984型レーダーとは? わかりやすく解説

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984型レーダー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/11 00:28 UTC 版)

984型レーダー
「ヴィクトリアス」搭載機の背後からの写真。
種別 3次元レーダー
目的 捜索用
開発・運用史
開発国 イギリス
就役年 1958年
製造数 3基
送信機
形式 マグネトロン×3基
周波数 Sバンド
送信尖頭電力 各送信管: 3 MW
アンテナ
形式 電子走査式
直径・寸法 4.42×4.27 m
ビーム幅 1.7°
走査速度 電子走査: 16回/秒
機械走査: 6回/分
仰俯角 仰角25°
探知性能
探知距離 捜索: 150 nmi (280 km)
捕捉: 75 nmi (139 km)
※いずれも戦闘機大の目標に対して

984型レーダー英語: Type 984 radar)は、イギリスで開発された3次元レーダー電磁レンズによるビーム走査という非常に野心的な設計を採用しており、アメリカのAN/SPS-2(試作のみ)と比せられる[1]

本機は、高角測定を含めた戦闘機の管制を目的として開発された。1950年代当時、艦隊で標準的であった960型レーダーのほうが本機よりも探知距離では優れていたものの、電子防護能力で劣る上に、こちらは高角測定能力は備えていなかった。開発は1940年代末より海軍の研究機関であるAdmiralty Surface Weapons Establishmentで開始され、1950年にマルコーニ社に移管された[1]

俯仰角方向の走査はペンシルビームを指向することによる電子走査としており、方位角方向の走査は、電子走査とともにアンテナの旋回による機械式を併用している。ビーム走査は電磁レンズによって行っており、レーダー送信機の前方にレンズ配列を置いたことから、サーチライトに似た非常に独特な外見のアンテナとなった。レーダー送信機としては、送信尖頭電力3メガワットのマグネトロンを3個使用している。アンテナには5つのスキャナが備えられており、ビーム幅1.7度のペンシル・ビーム5本を同時に生成することができる。これらのペンシル・ビームは5度ずつのセクター走査を毎秒16回行っている[1]

本機は、1958年に空母「ヴィクトリアス」に搭載されて、運用を開始した。従来使用されてきた960型、982型、983型を統合して代替できる戦闘機管制レーダーとして、非常に好評であったが、独特の設計のためにシステムは大重量・複雑化したことから、同艦のほかには、空母「ハーミーズ」および「イーグル」に搭載されたのみとなった[1]

参考文献

関連項目




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