順序体の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/09 00:18 UTC 版)
a, b, c, d を順序体 F の元とする。 推移性:a < b かつ b < c ならば a < c a < b かつ c > 0 ならば ac < bc a < b かつ c < 0 ならば ac > bc 0 < a < b ならば 0 < 1/b < 1/a −a ≤ 0 ≤ a または a ≤ 0 ≤ −a の何れか一方のみが成り立つ。a ≠ 0 ならば、a > 0 または a < 0 の何れか一方のみが成り立つ。 「不等式は辺々加えられる」:a ≤ b かつ c ≤ d ならば a + c ≤ b + d 単位元 1 は正である。実際、1 または −1 の何れか一方のみが正であるが、−1 が正とすると (−1)(−1) = 1 は正となり矛盾である。 順序体の標数は 0 である。実際、1 > 0 ゆえ 1 + 1 > 0, 1 + 1 + 1 > 0, … などが成り立つが、標数が p > 0 とすると −1 は 1 を p − 1 個加えたものと等しいにもかかわらず正ではない。特に有限体は順序体にならない。 平方元は非負、すなわち F の各元 a に対して 0 ≤ a2 が成り立つ。特に同じ理由で 1 > 0 が成り立つ。 順序体の任意の部分体は、もとの体の順序をそこに制限して得られる順序に関してそれ自身が順序体を成す。最小の部分順序体は(任意の標数 0 の体がそうであるように)有理数体に同型であり、この部分体としての有理数体上の順序は有理数体自身の通常の順序に一致する。順序体の元が必ず部分体としての有理数体の二つの元の間にあるならば、そのような順序体はアルキメデス的であると言う。また、そうでない順序体は非アルキメデス順序体と呼ばれ、無限小を含む。例えば、実数体はアルキメデス順序体を成すが、超実数体は任意の標準自然数よりも大きい拡大実数を含むから非アルキメデス順序体になる。 順序体 K が実数体となるのは、K の空でない任意の上に有界な部分集合が K 内に上限を持つときである。
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