85式野外無線機とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 85式野外無線機の意味・解説 

85式野外無線機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/04 03:14 UTC 版)

携帯無線機1号

85式野外無線機(はちごうしきやがいむせんき)は、自衛隊業務無線システムの1つ。主として陸上自衛隊において、部隊相互の連絡に使用する[1]

69式野外無線機の後継として昭和60年度に制式化され、陸上自衛隊の主たる野外無線機として広く用いられた。その後、平成13年度より新野外無線機への更新を開始した[2]

構成

  • 車両無線機
  • 携帯無線機1号
  • 携帯無線機2号
  • 機上無線機
  • 中継無線機
  • ホーミング受信機及び付加装置

車両無線機

主に中隊長以上の指揮官等が使用し、音声の秘匿機能や、データ・画像の伝送機能がある[3]。基本的には送受信機JRT-F16(送信出力50W、11チャネル)を中核として、妨害電波時での運用を想定した対妨害電波装置JAS-L10や空中機JAT-F12を備える。その他のモジュール構成に応じて下記のようなバリエーションがある[1]

JVRC-F10およびF100
基本構成。F100は空中機JAT-F13を備える。1系の送受信に対応。
JVRC-F11およびF110
受信機JR-F16を備えており、またF110は空中機JAT-F13を備える。1系の送受信及び1系の受信、あるいは2系の同時受信に対応。
JVRC-F12およびF120
受信機JR-F16を2基備えており、またF120は空中機JAT-F13を備える。1系の送受信及び2系の受信、あるいは3系の同時受信に対応。
JVRC-F20およびF200
送受信機JRT-F16を2基に増設しており、またF200は空中機JAT-F13を備える。2系の送受信、あるいは2系の同時送信又は同時受信に対応。
JVRC-F300
送受信機をJRT-F14、空中機をJAT-F13としている。1系の送受信に対応。

携帯無線機1号

69式携帯無線機1号の後継で、主に小隊長などが使用する[3]。音声の秘匿機能や、データ・画像の伝送機能がある[3]。送受信機JRT-F14を中核として、空中機JAT-F10,11を備える。その他のモジュール構成に応じて下記のようなバリエーションがある[1]

JPRC-F10
追加モジュールなし。1系の送受信に対応。
JPRC-F11
受信機JR-F14を追加。1系の送受信及び1系の受信、あるいは2系の同時受信に対応。
JPRC-F12
送受信機JRT-F15を追加。2系の送受信、あるいは2系の同時受信に対応。

携帯無線機2号

69式携帯無線機2号、3号の後継で、主に小銃班長などが使用する[3]。送受信機JRT-F15を中核とする。その他のモジュール構成に応じて下記のようなバリエーションがある[1]

JPRC-F20
追加モジュールなし。1系の送受信に対応。
JPRC-F21
受信機JR-F15を追加。1系の送受信及び1系の受信、あるいは2系の同時受信に対応。

機上無線機

送受信機JRT-F17を中核とする。その他のモジュール構成に応じて下記のようなバリエーションがある[1]

JARC-F20
送受信機を1基備える。1系の送受信に対応。
JARC-F30
送受信機を2基備える。2系の送受信、あるいは2系の同時受信に対応。

中継無線機JVRC-R10

送受信機JRT-F16を中核とする。

諸元表

各無線機の性能[1]
車両無線機 機上無線機 携帯無線機1号 携帯無線機2号 中継無線機
周波数範囲 28.000〜59.975 MHz
周波数間隔 25 kHz
チャネル数 1280チャネル
電波型式 16K0F1C, 16K0F1D, 16K0F1E, 16K0F3E 16K0F1E 16K0F1E, 16K0F3E
1次変調方式 適応型定差変調(ADM)
2次変調方式 4値周波数偏移変調(4値FSK)
電源 DC 27.5V 乾電池(公称12V) DC 24V
送受信機[1]
送受信機JRT-F14 送受信機JRT-F15 送受信機JRT-F16 送受信機JRT-F17
通信方式 単信
占有周波数帯幅 16 kHz
送信出力 0.1~1 W 0.25 W 10~50 W 1~10 W
周波数プリセット
チャネル数
4チャネル
(うち1チャネルは手動設定)
2チャネル
(送受変更ユニットの
 交換により設定)
11チャネル
(うち1チャネルは手動設定)
受話出力レベル +20dBm/300Ω
※たい頭送受器は+ 20dBm/30
+17dBm/30Ω +20dBm/300Ω +17dBm/150Ω
データ出力レベル 0 / 5 V 0 / 5 V
消費電力 最大 1.5A (DC 8.8V) 最大 0.3A (DC 8.8V) 最大 8.0A (DC 24V) 最大 5.0A (DC 27.5V)
最大質量 5 kg n/a 20 kg 6 kg
受信機[1]
受信機JR-F14 受信機JR-F15 受信機JR-F16
周波数プリセットチャネル数 4チャネル 2チャネル
(受信変更ユニットの交換により設定)
11チャネル
(うち1チャネルは手動設定)
受話出力レベル +17dBm/300Ω +17dBm/30Ω +20dBm/300Ω
データ出力レベル 0 / 5 V
消費電流 最大 0.5A (DC 8.8V) 最大 0.15A (DC 8.8V) 最大 2.0A (DC 24V)
最大質量 n/a 1.2 kg 7 kg

参考文献

  1. ^ a b c d e f g h 防衛庁 (1985年12月18日). “制式要綱 85式野外無線機 G 2051”. 2003年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月5日閲覧。
  2. ^ 陸幕通信電子課陸自通信電子の現況」『信友』第25号、信友会、2002年2月1日。 
  3. ^ a b c d 『自衛隊装備年鑑1990』朝雲新聞社、1990年6月25日、106頁。ISBN 4-7509-1011-2 

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「85式野外無線機」の関連用語

85式野外無線機のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



85式野外無線機のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの85式野外無線機 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS