犬と支那人入るべからず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/31 16:09 UTC 版)
犬と支那人入るべからず(いぬとしなじんはいるべからず 華人與狗不得入內」告示牌)は、上海租界において用いられていたとされている言葉。
概要
上海租界においては中国人の地位というのは最も低く、あらゆる侮辱を受けていた。そこでの施設の中には「犬と支那人入るべからず」と書いて中国人が入れないようにしていたものまでもあったとのこと。現代でもこの言葉を用いている企業も存在しており、その企業というのは中国に対する基本的な尊重の気持ちが足りていないということが表れている[1]。
このようにして中国人を入れないようにしていたのは、このようにしなければその公園は浮浪者の巣窟となってしまうからであるともされている[2]。
実際はこれは複数書かれていた公園の使用規則で、1条が犬は立ち入り禁止で、5条が中国人は立ち入り禁止と書かれていたもので、周作人はこのようなことが書かれていた公園の近くをたまたま通っていたときにこの文字を見つければ、我々中国人は犬と同等とされているということではないか、それなのに我々中国人は一つの不満も言わずに公園の鉄柵から中を覗き込むのみだと興奮して、犬と支那人入るべからずと書かれていると日記に記していた[2]。
遠山景直の著作によると、1条は人間が自転車および犬を引き入れないように書かれており、5条は西洋人の使用人ではない中国人は入らないように書かれているものであった。この庭は貴人の庭であるということを心得て、衣服や体裁にも心得ることがよろしいとも書かれていた[3]。
郭沫若は、かわいそうな亡国奴、だが我々中国人は亡国奴にも及ばない。インド人ですら公園に自由に入れるというのに、我々中国人だけが犬なのである。やはり犬と自分たちの運命を同一視する。犬と中国人だけが公園に入ることを拒否されたことは事実であると書き残している[2]。
当時の中国人にとって愛玩動物とは全く無縁のものであり、犬は立ち入り禁止というのは西洋人に向けて愛玩動物を入らせないように書かれていたもののため、犬と中国人は同様と意味するものではないものである。だが中国人はこれに敏感に反応して、中国人自身が西洋人に支配されている自分たちの存在を犬と同様にされているとしていたのであった[2]。
脚注
- ^ “無印良品「フランス租界」で中国人のレッドラインに触れる--人民網日本語版--人民日報”. j.people.com.cn. 2025年10月31日閲覧。
- ^ a b c d “租界上海のパブリック・ガーデンに纏わる誤解をめぐって”. 2025年11月1日閲覧。
- ^ “上海・黄浦公園の制札”. 2025年11月1日閲覧。
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