インメイト作戦 作戦経過

インメイト作戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 16:29 UTC 版)

作戦経過

第111.2任務群は6月12日にマヌス島から出撃した。トラックへの途上で、命令には巡洋艦部隊によるトラックの日本軍陣地に対する艦砲射撃も追加された。この変更は、後の作戦で巡洋艦が沿岸部の目標に対する砲撃に使用されることが予想されたからである。[3]その準備のため、北への航海中に砲術訓練が実施された[17]。トラック攻撃に先立ち、墜落した航空機の乗員救助のためアメリカ海軍の潜水艦がトラック付近に配置された[19]

6月14日

モエン島の通信施設に対してファイアフライから発射されたロケット弾

6月14日午前5時30分に攻撃隊の発艦地点に到着し、10分後にシーファイア12機とファイアフライ2機が発進した。シーファイアはモエン島のレーダー基地や飛行場を機銃掃射し、ファイアフライは環礁の偵察を行った。偵察用のカメラを備えたシーファイアは日本軍施設の撮影も行い、撮影された写真は、以降の空襲や砲撃の計画に使用された。[3]飛行場攻撃中にシーファイア1機が撃墜され、パイロットは戦死した。これはインメイト作戦中の戦闘で失われた唯一のイギリス軍機であった。[20]

6月14日の残りの時間は「インプラカブル」は2時間15分ごとに攻撃隊を発進させた。それらは通常爆弾搭載のアヴェンジャー5機とロケット弾搭載のファイアフライ4機で構成されていた。この日最後の攻撃はフィーファイア12機によって実施され、モエン島の燃料タンクに対して急降下爆撃を行った。いくつかのタンクが破壊されたが、空であるようであった。[3]この攻撃は、太平洋においてシーファイアが戦闘爆撃機として使用された最初のものであった[20]。イギリス軍機は一日中日本軍の対空砲による攻撃を受けた。また、攻撃価値のある目標はほとんど発見できなかったと報告された。[21]すべての攻撃でシーファイアが護衛についたが、日本軍の迎撃機は存在しなかった[22]

6月14日から15日の夜、日本軍がモエン島の飛行場を修復するのを妨害するためアヴェンジャー2機が環礁上空で活動した。それらは射撃されサーチライトに追跡されたが損害は無かった。[21]

ほぼ6月14日中シーファイアが8機ずつ第111.2任務郡の上空を飛行していたが、日本軍機とは遭遇しなかった。この任務用には「ルーラー」が使用され、戦闘機はそこで燃料補給などを行った。[23] 護衛空母を予備として使用することは、特に「インプラカブル」がスコールに入って着艦が行えないとき、燃料の乏しくなったシーファイアを「ルーラー」に降ろせたことから成功とみなされた[22]

6月14日の朝、「ルーラー」のウォーラスが熱帯の嵐で吹き飛ばされ破壊された。航空機による救難支援は交代でトラック付近に飛来したアメリカ海軍のPBYカタリナ飛行艇によって行われた。[24]だが、それらに要請が行くことはなく、着水した航空機の乗員救助は駆逐艦で可能であった[22]

6月15日

水上部隊による砲撃が6月15日の朝遅くに行われた。砲撃部隊は「アキリーズ」および「ウガンダ」(Brind座乗)と「テネイシャス」、「ニューファンドランド」と「トラウブリッジ」、「スィフトシュア」と「ティーザー」の3つの任務隊に分けられた。空母の護衛には駆逐艦2隻のみが残った。それぞれの任務隊には弾着観測のためシーファイア2機が割り当てられた。[19][25]砲撃部隊の駆逐艦の任務は巡洋艦を狙う日本軍の砲を沈黙させることと、必要であれば煙幕を張ることであった[26]。砲撃が行われる間、空母はトラックから10マイル (16 km)東へ向かった[25]

トラック環礁の地図

各巡洋艦の砲撃の成功の度合いは様々であった。「ニューファンドランド」は最初沿岸砲台を攻撃したが、それらからの反撃は無かった。「ニューファンドランド」はエテン島の飛行場も砲撃し、それは問題なく終わった。[19] 「アキリーズ」と「ウガンダ」によるダブロン島の水上機基地に対する攻撃は、2隻と弾着観測機との間の連絡に問題があったため何の損害も与えられなかった[22][19]。トラックから離れる際、「アキリーズ」は環礁のほうから飛来したアヴェンジャー2機に対して発砲した[27]

