。バンコク首都圏の平均世帯所得は月3万7,732バーツであり、地域別で最下位のタイ東北部の平均世帯所得は月1万5,358バーツとされる。

2015年のタイのGDPは約3,952億ドルであり[89]東南アジアではインドネシアに次ぐ経済規模である。同年の1人あたりのGDPは5,742ドルであり、隣国のカンボジアラオスミャンマーよりはるかに高い上、先述のインドネシアよりも高い数値となっている。しかしながら南隣にあるマレーシアと比較すると半分ほどの数値である。

外国人労働者

かつては出稼ぎが産業となっていたが、近年では経済成長に伴う賃金の上昇、肉体労働を敬遠する国民性、少子高齢化による人手不足などにより、単純な肉体労働のためカンボジアなど近隣諸国からの出稼ぎ労働者を受け入れる側となった[90]

農業

タイ王国の農業は競争力が高く、その輸出は国際的に高い成功を収めている。コメが同国の最重要な農産物であり、タイ王国は、世界のコメ市場における主要な輸出国の1つに数えられている。また比較的多く生産される他の農産物としては、タピオカ天然ゴム穀物砂糖などが挙げられる。タイ北部はブラック・アイボリー・コーヒーの主要産地である。この他、パイナップルなどを加工した食品の輸出が増加傾向にある。また、沿岸部ではエビ養殖漁業なども行われており、その加工品の輸出なども行っている。

タイは世界最大の米の輸出国である

近年の農業の発展は1960年代から続いており、失業率は2000年代始めには60%以上から10%以下にまで低下した[91]。同期間で、食品価格は半減し、飢えも減少した(1988年の255万世帯から、2007年には41.8万世帯に)。子供の栄養失調は著しく減少した(1987年の17%から、2006年には7%)[91]。これは、インフラストラクチャーにおける投資の保証と教育、融資の利用権利、アグリビジネス分野における民間主導の成功などの強力かつポジティブな役割の混在を通して成し遂げられた[91]。これはタイ王国の産業化された経済への変遷を支援した[91]

新型コロナウイルス感染症の流行に対してタイ政府は2020年4月、農家以外の家庭も含めて「自家野菜を育てる国民運動」を呼びかけ、6月時点で国民の9割、1200万世帯以上が参加し、ナスオクラパクチーなどを栽培。食べきれない分は近隣で分け合ったり市場で販売したりした。経済危機下での家計の支え、食料自給率向上による食料安全保障以外にプミポン前国王が生前提唱していた「足るを知る経済」を実践する目的もあった[92]

観光産業

山岳地帯遊園地ショッピングモール世界文化遺産リゾート地などのバリエーションに富んだ観光資源を持つ。老若男女に楽しめることからバックパッカーのみならず、家族連れも多く訪れる。スワンナプーム国際空港が東南アジアのハブ空港となっていることもあり、マレーシア、日本などの近隣諸国のみならずヨーロッパやアメリカ、オーストラリアからも多くの観光客を集めており、観光業は大きな外貨獲得手段の一つである。

タイへの観光客は、2000年代より継続して増加しており、2007年には約1500万人となっている[93]。この間、観光を巡る環境は良好だったわけではない。SARS(2002年)や鳥インフルエンザ(2003年)などに見舞われている[93]。だが、タイは世界遺産などの遺跡プーケット島などの豊かな自然といった観光資源に恵まれていることに加え、公共施設や商業施設が開発により整ってきていることがタイの観光業へプラスの影響を与えている[93]

こうした好調な観光の背景には、タイの外務省も自国民の特徴として紹介しているタイ人の穏やかな国民性や、人種差別が少ないことも背景にある[93]

ASEAN諸国への輸出拠点

教育に力を入れた結果、1980年代以降は、教育程度の高さと賃金の安さ、そして中流階級の増大による国内市場の拡大に着目した日本や欧米諸国の企業の工場の進出が目立つ。あわせて関税特典があるASEAN諸国内への輸出拠点として活用している。

日本との関係

日本はタイにとって最大の貿易額と投資額、援助額を持ちトヨタホンダ日産自動車いすゞ日野自動車などの自動車関連企業の多くが進出している。また、空調メーカーであるダイキンといった家電メーカーなども多く進出し、国内市場への供給を行っているほか、関税特典があるASEAN諸国内への輸出拠点として活用している。

2015年時点で1,700社以上の日本企業が進出しており、また、2007年11月に日本・タイ経済連携協定が発効したことから、貿易のみならず、投資や政府調達など幅広い分野における経済関係の一層の強化が期待されている。

2015年時点、タイ国内で暮らす外国人のトップはアメリカ人で、次いで中国人、オーストラリア人、イギリス人、日本人は第5位でその数は6万7,000人となっている。

日本とタイの貿易結合度は第1位となっており、世界とタイとの平均的な貿易結合度の4倍となっており、日中に勝る緊密度をもつ[94]

民族資本企業

タイ資本の大手企業として、航空会社のタイ国際航空やバンコク・エアウェイズ、シン・ビールで有名なブンロート・ブリュワリーや、ビア・チャーンで有名なタイ・ブリュワリーなどがある。また、2001年より、地方の産業振興や伝統文化の継承、貧困層の収入源確保を目的に、日本の大分県の例をモデルとした「一村一品運動」(One Tambon One Product/OTOP)を展開しており、大きな成功を収めている。

違法産業

古くからのタイの大きな経済問題として違法産業がある。これは教育や経済格差に起因するとされ、解消に向けて教育に力を入れるようになった(後述)。

商習慣

賄賂やバックマージンリベートなどの商習慣が2000年代に入っても根強く残る。2012年に国内の大学が行った公共工事の受注に関するアンケート調査の例では、85%の回答者から賄賂が必要であったとの回答が見られた[95]


注釈

  1. ^ 「君臨すれども統治せず」という原則と議院内閣制の下で国王または女王(イギリスの君主)や天皇に実権がなく、首相内閣総理大臣が事実上全権を掌握するイギリス日本と類似している。
  2. ^ ただしお互いに政治制度の違いもあって、中国はクーデター事件そのものに対して明らかな対応や意見などは出していない。

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