ロス伯爵_(アイルランド)とは? わかりやすく解説

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ロス伯爵 (アイルランド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 14:07 UTC 版)

ロス伯爵
Earl of Rosse
創設時期 1806年2月3日
創設者 ジョージ3世
貴族 アイルランド貴族
初代 初代伯ローレンス・パーソンズ
現所有者 7代伯ウィリアム・パーソンズ英語版
相続人 オクスマントン男爵ローレンス・パーソンズ
付随称号 オクスマントン男爵
(バー城の)準男爵
邸宅 バー城英語版
モットー 神と国王のために
(Pro Deo Et Rege)

ロス伯爵(ロスはくしゃく、: Earl of Rosse)は、アイルランド貴族の爵位。2度創設され、第2期が存続している。

歴史

(ベラモントの)パーソンズ家

イングランドノーフォーク州からアイルランドに移住したウィリアム・パーソンズ英語版(1570–1650)は1602年にアイルランド測量監督英語版に任命された後、アイルランド庶民院議員を務め、1620年6月7日に騎士爵に、同年11月10日にアイルランドの準男爵に叙された[1]

その孫にあたる2代準男爵ウィリアム・パーソンズ(?–1658)もアイルランド庶民院議員を務めた[1]。3代準男爵リチャード・パーソンズ(c.1656–1703)は1681年7月2日にアイルランド貴族であるウェックスフォード県におけるロス子爵オクスマントン男爵に叙された[2]。これらの爵位には曽祖父にあたる初代準男爵の男系男子への特別残余権(special remainder)が規定された[2]。初代子爵は1689年にジェームズ2世が招集したアイルランド議会に出席したとされ、1696年2月より16か月間投獄された[2]

その息子である2代子爵リチャード・パーソンズ(?–1741)は1718年6月16日にロス伯爵に叙された[3]。その息子である2代伯爵リチャード・パーソンズ(c.1716–1764)が死去すると、初代伯爵の男系男子が断絶したが、このときには初代準男爵の男系男子も断絶していたため、特別残余権が発動されることはなく、爵位がすべて廃絶した[4]

(バー・キャッスルの)パーソンズ家

伯爵家の居城バー城英語版

(ベラモントの)初代準男爵の弟の息子にあたるローレンス・パーソンズ(c.1637–1698)キングス・カウンティ県長官英語版を務め、1677年12月15日にアイルランドの準男爵に叙された[5]

その息子である2代準男爵ウィリアム・パーソンズ英語版(1661–1741)ティペラリー県長官英語版を務めたほか、40年以上アイルランド庶民院議員を務めた[5]

その孫と曽孫にあたる3代準男爵ローレンス・パーソンズ英語版(1708–1756)、4代準男爵ウィリアム・パーソンズ英語版(1731–1791)もアイルランド庶民院議員を務めた政治家だった[5]。また4代準男爵の代にロス伯爵が廃絶すると、準男爵がパーソンズ家家長になった[4]

3代準男爵の三男で4代準男爵の弟にあたるローレンス・ハーマン・パーソンズ(1749–1807)は姓をパーソンズからハーマンに改めた後、アイルランド庶民院議員を16年間務め、1792年9月25日にアイルランド貴族であるウェックスフォード県におけるオクスマントン男爵に叙された[4]。彼には息子がいなかったため、この爵位には兄の息子にあたる5代準男爵ローレンス・パーソンズ英語版(1758–1841)への特別残余権が規定された[4]。その後、1795年10月6日にウェックスフォード県におけるオクスマントン子爵に叙されたが、この爵位には特別残余権の規定はなかった[4]。さらに1801年よりアイルランド貴族代表議員を務め、1806年2月3日にロス伯爵に叙された[4]。ロス伯爵位はオクスマントン男爵位と同様の特別残余権が規定された[4]

1807年に初代伯爵が死去すると、オクスマントン子爵位は廃絶、それ以外の爵位は特別残余権に基づき5代準男爵が継承した[6]。5代準男爵は襲爵以前よりトーリー党の政治家であり、アイルランド庶民院議員、連合王国庶民院議員を務め、襲爵後にはアイルランド貴族代表議員、アイルランド郵政長官英語版も務めた[7]

第3代ロス伯爵

その息子である3代伯爵ウィリアム・パーソンズ(1800–1867)ホイッグ党の政治家であり、連合王国庶民院議員、アイルランド貴族代表議員、キングス・カウンティ統監を務めた[8]。彼は天文学者でもあり、王立協会会長英語版ダブリン大学学長英語版を務めた[8]

