ジュリオ・アンドレオッティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/17 00:02 UTC 版)
評価
「イタリア政界の硬直化の象徴」
第二次世界大戦直後より永く1990年代に至るまでイタリア政界の実力者として君臨しており、その権力の影響は政界のみならず、財界、法曹界、カトリック教会、はては労働組合からマフィア、テロリストまで幅広く及んでいた。
あまりにも長くに渡って実力者の地位を占めたことから、国内外で「イタリア政界の硬直化の象徴」という見方をされることも多かった。また、自らの経験を基にした「権力は、それを持たないものを消耗させる」という発言がある。
「魔王」
1990年代初頭の冷戦崩壊後に、アメリカ合衆国やキリスト教会の支援の下に生きながらえていた世界各国の反共保守政権が、その存在意義を失い崩壊していく中で、自らの利権と反共保守体制を守るためにマフィアとテロリストの関係を続けていたアンドレオッティ(とキリスト教民主主義)もその実態を暴かれ没落することとなった。
その後数々の裁判で有罪判決を受けたものの、自らの影響力を巧みに使い、実刑判決を受けることなく終身上院議員として活動を続けていたことから、イタリアでは「魔王ジュリオ(Divo Giulio)」とも称されていた。
エピソード
- 1989年に公開されたイタリア系マフィアとイタリア政界、さらにバチカンとの癒着(とカルヴィ暗殺事件及びヨハネ・パウロ1世の「暗殺」)を扱った映画『ゴッドファーザーPARTIII』では、マフィアとバチカンと親密な関係がある政治家「ドン・ルケージ」のモデルとなった。
- 毎日教会でのミサを欠かさず、修道士へ多額の寄付をしていた。4人の歴代ローマ教皇と親密な関係にあった。
- モーロ元首相は、「赤い旅団」に監禁されていた時に書かされた手紙で「アンドレオッティは悪事を行うために生まれてきた男」と批判した。
- 2008年にアンドレオッティの生涯をもとにした映画『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男(原題:Il Divo)』(パオロ・ソレンティーノ監督)が制作され、同年のカンヌ国際映画祭 審査員賞を獲得した。
- ^ 「イタリア・マフィア」シルヴィオ・ピエロサンティ著 ちくま新書 2007年
- ^ 「法王暗殺」デイビッド・ヤロップ著 文藝春秋 1985年
- ^ イタリア元首相・アンドレオッティ氏が死去 読売新聞 2013年5月6日
固有名詞の分類
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