福島義言とは? わかりやすく解説

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福島義言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/06 03:45 UTC 版)

福島 義言(ふくしま よしこと[1]、1842年(天保13年 - 没年不詳[2])は、江戸時代末期の武士、万延元年遣米使節に監察小栗豊後守忠順の従者として渡航しその見聞を『花旗航海日誌』として残した[3]。その後名前を浅田麟之輔惟季と変え、鳥羽伏見会津戊辰戦争箱館戦争を戦った。さらに乙葉林八と名前を変えた[4]

生涯

名前の変遷

『万延元年遣米使節史料集成 第3巻』の吉田常吉による解題「福島義言の『花旗航海日誌』について」では「福島義言の経歴については、不明で日誌の原本の所在も明らかでない。三冊本から成る『花旗航海日誌』は、故文学博士野村兼太郎本所蔵の写本によっている[3]」となっているが、1916年から1917年にかけて雑誌『江戸』に「福島義言 手稿 航米日記」として9回にわたって掲載された『花旗航海日誌』の冒頭には、「著者今は乙葉林八と称す。小栗忠順の親属にて浅田宗伯の義子と為り浅田麟之輔と称し歩兵指図役頭取と為りて維新の際、会津箱館に転戦す。其の後商に帰し浅田家の高祖の姓乙葉氏を冒して改名せしと云う。牛込矢来町に退隠せしが近ごろ大連に転住せりと聞けり」と記述されている[4]。福島義言から浅田麟之輔、さらに乙葉林八と名前を変えたということになる。

万延元年遣米使節に随行(福島義言として)

万延元年(1860年)、日米修好通商条約批准書交換のための遣米使節派遣が決定されたが、その護衛および航海訓練として軍艦奉行木村芥舟提督とする咸臨丸も派遣されることになった。福島義言、通称恵三郎は、監察小栗忠順の従者として渡航した。この時19歳で、遺米使節一行中では、通詞見習立石斧次郎の17歳につぐ年少者であった[3]。この時の記録を『花旗航海日誌』として残し、後の大正6年(1917年)に雑誌『江戸』に9回に分けて掲載された。

鳥羽伏見、会津戊辰、箱館戦争を戦う(浅田麟之輔として)

どういう経緯でかは不明であるが、浅田宗伯の義子となり浅田麟之輔惟季を名乗る。国立公文書館蔵の『浅田惟季北戦日誌』(明治期の写本 )に、浅田麟之輔は幕府陸軍伝習隊指図役頭取として鳥羽伏見、会津戊辰戦争、箱館戦争を旧幕府伝習隊指図役頭取として戦った様子が詳細に記されている[5]

函館中央図書館が所蔵する函港記事(義団録)https://archives.c.fun.ac.jp/documents/1810451458 という書籍の巻頭に、「徳川幕府陸軍伝習歩兵隊差図役頭取鈴木金次郎の手記を同僚乙葉林八(当時は浅田麟之輔)が箱館の病院で重傷の療治中に借り受けて復写した」と朱字で書かれている[6]ことで、箱館戦争で重傷を負い入院したことが分かる。

中国に転住(乙葉林八として)

雑誌『江戸』の連載冒頭に、「大連に転住せりと聞けり」とある[4]

脚注

  1. ^ 宮永孝『万延元年のアメリカ報告』新潮社〈新潮選書〉、1990年、253頁https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/13205499/1/130 
  2. ^ 市古貞次 ほか編 編『国書人名辞典 第4巻』岩波書店、1998年、162頁https://dl.ndl.go.jp/pid/13236017/1/85?keyword=義言 
  3. ^ a b c 万延元年遣米使節史料集成 第3巻 解題 福島義言の『花旗航海日誌』について』1961年、415頁https://dl.ndl.go.jp/pid/11934900/1/216 
  4. ^ a b c 福島義言 手稿 航米日記(其1)」『江戸』第5巻2(18)、1916年12月、1頁。 
  5. ^ 浅田『浅田惟季北戦日誌https://www.digital.archives.go.jp/file/1217901.html 
  6. ^ 函館市中央図書館デジタル資料館”. archives.c.fun.ac.jp. 2025年3月10日閲覧。

参考文献

『花旗航海日誌』(福島義言)

会津戊辰戦争、箱館戦争(浅田麟之輔)

関連項目




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