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近隣結合法

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 16:54 UTC 版)

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近隣結合法のアルゴリズム

近隣結合法(きんりんけつごうほう、Neighbor joining method)は、系統樹を作製するためのボトムアップ式のクラスタ解析法。星型の樹形から出発してOTU(操作上分類単位、系統樹の葉にあたる分類群)をクラスタリングする各段階において、総分岐長を最小化するOTUの組を発見することを原理とする。近隣結合法では解析可能な系統樹の樹形や枝長を短時間で求めることができる。1987年に斎藤成也根井正利が発表した[1]

原理

基本的原理

近隣結合法は距離行列法の一つである。距離行列法では、総枝長が最短となる系統樹が最適樹であるという仮定(最小進化原理)に基づいて系統樹が構築される。近隣結合法は、全ての配列の組において間の距離を計算して距離行列を構築する段階までは、他の距離行列法(非加重結合法最小二乗法最小進化法英語版など)と共通する[2]

最小二乗法や最小進化法との違いは、これら2つが可能なすべての系統樹で総枝長を計算して最小進化原理を満たす樹形を決定するのに対し、近隣結合法では系統樹作成の各ステップで最小進化原理を満たす葉(系統樹の節)の組を決定する点にある[2]。より具体的には、生物同士の進化距離を生物の組ごとに計算し、距離の最も小さいもの同士を最初に接続し、次に近縁なものを続けて次々に接続していくという方法を取る[3]。このため計算効率は上記2つの距離行列法に比べて良い[2]

また、近隣結合法では進化速度が一定であるという仮定がされておらず[3]、これは非加重結合法と異なる。進化速度が一定でない場合には誤った系統推定をしてしまう非加重結合法と異なり、系統樹の枝ごとに(すなわち生物ごとに)進化速度が変化していても、進化距離と系統樹上での経路の長さが等しい場合には最小進化原理を満たす系統樹を正確に構築できる[2]

なお、進化距離と系統樹上での経路の長さが等しいことは、「加法性」が成り立つことを意味する。例として、子孫ノードaおよびbと祖先ノードxの3つのノードが存在し、ab間の進化距離を

  • ^ a b c d 長谷川英祐. “第7章 進化と系統 -進化の歴史を再現する-”. 北海道大学大学院農学研究院・大学院農学院・農学部. 2021年10月23日閲覧。
  • ^ a b c d 高松進「分子系統学の基礎」『植物防疫』第59巻第3号、2005年、 64-69頁。
  • ^ a b c d 隈啓一、加藤和貴「実践的系統樹推定方法」『化学と生物』第44巻第3号、2006年、 185-191頁、 doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.44.185
  • ^ 三中信宏分子系統学:最近の進歩と今後の展望」『植物防疫』第63巻第3号、2009年、 192-196頁。
  • ^ 益子理絵、山田真介、山名早人「分枝系統樹構成法に関する最新技術動向」『情報処理学会第65回全国大会講演論文集』第1号、2003年、 233-234頁。
  • 関連項目


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