楽興の時 (シューベルト)とは? わかりやすく解説

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楽興の時 (シューベルト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/14 04:41 UTC 版)

楽興の時』(がっきょうのとき、Moments MusicauxD 780は、シューベルトが作曲した6曲構成のピアノ曲集。1823年から1828年にかけて作曲され、28年に作品94として出版された。日本では多くのCMで採用され、広く知られている。特に第3番ヘ短調が名高い。

題名

自筆原稿は残っておらず[1]、シューベルト自身による題名は不明である。6曲のうち第3番と第6番は、1823年にSauer & Leidesdorfから出版された『Album Musical』に含まれ、第3番は「Air russe」(ロシアのアリア)、第6番は「Plaintes d’un Troubador」(トルバドゥールの嘆き)というフランス語の題名がつけられていた[1]。1827年から1828年にかけて全6曲が『Momens Musicals』という間違ったフランス語の題をつけてLeidesdorfから出版された[1]。現在はフランス語文法にしたがうように修正した『Moments musicaux』が一般に用いられる。

第1番 ハ長調

モデラート、4分の3拍子、三部形式

変化に富む曲調であり、装飾音が多い。両手3連符によるト長調の穏やかな中間部が、主部との素晴らしい好対照を成す。

第2番 変イ長調

アンダンティーノ、8分の6拍子、ロンド形式

シチリアーノのリズムを基本としている。変イ長調の穏やかな主部に、嬰ヘ短調のエピソードが2度挿入されるが、2度目は突発的な激情の爆発に始まり、非常に印象深い。シューベルトは穏やかな曲にこうした激情的な部分を挿入する事が多い。

第3番 ヘ短調

アレグロ・モデラート、4分の2拍子、三部形式。

6曲中最も知られている。シューベルトの存命中から愛好され「エール・リュス」(ロシア風歌曲)として有名であった。三部形式で左手の単調な伴奏を背景に右手が和音で歌う。NHKラジオ放送「音楽の泉」の主題曲としてもおなじみ(現在はマリア・ジョアン・ピレシュの演奏による)。映画「カルメン故郷に帰る」でも用いられた。レオポルド・ゴドフスキーがこの曲をより複雑にした編曲を残している。また、常磐線いわき駅の発車メロディに採用されている。

第4番 嬰ハ短調

モデラート、4分の2拍子、三部形式。

右手の無窮動風の旋律を左手の単調な伴奏が支える構図である。中間部は変ニ長調の伸びやかな部分。エンハーモニックな転調が多い。

第5番 ヘ短調

アレグロ・ヴィヴァーチェ、4分の2拍子、三部形式。

行進曲風の主題。途中は激しく転調しながら進行する。

第6番 変イ長調

アレグレット、4分の3拍子、三部形式。

落ち着いた間奏曲エンハーモニックな転調が多い。中間部は変ニ長調ユニゾン。速度指定はアレグレットであり、通常は5~6分の演奏時間であるが、内田光子リヒテルはたいへん遅いテンポで10分以上かけて演奏している。

脚注

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