シルトのはしご
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 02:50 UTC 版)
概要
まず点 A0 における接ベクトル x と測地線分 A0X0 を同一視する。 そして以下の手順の各サイクルで作られる四角形 AiXiXi+1Ai+1 をレヴィ・チヴィタの擬平行四辺形の近似として用いる[注釈 2]ことで、 n サイクル後に得られる測地線分 AnXn は、ベクトル x を曲線 A0An に沿って平行移動させた接ベクトルの近似となる。[2][3]
手順
リーマン多様体 M 上において、点 A0 を通る曲線 γ を考え、x を点 A0 上の接ベクトルとする。指数写像により測地線分 A0X0 と接ベクトル x を同一視することが出来る。
以下の手順を繰り返すことで、シルトのはしごは構築される。[2][3]
- 曲線 γ 上で点 A0 に近い新しい点 A1 を取り、測地線 X0A1 を考える。
- 測地線 X0A1 上の中点として新しい点 P1 を考える;
- すなわち測地線 X0A1 のアフィン・パラメータ λ について、λP1 = 1/2(λX0 + λA1).
- 測地線 A0P1 を構築し、この測地線の延長上に新しい点 X1 を、A0X1 のパラメーター長さが A0P1 の2倍になるように取る;
- すなわち測地線 A0P1 のアフィン・パラメータ λ′ について、λ′X1 - λ′A0 = 2(λ′P1 - λ′A0).
- 最後に新しい測地線 A1X1 を考える。この測地線への接ベクトル x1 は、A0 における接ベクトル x を A1 へと平行移動したものの(少なくとも)1次近似となっている。
なお2点間距離 AiXi, AiAi+1 は十分に小さい必要がある。[2][3]
近似
これは連続過程である平行移動の離散近似となっている。もし周辺空間が平らであるのなら、これは正確に平行移動と一致し、[2]各サイクルで形成される四辺形(前述の手順における AnXnXn + 1An + 1)はレヴィ=チヴィタの擬平行四辺形と一致する。
一方曲がった空間においては、三角形 AnXnAn + 1 周りのホロノミーによって誤差が与えられる。これはアンブローズ・シンガーの定理により、三角形内部の曲率の積分と等しく、またこれは(閉曲線上の積分と内部の積分を関係させる)グリーンの定理の1つの形態である。
- 1 シルトのはしごとは
- 2 シルトのはしごの概要
- 3 注意
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