グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/30 08:19 UTC 版)
重ね合わせの詳細
GHZ状態は、二状態系3つが量子的にもつれた状態である。二状態系を電子のスピン自由度だと思うことにすると、 3つの電子のスピンのx, y, z 成分を測定することができる。電子のスピンは、どの成分を測定しても+1か−1を与えることが知られている。
GHZ 状態では、以下の節で説明してあるように、
- 1番目の電子のスピンのy成分、2番目の電子のスピンのy成分、3番目の電子のスピンのx成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (1)
- 1番目の電子のスピンのy成分、2番目の電子のスピンのx成分、3番目の電子のスピンのy成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (2)
- 1番目の電子のスピンのx成分、2番目の電子のスピンのy成分、3番目の電子のスピンのy成分 を測定した場合は、結果は (+++), (+--), (-+-), (--+)のいずれか。 ... (3)
を必ず与え、一方
- 1番目の電子のスピンのx成分、2番目の電子のスピンのx成分、3番目の電子のスピンのx成分 を測定した場合は、結果は (++-), (+-+), (-++), (---)のいずれか。 ...(4)
を必ず与えるような状態である。以上のような実験結果は、隠れた変数モデルでは説明できない。
なぜなら、隠れた変数モデルでは、量子状態の測定結果は確率的におこるけれども、一回一回の測定においては、どのような測定をした結果も決まっているはずである、と考える。すると、GHZ状態は測定以前でも、
- 1番目の電子のスピンのy成分を測定すると、x成分を測定すると
- 2番目の電子のスピンのy成分を測定すると、x成分を測定すると
- 3番目の電子のスピンのy成分を測定すると、x成分を測定すると
となることが決まっており、への+1、−1の割り振りのパターンが確率的に決まっていると考えることになるが、
- 上の(1)より
- 上の(2)より
- 上の(3)より
となる。これを三つ掛け合わせて、をつかうと、
となるが、
- 上の(4)より
となり、これは隠れた変数モデルが破綻していることを示している。
量子力学を使った説明
二状態系の通常の記述を用いれば、GHZ状態は
と表せる。 スピンのx, y軸成分の2倍は
で表されるから、 が
そして
の固有状態であることはすぐ確かめられる。
- 1 グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態とは
- 2 グリーンバーガー=ホーン=ツァイリンガー状態の概要
- 3 参考文献
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