電子情報技術研究所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/09/07 03:35 UTC 版)
| Laboratoire d'électronique des technologies de l'information | |
|---|---|
| 正式名称 | Laboratoire d'électronique des technologies de l'information | 
| 略称 | LETI | 
| 組織形態 | 非営利研究機関 | 
| 所在地 | グルノーブル 北緯45度11分39.98秒 東経5度42分18秒  |  
  
| 予算 | フランス政府、パートナー企業、EUの研究開発プロジェクトから | 
| 人数 | 1600名 | 
| 理事長 | Marie-Noëlle Semeria(ローラン・マリエ) | 
| 設立年月日 | 1967年 | 
| 上位組織 | 原子力庁 | 
| ウェブサイト | http://www.leti.fr/en | 
電子情報技術研究所(フランス語: Laboratoire d'électronique des technologies de l'information、略称:LETI)は、フランス共和国イゼール県グルノーブルに本部を置くマイクロエレクトロニクスとナノテクノロジーの応用研究を実施する世界有数の規模を持つ研究所である。
概要
フランスのCEA(フランス原子力・代替エネルギー庁)の付属機関であるLetiは、今日では国際的な科学研究拠点として認められている、フランスアルプスに囲まれた大学都市グルノーブルに1967年に設立された。電子情報技術研究所は毎年250件に上る特許を登録し、特許により保護された1700件以上の発明を管理している。
研究所の職員数は1200名で、その他に220名以上の博士課程学生に研修を行っており、パートナー企業や研究所から200名の出向者を受け入れている。電子情報技術研究所には、200mmと300mmのウエハー規格に基づく11,000㎡のクリーンルーム、ラボなどを含むマイクロ、ナノテクノロジー研究用の大規模な設備が備わっている。これらの設備は第一級のナノスケールの測定評価、化学的、生物学的、光学的、デザイン上及び上流研究の可能性を提供するものである。
任務
電子情報技術研究所の任務は、イノベーションを創造し、世界中の人々の生活の質を向上する技術及び製品を生むために、それを産業界に移転することである。その目的のために電子情報技術研究所は、基礎研究と製造との間にある溝を埋めるために企業を支援し、新しい企業の創設を支援し、パートナー企業には競争力を高めるために知的所有権の保護を図る。あらゆるプロジェクトを通じて、Letiは有用性と製品化可能性に着目して研究を行っている。
歴史
- 1967年:当初はCEAのエレクトロニクス分野の需要を満たすために設立されたLetiは、産業界の民間企業とのパートナーシップを促進するために再編成された。
 - 1972年:後にSTマイクロエレクトロニクス社となる、スピンオフEFCIS社設立。
 - 1980年代:新施設及びクリーンルームなどをつくり、赤外線技術並びに磁気測定分野の研究で知名度を上げる。同時に、加速度センサーや重量センサーを含むMEMSの開発を始める。又、Letiはシリコン加速度センサーの特許を取得する。
 - 1991年:フランス国立電気通信研究センター(CNET)と協力して、グルノーブル・サブミクロン・シリコン・イニシアティブ(GRESSI)を設立。
 - 1992年:シリコン・オン・インシュレーター及びその他の半導体基板技術の商業化のためにスピンアウトSoitec社が創設される。
 - 1997年:カスタマー・スペシフィックMEMS製造技術の商業化のためにスピンアウトTronics Microsystems社が創設される。
 - 2002年:初めて200mmウエハーでの200mmシリコン・ジャイロメーターに成功。
 - 2003年:Siアクセレロメータ・プロセスを移転
 - 2006年:地元及び中央政府並びにグルノーブル技術研究所(INPG)との協力により、マイクロ・ナノテクノロジー分野の公共機関と産業界とのパートナーシップを支援するための研究開発カンパス、MINATECをグルノーブルに設立。
 - 2008年:Caltechと提携(NanoVLSI)
 - 2009年:IBM More Moore CMOS提携
 - 2011年:初の3D 300mm フルケーパビリティー3&Dライン
 
活動分野
- マイクロエレクトロニクスのためのマイクロ・ナノテクノロジー
 - バイオ及び医療のためのマイクロ・ナノテクノロジー
 - マイクロ・システムの開発及び統合
 - 医療及びセキュリティーのための映像技術
 - ワイヤレス、スマートデバイス
 - 宇宙及び科学
 - エネルギー、輸送、環境
 
電子情報技術研究所の技術は、宇宙工学、自動車、通信、医療、住宅、情報技術などを含む様々な産業分野で、パートナー企業にイノベーションと競争力を付与している。
協力関係
電子情報技術研究所の研究者は、新技術の開発及び商業化を加速するために、世界中の産業パートナーと密接な協力関係を築いている。又、Letiは以下のような多数の研究プログラムにも参加している。
- IBM半導体共同開発協力[1]
 - VLSIナノシステム協力(カリフォルニア工科大学と)
 - 財団法人マイクロマシンセンター(日本の経済産業省と)
 - ノキア・リサーチセンター
 - IMAGINE計画、マスクレス・リソグラフィー
 
主要テクノロジー分野でのヨーロッパの競争力を高め、新技術を開発するためにLetiは以下の様なヨーロッパレベルの計画にも参加している。
- ヘテロジニアス・テクノロジー協力(欧州の4つの研究所間の協力)
 - CMOSフォトニクス・エレクトロニクス統合(HELIOS)
 - CMOSフォトニクス相互接続層の実証のためのWADIMOS
 - EARTH、モバイル・ブロードバンド・システムに於けるエネルギー効率
 
スピンオフ
創立当初より、電子情報技術研究所は、新しい会社の設立を支援する野心的なスピンオフ・プログラムを通して、民間企業への技術移転を奨励してきた。その一環として、37の企業がLetiのスピンオフとして誕生し、2,500ポスト以上の雇用を生み出した。 その内で最も成功している企業の一つが1992年にLetiからスピンオフしたフランス、ベルナンに本社を置くシリコン・オン・インシュレーター及びその他の半導体基板技術の開発企業のSoitec Groupである。SoiteceはパリのEuronextに上場し、2009年度(2010年3月までの年度)には2億900万ユーロの売り上げを上げている。
- 他のスピンオフの例 
  
- EFCIS,semiconductors, 1977 (evolved through mergers to become ST Microelectronics)
 - Sofradir, Infrared detectors, 1986
 - Tronics Microsystems, MEMS technology, 1997
 - Movea, MEMS motion sensors, 2007
 - Fluoptics, fluorescence imaging for cancer treatment. 2008
 - MicroOLED, OLED microdisplays, 2007
 - …
 
 
参考文献
- ^ “CEA-Leti Helps Launch Wear-a-BAN Project” (英語). Sensors Magazine (2010年7月20日). 2011年1月20日閲覧。
 
- CEA-Leti Helps Launch Wear-a-BAN Project. Sensors Magazine. (英語)
 - CEA-Leti and IBM to Collaborate on Future Nanoelectronics Technology. (9 April 2009). (英語)
 - Simmie, James. Innovation Networks and Learning Regions?. Taylor & Francis Publishing (2003). (英語)
 - 2009-2010 full-year financial results (19 May 2010). (英語)
 
関連項目
外部リンク
- (英語) CEA-Leti オフィシャル・ウェブサイト
 - (英語) Minatec
 
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