ジャンプ ジェイ ブックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 07:16 UTC 版)
概要
『週刊少年ジャンプ(WJ)』の増刊号『ジャンプノベル』(1991年 - 1999年)の掲載小説作品を収録するために創刊された。現在でも、『週刊少年ジャンプ』系列誌連載漫画の小説化作品、ジャンプ小説新人賞(旧ジャンプ小説・ノンフィクション大賞)受賞作品などを中心に刊行している。
『ジャンプノベル』休刊後の刊行作品は書下ろしが多いが、雑誌(『ジャンプSQ』など)に掲載された後に刊行された作品もある。公式サイト では小説作品の連載が行われている。
JUMP j BOOKS(以下、JJB)編集部署は集英社のジャンプ・コミック出版編集部に所属[1]。
漫画作品のノベライズを行うライトノベルレーベルとしては日本屈指の存在である。ただし、オリジナル作品は弱く、オリジナルタイトルを刊行するレーベルとしての知名度も低く、また客筋が決まっていないとされる[2]。
売上
一般的な漫画のノベライズは1冊限りで、売上はせいぜい数万部のものが多いとされるが、JJBのノベライズは複数刊行することが多く、平均で原作漫画第1巻の3割の売上を誇る[3]。特に『銀魂』、『黒子のバスケ』、『ハイキュー!!』の小説版などを擁しており、漫画ノベライズとしては圧倒的な売上を誇るとされている[3]。
一般文芸やライトノベルは厳しい状況が続く中[3]、JJBは設立22年目の2015度に過去最高の売上を記録し、日販のノベルス(新書判小説)年間売上ランキングトップ10のうち9冊を独占した[3]。
ネット書店よりも現場の書店で売れる傾向にある。ライトノベルが強い書店より、マンガが売れる書店で売れる傾向にある(2016年時点)[4]。また、女子中高生が朝読(朝の読書)のために小説として買うことも多いとされる[4]。
編集方針
作風としては「キャラクター小説」であることを重視している[5]。
編集長浅田はノベライズに読者が求めているものとして次の3つを挙げている[4]。
- あいだを埋めること - 本編では省略された出来事を膨らませて物語にする
- オフショット - 本誌ではテンポを悪くするため描きにくい部分を描く
- 夢の状況を設定する - 本編では作品のルールが変わってしまうため、描けないものを描く
連載中の漫画家が様々な事情でボツにしたネタを小説化することもある。内容的に本編のネタと被りそうなものは意図的に避けている[4]。
原作者に最小限の負担でいかに世界観を膨らませる手伝いができるかが基本哲学となっている[4]。そのためJJB編集者は原作を読み込み、極力原作者がチェックしなくてもいいように作品を仕上げる。また、校訂は作品ごとに同じ人が担当し、ミスを減らすようにしている。担当する小説家も原作ファンを優先的に採用している[4]。
作品のノベライズの基準は、部数のほかに濃いファンがいるかどうかも考慮される。作品によって小説化の難易度も異なるという[4]。WJ編集部にとっては、ノベライズは作品が大きくなっていくステップのひとつで、オファーが来ると認められたという印象を持つという。アニメ化される場合はアニメ放送時点に小説も3、4冊出るようスケジュールが組まれる[4]。
経歴
元は「読むジャンプ」のような存在で、週刊少年ジャンプの増刊号として小説を刊行したのが始まり。創刊タイトルは『BASTARD!!』小説版。他に村山由佳・北方謙三・大沢在昌らのオリジナル作品を刊行し、新人賞からは乙一・小川一水らを輩出した[3]。独自レーベル感を出すために、初期は赤背で他社のノベルスよりも判型を少し大きくしてイラストをなるべく目立つように設計された[3]。
2005年頃にはJJBから客離れが進んでいたため、改革が行われた。小説よりも市場規模が大きい漫画の読者をターゲットに定め、漫画読者に作品が届きやすくなるように工夫が行われた[3]。売り場をコミックスの隣に変更するよう書店に働きかけ、原作となる漫画単行本と同じサイズで同じ日に発売するようにした[4]。また、それまでは本編をそのまま小説にしたようなものが多かったが、2005年刊行の『D.Gray-man』小説版では漫画本編ではカットされたり没になったネタを元に外伝的な独自のストーリーを作り、予想外のヒットを記録した[3]。これ以降、本編の補完やオフショットなど、原作ファン向けのオリジナルストーリーをメインにノベライズが展開されるようになった[4]。これらの試みの結果ノベライズの売上は上がり、返本も殆どなくなったという[4]。
2014年に浅田貴典が編集長に就任すると刊行点数を増やし、「ココハナ」連載の『きょうは会社休みます。』小説版、他社タイトルのゲーム『ブレイブフロンティア』、アニメ『SHIROBAKO』など、それまでほとんど扱っていなかった媒体にもノベライズの幅を広げた[2]。また『NARUTO』本編の連載終了にあわせ、各キャラクターの後日談的なノベライズを大々的に行った。『暗殺教室』の学習参考書『殺たん』『殺すう』シリーズ、『黒子のバスケ』『食戟のソーマ』『僕のヒーローアカデミア』などの「ノベライズのコミカライズ」、『黒子のバスケ』劇場版のノベライズ、『NARUTO』小説版のアニメ化など、新たな取り組みも積極的に行われた[2]。こうした取り組みの結果、2015年度の売上は過去最高に達した[2]。
- 1 ジャンプ ジェイ ブックスとは
- 2 ジャンプ ジェイ ブックスの概要
- 3 略歴
- 4 作品一覧
- 5 脚注
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