ワン・バトル・アフター・アナザーとは? わかりやすく解説

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ワン・バトル・アフター・アナザー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/05 11:14 UTC 版)

ワン・バトル・アフター・アナザー
One Battle After Another
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
脚本 ポール・トーマス・アンダーソン
原作 ヴァインランド』(トマス・ピンチョン
製作
出演者
音楽 ジョニー・グリーンウッド
製作会社
  • Ghoulardi Film Company
配給
公開
上映時間 162分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $115,000,000–$140,000,000[1][2]
興行収入
  • $31,626,146[3]
  • $71,426,146 [3]
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ワン・バトル・アフター・アナザー』(One Battle After Another)は、2025年アメリカ合衆国アクションスリラー映画。監督・製作・脚本をポール・トーマス・アンダーソンが務める。レオナルド・ディカプリオレジーナ・ホールショーン・ペンアラナ・ハイムテヤナ・テイラー英語版ウッド・ハリスベニチオ・デル・トロチェイス・インフィニティが出演する[4]

ワーナー・ブラザース・ピクチャーズの配給で2025年9月26日に米国で公開[5]

ストーリー

カリフォルニアの移民収容所から移民を救出する極左革命グループ「フレンチ75」のメンバーである「ゲットー」ことパット・カルフーンレオナルド・ディカプリオ)とパーフィディア・ビバリーヒルズ(テヤナ・テイラー)は、作戦中に収容所の指揮官スティーヴン・ロックジョー警部(ショーン・ペン)を屈辱的に出し抜く。ロックジョーはパーフィディアに異常な性的執着を抱くようになる。パットとパーフィディアは恋人となり、フレンチ75は政治家事務所、銀行、電力網への攻撃を繰り返す。ある爆弾設置の現場でパーフィディアを捕らえたロックジョーは、モーテルでの性的関係を条件にパーフィディアを解放する。

パーフィディアは娘シャーリーンを出産するが、革命活動を優先し、パットと娘を捨てる。銀行強盗の失敗で警備員を射殺したパーフィディアは逮捕され、ロックジョーの提案でフレンチ75の仲間を密告。証人保護プログラムに入り、ロックジョーは情報を基にメンバーを次々と射殺または逃亡に追い込む。パットは娘シャーリーンを連れ、それぞれボブ・ファーガソンウィラ・ファーガソンとして身を隠す。パーフィディアはロックジョーの監視を逃れ、メキシコへ逃亡する。

16年後、聖域都市バクタン・クロスで暮らすボブ(パット)は薬物中毒とパラノイアに苛まれ、自立したティーンエイジャーに成長したウィラ(シャーリーン、演:チェイス・インフィニティ)を過保護に守って二人で暮らしている。

一方、ロックジョーは反移民政策を通して警視[6]に昇進し、白人至上主義秘密結社「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」に入会する。黒人女性であるパーフィディアとの過去の関係を隠し、ウィラが実子である証拠を探すため、先住民の賞金稼ぎ・アヴァンティQ(エリック・シュヴァイク)を雇い、ボブの同志ハワード・サマーヴィル(ポール・グリムスタッド)を捕らえるが、これがフレンチ75の残党に警報を発する。

ロックジョーは移民と麻薬の取締作戦を装い、軍をバクタン・クロスに派遣する。フレンチ75のメンバー・デアンドラレジーナ・ホール)が学校のダンスパーティー襲撃前にウィラを救出する。薬物で朦朧とするボブは寝室の隠しトンネルを使い辛うじて自宅を脱出するが、フレンチ75のホットラインのパスワードを忘れ助けを得られない。ウィラの空手師範セルジオ・セント・カルロスベニチオ・デル・トロ)に助けを求め、不法移民を隠しトンネルで避難させるが、屋根伝いの逃亡中に転落し逮捕される。

