戸張大輔とは? わかりやすく解説

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戸張大輔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/20 19:40 UTC 版)

戸張 大輔(とばり だいすけ、生年月日不詳)は、日本のシンガーソングライターギタリストであり、1990年代の関西ローファイ/スカム・シーンでカルト的な人気を博した孤高の音楽家である。アシッド・フォークやドリーミーな音楽性で知られ、自主制作のカセットテープやCD作品を通じて一部の音楽ファンや批評家から高い評価を受ける。戸張 みゆき(Miyuki Tobari)名義でも作品を発表しており、これは彼の妹の名前を使用したものであるとされる。

来歴

1990年代半ばに大阪のインディーズ音楽シーンで活動を開始した。初期作品であるカセットテープ『ファンタジー』(1994年頃)は、大阪のフォーエバーレコードや東京のロス・アプソンで販売され、音楽雑誌『REMIX』(1995年)で山塚アイが年間ベストアルバムに選び、豊田道倫も『G-SCOPE』誌(1994年)で同作をベストアルバムに選ぶなど、局地的な支持を集めた。

1999年、カーネーション直枝政広らが主宰するレーベル:バンブルビー・レコードから、既発のカセット音源と新録を組み合わせた22曲入りCDアルバム『ギター』を発表。このアルバムは「一切の形容を拒否したかのドリーミィーな音楽」として口コミで評判を呼び、10年にわたるロングヒットとなった。2019年には新曲と未発表ライブ音源を収録した7インチ盤を付属したLP盤が、2022年にはカセットテープ版がそれぞれ再発された。

2009年には2ndアルバム『ドラム』をリリース。ギターとボーカルを中心とした極めてプライベートな音楽性が特徴であり、「永遠の時」を感じさせる作品として一部で評価された。本作のリリースパーティ(2009年11月28日:東京・メコノプシス、2010年1月16日:大阪・雲州堂)では」戸張みゆき名義のCD-R作品『ドラムンベース』を限定リリースした。

音楽的特徴

戸張は、U2CHARA長渕剛のみを聴いていたという特異な音楽的背景を持ち、アシッド・フォークやローファイの要素に加えてノイズや粗い音質を意図的に取り入れた独自のスタイルが特徴である。作品はサブスクリプションサービスではほとんど配信されておらず、CD、カセットテープ、LPなどの物理メディアを通じて主に流通している。そのため商業的な音楽シーンとは一線を画し、関西のインディーズシーンや限られたリスナー層に根強い人気を持つ。2000年には、アメリカのエクスペリメンタル・バンド、キャロライナ・レインボーのメンバーが戸張の音源を持ち帰り、『夢の涯てまで(Till The End Of The Dream)』として海外で販売され、国際的なカルト的支持も得た。

批評家からは「古代の叡智を感じる」「音楽に選ばれた男」と評され、ミニマリスティックでありながら感情的な深みを湛えたメロディーや歌詞が支持されている。戸張みゆき名義の『ドラムンベース』は、アヴァン・フォークやサイケデリック・フォークのジャンルに分類され、電子音楽のドラムンベースとは異なる独自の解釈を持つ。

ディスコグラフィ

アルバム

  • 『ファンタジー』(1994年、カセットテープ、自主制作)
  • 『ギター』(1999年、CD、バンブルビー・レコード;2019年、LP再発;2022年、カセット再発)
  • 『ドラム』(2009年、CD、バンブルビー・レコード)
  • 『ドラムンベース』(2009年、CD-R、戸張みゆき名義、限定リリース)

その他

  • 2019年、『ギター』LP再発盤に付属の7インチシングル(新曲および未発表ライブ音源収録)

評価と影響

インターネット上に公式なウェブサイトや詳細なプロフィールが存在せず、「謎の音楽家」として知られる。そのミステリアスな存在感が逆に彼のカルト的な人気を高めている。音楽ライターやファンからは、ノイズを積極的に取り入れたローファイな音作りが、現代のクリアな音質志向とは対照的に独特の魅力を放つと評価される。『ドラムンベース』は、Rate Your Musicで2009年のアルバムランキング1132位にランクインし、ニッチな支持を集めた。EGO-WRAPPIN'の中納良恵によるカバーや、能町みね子が彼のファンであるとされるなど、一部のアーティストや文化人に影響を与えている。

人物

個人的な情報はほとんど公開されていない。音楽的影響として、特にCHARAについて強いこだわりを持つと伝えられる。音楽活動への意欲は高くないとされ、CDリリースも他者からの依頼によるものが主であるという。戸張みゆき名義の使用については、彼の妹の名前を借用したものとされ、その背景や意図は公には明らかにされていない。

脚注

出典

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