スペースオペラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 04:57 UTC 版)
他のサブジャンルとの関係
評論家によっては、スペースオペラと惑星冒険ものを区別している[13]。スペースオペラには宇宙海賊がしばしば登場することから『海洋冒険小説』を宇宙に移したものであるという見方もある。どちらもエキゾチックな設定で冒険活劇が繰り広げられるが、スペースオペラは宇宙旅行が中心であり、惑星冒険ものは地球以外の惑星が舞台である。その意味ではエドガー・ライス・バローズの『火星シリーズ』や『金星シリーズ』などは惑星冒険ものの初期の例とされる。火星を舞台にしたSF冒険小説『火星シリーズ』は、後のヒロイック・ファンタジーにも大きな影響を与えた[14]。
科学に対する態度はハードSFとは対極的である。例えばなんらかの疑似科学的な説明で、あるいはそれさえなしで相対性理論を無視して光速の壁を破るのはほぼ基本であった[15]。 それ以外の物理法則や科学常識も、ストーリーの都合に合わせて何らかのもっともらしい疑似科学的な説明を入れて無視する、時にはそれすらなしで無視するなど荒い内容が見受けられた。
スペースオペラの一部はミリタリーSFともオーバーラップしており、未来の兵器を使った宇宙戦争を大々的に描くこともある。軍隊や兵器技術をまじめに描く場合もあり、中にはそのような戦争が人類に与える影響を考察する作品もあるが、多くの場合は軍事フィクションに単にSF的装飾を施したものと言える。このような作品を「ミリタリー・スペースオペラ」と呼ぶこともあり、例えば評論家 Sylvia Kelso はL・M・ビジョルドの『ヴォルコシガン・サガ』をそのように評した[16]。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Hartwell & Cramer 2006, pp. 10–18, Introduction
- ^ Tucker 1941, p. 8
- ^ Langford 2005, pp. 167–168
- ^ a b c d Dozois & Strahan 2007, p. 2, Introduction
- ^ Bleiler & Bleiler 1990, pp. 147–148
- ^ Bleiler & Bleiler 1990, p. 147
- ^ Clarke 1997
- ^ Hardy 1994, p. 56
- ^ Bleiler & Bleiler 1990, "Schlosser, J."
- ^ a b c McAuley 2003
- ^ Levy 2008, pp. 132–133
- ^ あとがきにて本人が発言。野尻はその理由について、作品の主題を科学的論理の提示に留まらず人間関係にあるからだとする。
- ^ SF Citations for OED, "Planetary romance"
- ^ バローズが生きている頃には数百人の模倣者がいて、その模倣者の中でも有力な者にはさらに数百人の模倣者がいたという伝説があるほどである。参考:リチャード・A.ルポフ『バルスーム』厚木淳訳、東京創元社、1982年
- ^ E・E・スミス『宇宙のスカイラーク』に以下のような登場人物たちのやりとりがある。
- 「三億五千マイルだ。太陽系からちょうど半分でかかっている。ということは毎秒一光速の加速度ということだ」
- 「そんな速度で走れるはずはないよ、マート。E=mc²だよ」
- 「アインシュタインの理論はしょせん理論に過ぎんのだよ、ディック。この距離は観察された事実じゃないか」
- ^ Hartwell & Cramer 2006, p. 251
- ^ Lilley, Ernest (2003年8月). “Review”. SFRevu 2009年2月28日閲覧。 より正確にはロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』のパロディである
- 1 スペースオペラとは
- 2 スペースオペラの概要
- 3 日本でのスペースオペラ
- 4 他のサブジャンルとの関係
- 5 評価
- 6 外部リンク
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