その息子である4代伯爵ローレンス・パーソンズ英語版(1840–1908)も父と同じく政治家と天文学者になり、前者としては保守党所属のアイルランド貴族代表議員、キングス・カウンティ統監を務め、後者としてはロイヤル・アイリッシュ・アカデミー英語版会長を務めた[8]

その息子である5代伯爵ウィリアム・エドワード・パーソンズ英語版(1873–1918)はアイルランド貴族代表議員、キングス・カウンティ統監を務めたほか、陸軍の軍人であり、第二次ボーア戦争第一次世界大戦に参戦した[9]

2017年現在の当主は5代伯爵の孫にあたる7代伯爵ウィリアム・クレア・レオナード・ブレンダン・パーソンズ英語版(1936–)である[10][11]

現当主の保有爵位・準男爵位

現当主のウィリアム・パーソンズ英語版は、以下の爵位・準男爵位を有する。

  • 第7代ロス伯爵(7th Earl of Rosse)
    (1806年2月3日の勅許状によるアイルランド貴族爵位)
  • 第7代オクスマントン男爵(7th Baron Oxmantown)
    (1792年9月25日の勅許状によるアイルランド貴族爵位)
  • 第10代(バー城の)準男爵(10th Baronet, of Birr Castle)
    (1677年12月15日の勅許状によるアイルランド準男爵位)

一覧

(ベラモントの)パーソンズ準男爵(1620年)

  • 初代準男爵サー・ウィリアム・パーソンズ英語版(1570年 – 1650年)
  • 第2代準男爵サー・ウィリアム・パーソンズ(1658年没)
  • 第3代準男爵サー・リチャード・パーソンズ(1656年ごろ – 1703年)
    • 1681年、ロス子爵に叙爵

ロス子爵(1681年)

  • 初代ロス子爵リチャード・パーソンズ(1657年ごろ – 1703年)
  • 第2代ロス子爵リチャード・パーソンズ(1741年没)
    • 1718年、ロス伯爵に叙爵

ロス伯爵(1718年)

(バー・キャッスルの)パーソンズ準男爵(1677年)

  • 初代準男爵サー・ローレンス・パーソンズ(1637年ごろ – 1698年)
  • 第2代準男爵サー・ウィリアム・パーソンズ英語版(1661年 – 1741年)
  • 第3代準男爵サー・ローレンス・パーソンズ英語版(1708年 – 1756年)
  • 第4代準男爵サー・ウィリアム・パーソンズ英語版(1731年 – 1791年)
  • 第5代準男爵サー・ローレンス・パーソンズ英語版(1758年 – 1841年)
    • 1807年、ロス伯爵を継承

ロス伯爵(1806年)

  • 初代ロス伯爵ローレンス・ハーマン・パーソンズ(1749年 – 1807年)
  • 第2代ロス伯爵ローレンス・パーソンズ英語版(1758年 – 1841年)
  • 第3代ロス伯爵ウィリアム・パーソンズ(1800年 – 1867年)
  • 第4代ロス伯爵ローレンス・パーソンズ英語版(1840年 – 1908年)
  • 第5代ロス伯爵ウィリアム・エドワード・パーソンズ英語版(1873年 – 1918年)
  • 第6代ロス伯爵ローレンス・マイケル・ハーヴィー・パーソンズ英語版(1906年 – 1979年)
  • 第7代ロス伯爵ウィリアム・クレア・レオナード・ブレンダン・パーソンズ英語版(1936年 – )

爵位の法定推定相続人は現当主の息子オクスマントン卿ローレンス・パトリック・パーソンズ(1969年 – )で、その法定推定相続人は息子ウィリアム・チャールズ・ユーファン・パーソンズ(2008年 – )である。

出典

  1. ^ a b Cokayne 1900, p. 226.
  2. ^ a b c Cokayne & White 1949, p. 166.
  3. ^ Cokayne & White 1949, p. 167.
  4. ^ a b c d e f g Cokayne & White 1949, p. 168.
  5. ^ a b c Cokayne 1904, p. 210.
  6. ^ Cokayne & White 1949, pp. 168–169.
  7. ^ Cokayne & White 1949, p. 169.
  8. ^ a b c Cokayne & White 1949, p. 170.
  9. ^ Cokayne & White 1949, p. 171.
  10. ^ Cokayne & Hammond 1998, p. 555.
  11. ^ O’Byrne, Robert (3 January 2017). "Ireland's Historic Birr Castle Receives a Chic Makeover". Architectural Digest (英語). 2024年5月19日閲覧

参考文献




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