慈悲深い殺人者のパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 01:46 UTC 版)
「義務論理」の記事における「慈悲深い殺人者のパラドックス」の解説
慈悲深い殺人者のパラドックスもまた、義務違反時の義務に関するパラドックスである。以下の三つの命題がすべて成り立っているような状況は、論理的に可能な状況であるように思われる。 あなたは人を殺すべきではない。 もしあなたが人を殺すのであれば、あなたは慈悲深く殺さねばならない。 あなたは人を殺す。 これらの命題は、次のように記号化されよう。 O ¬ k {\displaystyle O\lnot k} k → O g {\displaystyle k\to Og} k {\displaystyle k} ここで、「人を慈悲深く殺すのであれば、人を殺すことになる」という命題、すなわち g → k {\displaystyle g\to k} という命題は、真であると仮定してよいであろう。ところが、 { O ¬ k , k → O g , k , g → k } {\displaystyle \{O\lnot k,\ k\to Og,\ k,\ g\to k\}} という論理式の集合は論理的に矛盾している。したがって、上の三つの命題(および g → k {\displaystyle g\to k} という前提)が同時に成り立っているような状況は論理的にありえない状況であることになる。しかしこれは直観に反する。
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