アズマレイジンソウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 02:55 UTC 版)
分布と生育環境
日本固有種[9]。本州の東北地方から近畿地方までのおもに太平洋側に分布し[7][9]、温帯林の林内、林縁、草地などに生育する[7]。
名前の由来
和名アズマレイジンソウは、「吾妻伶人草」[5]または「東伶人草」[6]の意。「伶人草」の「伶人」とは、舞楽を演奏する人のことで、この花の形が伶人がかぶる冠に似ていることによる[10]。「レイジンソウ」の名前は、1856年(安政3年)から1862年(文久2年)にかけて出版された飯沼慾斎の『草木図説』前編20巻中第10巻に「レイジンサウ」として登場する[11]。アズマについては、この植物のタイプ標本が記載命名者の小泉源一(1913)によって、福島県の吾妻連峰の一切経山の山麓の渓谷沿いで採集され、和名ははじめ「アズマトリカブト」とされた[1]。その後、中井猛之進(1935)[5]は和名を Adzma-Reidjnsoとし、その漢字を「吾妻伶人草」とした[5]。しかし、その後の図鑑等では「東伶人草」が使用されている[6]。
種小名(種形容語)pterocaule は、「有翼の茎の」の意味[12]。
下位分類
- シロウマレイジンソウ Aconitum pterocaule Koidz. var. siroumense (Nakai) Kadota (2006)[13] - 大型の変種で、茎が長さ3mにもなり、地面を這い、上部はつる性になって他の植物などにからまって伸びる。本州の東北地方から中部地方にかけた日本海側地域の多雪地帯に分布する[7]。
- フジレイジンソウ Aconitum × fudjisanense Nakai (1935) [14] - アズマレイジンソウとレイジンソウ A. loczyanum との自然交雑由来と推定されているもので、花柄と上萼片の基部にアズマレイジンソウに生える屈毛だけでなく、レイジンソウに生える開出毛が生え、腺毛がまばらに生える。レイジンソウは四国と九州に分布するが、門田裕一 (2016) によると、本州各地にも「レイジンソウ」が分布するというのはこの雑種にあたるという[7]。
ギャラリー
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花は総状花序につき、下から上に咲く。花弁状の上萼片の先端が細まり、上部が後方に内曲する。花柄と上萼片に屈毛が生える。
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開花前の全姿。基部の大きい葉は根出葉で花時にも生存する。茎葉は互生し、上にいくにしたがって小型になる。
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茎葉の表面。掌状に中裂し、細毛が生える。
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茎葉の裏面。葉脈に沿って屈毛が生え、葉柄に曲がった毛が生える。
- ^ a b c アズマレイジンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ アズマレイジンソウ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ アズマレイジンソウ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ アズマレイジンソウ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d Takenoshin.1935.
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.216
- ^ a b c d e f g h 門田裕一 (2016)『改訂新版 日本の野生植物 2』「キンポウゲ科」pp.120-121, p.124
- ^ a b 田村道夫 (1982) 『日本の野生植物 草本II離弁花類』「キンポウゲ科」p.63
- ^ a b c 『日本の固有植物』p.55
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.488
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(10)、「レイジンサウ」、コマ番号30/66、国立国会図書館デジタルコレクション-2020年12月28日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1509
- ^ シロウマレイジンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ フジレイジンソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 1 アズマレイジンソウとは
- 2 アズマレイジンソウの概要
- 3 特徴
- 4 分布と生育環境
- 5 分類
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