デアンドラはウィラを革命尼僧の修道院に連れ、母パーフィディアの裏切りの真実を明かす。結社「クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ」は会合を開き、ロックジョーの過去の関係の証拠を発見し、メンバーの1人ティム・スミス(ジョン・フーゲナッカー)に抹殺を命じる。

ロックジョーは修道院を襲撃し、ウィラのDNAを採取し自身のものと照合させ、自分が実父であることを確認する。セルジオはボブの脱獄を手配し修道院へ運ぶが、警察の追跡をかわすため車から投げ出す。ボブは車を盗み修道院に到着するが、セルジオのライフルでロックジョーを撃つも当たらない。ロックジョーはアヴァンティにウィラの処分を命じる。

その後スミスがロックジョーを撃ち、車をクラッシュさせる。スミスはロックジョーが死亡したと判断して去るが、ロックジョーは重傷を負いながらも生き延びる。アヴァンティはウィラを解放し、ロックジョーの部下に撃たれ死亡する。ウィラはアヴァンティの車を走らせ、スミスを待ち伏せる。革命の合言葉を知らないのを確認してスミスを射殺し、追いついてきたボブとついに再会する。

重傷から生還したロックジョーは結社に迎え入れられたかに見えたが、有毒ガスによって殺され、その後焼却される。帰宅した後、ボブはウィラにパーフィディアからの希望の手紙を渡す。もはや娘の将来を案じることのないボブは、オークランドの抗議運動に参加しに行くウィラを快く見送る。

キャスト

極左革命グループ『フレンチ75』の元メンバー。
グループを追う軍人。
パットとパーフィディアの娘。
ウィラのテコンドーの先生であり聖域都市バクタン・クロスの不法移民グループのリーダー。
  • パーフィディア・ビバリーヒルズ - テヤナ・テイラー英語版
『フレンチ75』のメンバーであり、ウィラの母。
『フレンチ75』のメンバー。
『フレンチ75』のメンバー。
『フレンチ75』のメンバー。
  • ジャングルプッシー - シェイナ・マクヘイル英語版
『フレンチ75』のメンバー。
  • ハワード・サマーヴィル / "ビリー・ゴート" / "グリンゴ・コヨーテ" - ポール・グリムスタッド
『フレンチ75』のメンバー。
白人至上主義の秘密結社『クリスマスの冒険者』のメンバー。
  • ティム・スミス - ジョン・フーゲナッカー
  • アヴァンティQ - エリック・シュヴァイク

製作

2023年6月、ポール・トーマス・アンダーソンの新作映画の配給権をワーナー・ブラザース・ピクチャーズが獲得した。当初、ホアキン・フェニックスヴィゴ・モーテンセンレジーナ・ホールの出演が噂されていた[7]。2024年1月、レオナルド・ディカプリオショーン・ペン、レジーナ・ホールの出演が決定した[8]。2024年2月、アラナ・ハイムテヤナ・テイラー英語版ウッド・ハリスシェイナ・マクヘイル英語版チェイス・インフィニティがキャストに加わった[9]。ディカプリオの出演料は2000万ドルとされる[10]

撮影は、『BCプロジェクト』というワーキングタイトルの下、2024年1月22日までにカリフォルニア州で開始された[11][12][13]ハンボルト郡全域、ユーレカアーケータ、カッテン、トリニダードで11日間撮影された[14]。2月3日、製作チームはサクラメントに移り、サクラメント郡庁舎とサクラメント郡裁判所英語版で撮影が行われた[15]。カリフォルニア州アラメダ郡バークレーでは、撮影のためにホームレステントが撤去され、物議を醸した[16]。2024年6月には、テキサス州エルパソでもロケ撮影が行われた[17]。本作の撮影には、ビスタビジョンカメラおよび35ミリフィルムが使用された[18]

ジョニー・グリーンウッドが作曲を務める。長編映画でアンダーソンとタッグを組むのは、本作で6度目となる[19]

