オオヘビガイ 他の生物との関係

オオヘビガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/16 02:08 UTC 版)

他の生物との関係

本種の死んだ殻は岩の上にパイプ状の構造を作ることになり、岩表面の構造を複雑化し、他生物が利用することで種多様性を高める効果がある。ナベカやクモギンポ(どちらもイソギンポ科の魚類)が産卵床として利用することが知られている[4]。コケギンポでは二枚貝に産卵する例もあるが、本種の殻を利用する率が高い。またこの種では雄が卵の保護を行うが、その際に雄が殻口から頭部だけを出すと、頭についている皮質の突起が周囲の付着生物と紛らわしく見え、一種の隠蔽の効果を持っているとみられる[9]

また本種の殻の隙間にはゴカイ類などが住み着いている。その中には本種が出して栄養分を集める粘液を食べるものがあると考えられる。クマドリゴカイ Perinereis cultrifera は実験室内の観察で本種が粘液を引き戻して摂食する際に殻口に出てきて、その一部を摂食することが観察された。これは一種の盗み寄生と考えられる。他にもゴカイの1種 Nereis sp. やシリス科の1種 Ophisthosyllis sp. が同様の行動を取っているらしいことも観察されており、同様の関係を持っている可能性がある。これらのゴカイ類の摂食が本種の栄養にどれほど影響があるかなどは未知である[10]

利用

一般に広く利用されるものではないが、肉は食べれば美味であり、食用とする地域がある[5]ハンマーなどを使って剥がす必要があるが、茹でたところで殻の口のところを割ってから口からすすり込むと食べやすく、粘液が多くとろりとした舌触りと甘みのある貝独特のうまみが絶品とのことである[11]


  1. ^ 以下、主として岡田他(1960),p.168
  2. ^ a b 岡田他(1967)p.57
  3. ^ a b c d 波部、小菅(1979),p.32
  4. ^ a b c d e f 松久保(1999),p.82
  5. ^ a b c 岡田他(1960),p.168
  6. ^ a b 佐藤(2005),p.2
  7. ^ 志村(1979),p.151
  8. ^ 行田(2003),p.12
  9. ^ 塩垣、道津(1972)
  10. ^ Ishida(2003)
  11. ^ 志村(1979),p.151-152。なお、これは神奈川県三浦半島か千葉県房総半島での話で、有用な情報提供者として千葉県在住の人名があるが、本種の話がどこに基づくものかは定かでない。ただし味に関しては著者の感想である。


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