忠実加群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/25 08:38 UTC 版)
環 A 上の(左または右)加群 M は、その零化イデアル AnnA (M) が {0} であるときに、忠実(英: faithful)であるという。言い換えると、各 の作用が自明でない(ある x ∈ M に対して α・x ≠ 0)ということである。別の言い方をすれば、対応する表現
が単射である。
任意の加群に対して、次のようにして忠実加群を対応させることができる。環準同型 は、単射準同型
によって分解する。ker ψ は AnnA (M) に他ならないので、
によって M に A / AnnA (M)-加群としての構造が入り、このとき
は単射なので M は忠実である。
性質
A-加群 M の任意の元 x に対して Mx = M とおくと、写像
は A-準同型である。このとき ker φ = AnnA (M) なので、準同型定理より
を得る。したがって M が忠実加群であれば、A は(自然にA-加群と見て) の部分加群に同型である。
参考文献
- 岩永, 恭雄、佐藤, 眞久、佐藤眞久 『環と加群のホモロジー代数的理論』 日本評論社、2002年、第1版。ISBN 4-535-78367-5。
忠実加群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:37 UTC 版)
忠実加群 M とは、R の 0 でない各元 r に対して r の M への作用が自明でない(すなわち、M の元 x で rx ≠ 0 となるものがある)ときに言う。これは M の零化域 (annihilator) が零イデアルであるときといっても同じである。
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