2024年2月、アメリカのエンターテインメント専門誌であるバラエティは、製作予算を1億1500万ドルと報じた[1]。同年8月、ウォール・ストリート・ジャーナルが、予算は「1億4000万ドル以上」であるとした上で、アンダーソン監督の最高興行収入映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の興行収入はわずか7600万ドルだったが、「ワーナー幹部らはディカプリオの興行成績が本作の予算を正当化すると述べている」と報じた[2]。また、アンダーソンが以前にトーマス・ピンチョンの『LAヴァイス』を映画化していること挙げ、ピンチョンの『ヴァインランド』からいくらかのインスピレーションを受けているという噂も流れた[20][21]。本作が『ヴァインランド』にゆるやかに基づいていることは後の試写で確認された[22]

日本時間の2025年3月21日に初めての映像となる「予告編の予告編」が公開された。

公開

当初、米国での公開日は2025年8月8日の予定だったが、製作・配給のワーナー・ブラザーズは公開計画を変更、公開日は9月26日になった[23]。アンダーソンの映画としては初のIMAX公開となる[24]。また、ビスタビジョンで撮影された本作は、一部劇場ではIMAX史上初となる全編1.43:1の拡張アスペクト比で上映されることも決定した[25]

評価

本作は批評家から激賞されている。批評集積サイトRotten Tomatoesでは、346人の批評家のレビューのうち96%が肯定的な評価を下している。同サイトの評論家総評は、「息を呑むようなアクションシーン満載の壮大なスクリューボール・アドベンチャー『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品の中で最もエンターテイメント性に富み、同時に最もテーマ性豊かな作品の一つである」となっている[26]Metacritic 61人の評価に基づき、100点満点中95点という「普遍的な称賛」の評価を与えている[27]CinemaScoreによる観客投票では、A+からFの評価の平均で「A」を得た[28]

