ルーカスの定理とは? わかりやすく解説

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ルーカスの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/08 18:11 UTC 版)

数論において リュカの定理(リュカのていり、: Lucas's theorem)とは、二項係数 素数pで割った余りを、整数mnp進展開を用いて表す定理である。

リュカの定理は1878年にÉdouard Lucas.[1]の論文にて初めて登場した。

主張

任意の非負整数m,n及び素数pに対して、次の合同式が成立する。

ここで、

はそれぞれm,np進展開である。また、m < nの時はと定める。

証明

結果

リュカの定理の帰結の一つとして、二項係数 が素数 p で割り切れることと np 進表記における少なくとも一つの桁が、対応する m の桁よりも大きいことは同値である。特に、p=2 の場合、奇数になるのは n二進数の各桁(ビット)が m のビットの部分集合である時に限られる。

非素数法への拡張

リュカの定理は、二項係数 を素数冪 pk で割った余りを求める形に一般化することができる。しかし、その場合の公式はより複雑になる。

特に素数 p の平方 p2 を法とする場合は、任意の 0 ≤ srp − 1, a ≥ 0, b ≥ 0 において次の合同式が成り立つ:

ここで n-番目の 調和数 [3] である。より高い素冪 pk に対するリュカの定理の一般化は Davis と Webb (1990)[4] および Granville (1997)[5] によって与えられている。

また、クンマーの定理 によれば、二項係数 が素数 p で割り切れる最大の回数(P進付値)は nm − np進法で加えた時に生じる繰り上がりの数と等しい。

q二項係数への拡張

リュカの定理には q二項係数 への一般化が存在する。整数 a, b, r, s, k が 0 ≤ b, s < k を満たすとき、以下の合同式が成立する: ここで、 および q二項係数、は通常の二項係数、は変数 q に対する k 番目の円分多項式を表す[6]

脚注

  1. ^ Fine, Nathan (1947). "Binomial coefficients modulo a prime". American Mathematical Monthly. 54 (10): 589–592. doi:10.2307/2304500. JSTOR 2304500
  2. ^ Fine, Nathan (1947). “Binomial coefficients modulo a prime”. American Mathematical Monthly 54 (10): 589–592. doi:10.2307/2304500. JSTOR 2304500. 
  3. ^ Rowland, Eric (2022). “Lucas' theorem modulo p2”. American Mathematical Monthly 129 (9): 846–855. arXiv:2006.11701v3. doi:10.1080/00029890.2022.2038004. 
  4. ^ Kenneth S. Davis, William A. Webb (1990). “Lucas' Theorem for Prime Powers”. European Journal of Combinatorics 11 (3): 229–233. doi:10.1016/S0195-6698(13)80122-9. 
  5. ^ Andrew Granville (1997). “Arithmetic Properties of Binomial Coefficients I: Binomial coefficients modulo prime powers”. Canadian Mathematical Society Conference Proceedings 20: 253–275. MR1483922. http://www.dms.umontreal.ca/%7Eandrew/PDF/BinCoeff.pdf. 
  6. ^ Désarménien, Jacques (March 1982). “Un Analogue des Congruences de Kummer pour les q-nombres d'Euler”. European Journal of Combinatorics 3 (1): 19–28. doi:10.1016/S0195-6698(82)80005-X. 


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