「スィフトシュア」のモエン島に対する砲撃は特にうまくいかなかった。最初の砲撃は目標からかなり外れ、修正を試みると正確性はさらに悪化した。「スィフトシュア」の砲術長は射撃指揮装置に不具合があると判断し、6-インチ (15 cm)砲塔に対して個別の照準で砲撃するよう命じた。しかし、照準手が沿岸部の目標を視認できなかったためうまくいかなかった。モエン島に接近して4-インチ (10 cm)砲で日本軍陣地を攻撃しようとしたが、その砲弾は対空用の近接信管であったため目標より上のヤシの木の中で爆発した。日本軍陣地は落ち葉で偽装されていたため、さらに攻撃が行われたものの効果は薄かった。[28][29]この後行われた調査で射撃盤の割りピンが落ちているのが発見された。最初の砲撃の衝撃で外れたと思われるこれが不正確な砲撃の原因であった。[30]砲撃は午前11時10分に終了し、各部隊は空母と合流した[22]

6月15日も航空攻撃が行われた。午後、二つのアヴェンジャーの集団が浮きドックやオイルタンクを攻撃した。夜、爆欄を搭載したアヴェンジャー6機が照明弾を投下するアヴェンジャー2機の支援の下、トラックに対する最期の攻撃を実施した。しかし、爆弾はほとんどが海に落下したものと見られる。これはイギリス太平洋艦隊の最初の大規模な夜間作戦であった。[31]

帰投

夜間攻撃が終わると、第111.2任務群はマヌス島への岐路についた。6月16日、日本軍機がレーダーに捉えられ、戦闘空中哨戒中のシーファイア1機が迎撃に向かわされたが、その機は機械的な問題のため任務を断念せざるを得なかった。任務群は6月17日にマヌス島に到着。他のイギリス太平洋艦隊の部隊が7月4日に到着するまで訓練を続けた。[32]そして、全艦艇は7月6日にマヌス島から出撃して日本本土攻撃へと向かった[33]


  1. ^ The British Pacific Fleet”. Royal Australian Navy. 2017年10月8日閲覧。
  2. ^ a b c Hobbs 2011, p. 200.
  3. ^ a b c d e f Hobbs 2011, p. 203.
  4. ^ Winton 1969, p. 164.
  5. ^ Hobbs 2011, pp. 200–202.
  6. ^ a b c Hobbs 2011, p. 202.
  7. ^ a b Rottman 2002, p. 414.
  8. ^ Poyer 2008, pp. 229, 231.
  9. ^ Royal Navy 1995, p. 207.
  10. ^ Vincent 1995, p. 78.
  11. ^ Hobbs 2011, pp. 203, 205.
  12. ^ United States Strategic Bombing Survey 1947, pp. 3, 7.
  13. ^ United States Strategic Bombing Survey 1947, p. 7.
  14. ^ Peattie 1988, p. 304.
  15. ^ Blackton 1946, pp. 403–404.
  16. ^ Hobbs 2011, p. 199.
  17. ^ a b Smith 1969, p. 163.
  18. ^ Brown 2009, p. 100.
  19. ^ a b c d Hobbs 2011, p. 207.
  20. ^ a b c d Hobbs 2011, p. 211.
  21. ^ a b Hobbs 2011, p. 205.
  22. ^ a b c d e Royal Navy 1995, p. 208.
  23. ^ Hobbs 2011, pp. 203–205.
  24. ^ Hobbs 2011, pp. 205–207.
  25. ^ a b Smith 1969, p. 164.
  26. ^ Winton 1969, p. 166.
  27. ^ Waters 1956, p. 389.
  28. ^ a b Smith 1969, p. 165.
  29. ^ Hobbs 2011, pp. 207–208.
  30. ^ Hobbs 2011, p. 208.
  31. ^ Hobbs 2011, p. 209.
  32. ^ Hobbs 2011, pp. 210, 253.
  33. ^ Hobbs 2011, p. 254.
  34. ^ Royal Navy 1995, p. 209.
  35. ^ Vincent 1995, p. 79.
  36. ^ Hobbs 2011, pp. 209, 211.
  37. ^ United States Strategic Bombing Survey 1947, p. 14.
  38. ^ Hobbs 2011, p. 210.
  39. ^ Roskill 1961, p. 363.


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