出典

  1. ^ a b Siegel, Tatiana (2024年2月21日). “Warner Bros. Spends Big: 'Joker 2' Budget Hits $200 Million, Lady Gaga's $12 Million Payday, Courting Tom Cruise's New Deal, and More” (英語). Variety. 2024年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月21日閲覧。
  2. ^ a b Flint, Joe (2024年8月10日). “At Warner Discovery It's Lean Times, Except for the Movie Studio Bosses” (英語). The Wall Street Journal. 2024年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月11日閲覧。
  3. ^ a b One Battle After Another” (英語). Box Office Mojo. 2025年10月3日閲覧。
  4. ^ Melissa, Billie (2024年2月6日). “Cast of Paul Thomas Anderson’s New Film Spotted in Sacramento” (英語). Men's Journal | Streaming. 2024年8月27日閲覧。
  5. ^ D'Alessandro, Anthony (2024年3月12日). “‘The Batman 2’ From Matt Reeves Heads To Fall 2026; Paul Thomas Anderson-Leonardo DiCaprio Movie Gets Summer 2025 Date” (英語). Deadline. 2024年8月27日閲覧。
  6. ^ 英語では「Colnel」(大佐)だが、字幕翻訳では「警視」
  7. ^ Kohn, Eric (2023年6月24日). “Turner Classic Movies Needs a New Home, Not Just New Leadership” (英語). IndieWire. 2024年8月27日閲覧。
  8. ^ Jr, Justin Kroll,Mike Fleming (2024年1月10日). “Paul Thomas Anderson & Warner Bros Set Leonardo DiCaprio, Sean Penn, Regina Hall In Film To Shoot This Year” (英語). Deadline. 2024年8月27日閲覧。
  9. ^ Galuppo, Mia (2024年2月2日). “Teyana Taylor, Alana Haim to Star in Paul Thomas Anderson’s Latest Movie (Exclusive)” (英語). The Hollywood Reporter. 2024年8月27日閲覧。
  10. ^ Siegel, Tatiana (2024年2月21日). “Warner Bros. Spends Big: ‘Joker 2’ Budget Hits $200 Million, Lady Gaga’s $12 Million Payday, Courting Tom Cruise’s New Deal and More” (英語). Variety. 2024年8月27日閲覧。
  11. ^ (WATCH) First Look at Leonardo DiCaprio In Character for New Paul Thomas Anderson Film Currently Filming in Humboldt” (英語). Lost Coast Outpost. 2024年8月27日閲覧。
  12. ^ Schreur, Brandon (2024年1月30日). “Leonardo DiCaprio Set Photos Reveal First Look at Paul Thomas Anderson's New Movie” (英語). ComingSoon.net - Movie Trailers, TV & Streaming News, and More. 2024年8月27日閲覧。
  13. ^ PTA's Next Film to Continue Shooting Until January 2025!” (英語). World of Reel (2019年8月19日). 2024年8月27日閲覧。
  14. ^ Multiple sources:
  15. ^ Lange, Ariane (2024年2月4日). “Movie crew, director Paul Thomas Anderson film in Sacramento — but no sign of DiCaprio” (英語). The Sacramento Bee. 2024年2月4日閲覧。
  16. ^ Trubey, Devin (2024年2月10日). “Tents cleared from park ahead of movie filming, Sacramento Homeless Union says” (英語). ABC 10. 2024年2月11日閲覧。
  17. ^ Paloma, Natassia (2024年6月21日). “Mysterious Warner Bros. film crew in El Paso: What are they shooting?” (英語). El Paso Times. 2024年6月23日閲覧。
  18. ^ Raup, Jordan (2024年3月13日). “Paul Thomas Anderson's Next Film Sets August 2025 Release, Including IMAX Theaters” (英語). The Film Stage. 2024年6月9日閲覧。
  19. ^ Lewis, John (2024年5月10日). “Jonny Greenwood: 'I'm still arsing around on instruments like when I was a kid'” (英語). The Guardian. 2024年5月11日閲覧。
  20. ^ Rindner, Grant (2024年3月22日). “Is Paul Thomas Anderson's Mysterious, Big-Budget New Leonardo DiCaprio Film an IMAX Thomas Pynchon Movie?” (英語). GQ. 2024年8月5日閲覧。
  21. ^ Ruimy, Jordan (2024年8月2日). “Paul Thomas Anderson's The Battle of Baktan Cross ...”. World of Reel. 2024年8月5日閲覧。
  22. ^ Raup, Jordan (2025年1月25日). “Paul Thomas Anderson’s One Battle After Another Test Screens, Confirmed to Be Modern Update on Vineland” (英語). 2025年6月3日閲覧。
  23. ^ レオナルド・ディカプリオ×ポール・トーマス・アンダーソン監督の新作、ビスタビジョン導入のため9月公開に延期 :”. 映画.com (2025年3月23日). 2025年5月13日閲覧。
  24. ^ D'Alessandro, Anthony (2024年3月12日). “‘The Batman 2’ From Matt Reeves Heads To Fall 2026; Paul Thomas Anderson-Leonardo DiCaprio Movie Gets Summer 2025 Date” (英語). Deadline. 2024年8月27日閲覧。
  25. ^ 「ワン・バトル・アフター・アナザー」ポール・トーマス・アンダーソン監督史上初のIMAX及びDolby Cinema上映決定!”. 映画.com. エイガ・ドット・コム (2025年9月18日). 2025年9月18日閲覧。
  26. ^ One Battle After Another | Rotten Tomatoes” (英語). www.rottentomatoes.com. 2025年9月27日閲覧。
  27. ^ One Battle After Another Reviews” (英語). www.metacritic.com. 2025年9月27日閲覧。
  28. ^ Galuppo, Mia (2025年9月28日). “Box Office: ‘One Battle After Another’ Lands $22M Opening Weekend” (英語). The Hollywood Reporter. 2025年10月1日閲覧。

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