アナログ信号処理 信号

アナログ信号処理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 06:16 UTC 版)

信号

アナログ信号処理では様々な信号が使われるが、中には頻繁に使われるタイプの信号もある。

正弦波

正弦波はアナログ信号処理の基本である。実際、あらゆる信号は正弦波の合成で表すことができる。正弦波は複素指数 est で表される。

インパルス

インパルス(ディラックのデルタ関数)とは、原点を中心として無限の振幅を持ち、その幅が無限に小さい信号と定義される。インパルスは、あらゆる可能な周波数の正弦波の無限和と見ることもできる。この定義は実世界では扱いにくいので、技術的には原点では 1 でそれ以外の時点では 0 の信号とされる。インパルスは delta(t) で表される。インパルスをシステムに入力したときのシステムの出力をインパルス応答という。インパルス入力にはあらゆる周波数の成分が含まれているため、インパルス応答はシステムの定義とされる。

ステップ

ステップ関数は、原点までの時点では強さ(振幅)が0で、原点以降の時点では強さが1の信号である。ステップは u(t) で表される。ステップをシステムに入力したときのシステムの出力をステップ応答という。ステップ応答は、例えば電源を入れたときなど、突然入力があったときのシステムの応答特性を示す。出力が安定するまでの部分を過渡状態と呼ぶ。ステップ応答は、任意の信号が突然入ってきたときのシステムの反応を示すため、他の信号と組み合わせて用いられる。

LTI(線型時不変)システム

線型性とは、2つの入力についてそれぞれ出力がわかっているとき、2つの入力を同時に(加算して)入力したときの出力は元の出力を加算したものであることを意味する。線形システムの例として一次ローパスフィルタ/ハイパスフィルタがある。線型システムは線型な特性を持つアナログ部品から構成される。それら部品は完全な線型である必要はなく、単に使われる領域において線型であればよい。オペアンプは非線型デバイスだが、実際に使われるのは線型な特性を示す範囲であり、その範囲では線型デバイスとしてモデル化できる。

時不変とは、どの時点でシステムを開始させても、同じ出力が得られることをいう。例えば、あるシステムにある入力を今日与えた結果は、同じ入力を明日与えても同じである。LTIシステムとは、線型かつ時不変なシステムを指す。

完全なLTIシステムは実際には存在しないが、多くのシステムはLTIとしてモデル化できる。あらゆるシステムは温度や信号レベルなどに影響され、非線型あるいは時変となる要素を持っているが、LTIとしてモデル化するのに十分な安定性を有することが多い。LTIシステムは、従来のアナログ信号処理の手法を使って容易に解くことができる唯一のシステムモデルであるため、線型性と時不変性は重要である。非線型あるいは時変となったシステムは非線型微分方程式系で表され、解けるものは稀である(Haykin & Van Veen 2003)。

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