マドレーヌ・ルノーとは? わかりやすく解説

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マドレーヌ・ルノー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 06:38 UTC 版)

Madeleine Renaud
マドレーヌ・ルノー
1947年撮影
本名 リュシー・マドレーヌ・ルノー
Lucie Madeleine Renaud
生年月日 (1900-02-21) 1900年2月21日
没年月日 (1994-09-23) 1994年9月23日(94歳没)
出生地 パリ
国籍
職業 女優
活動内容 演劇・映画
配偶者 ジャン=ルイ・バロー
主な作品
この空は君のもの』(1944年)
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マドレーヌ・ルノー(フランス語: Madeleine Renaud、1900年2月21日 - 1994年9月23日)は、フランスの女優である。コメディ・フランセーズ、ルノー=バロー劇団、および映画において活躍した。

生涯

マドレーヌ・ルノーは1900年2月21日、パリに生まれた。本名はリュシー・マドレーヌ・ルノー(Lucie Madeleine Renaud)である。中等教育を修了後、文学に強い関心を示し、小説戯曲執筆に励んだ。その後、フランス国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)に入学し、ラファエル・デュフロのクラスで演技を学んだ。この時期の同級生にはシャルル・ボワイエがいた。

1920年の進級公演では、モリエール作『女房学校』のアニエス役で二等賞を獲得した。翌1921年の卒業公演では、マリー・ベルと共に一等賞を分け合い、2人揃ってコメディ・フランセーズに入座した。

1923年、ルノーは同劇団の幹部俳優シャルル・グランヴァル(Charles Granval)と結婚したが、後に離婚した。この結婚により、後に演出家となる長男ジャン=ピエール・グランヴァル(Jean-Pierre Granval)をもうけている。1926年には、アルフレッド・ド・ミュッセ作『若い娘は何を夢みるか』でマリー・ベルと共演し、主演を務めた。

1936年公開の映画『美しき青春』(Hélène)での共演を機に、若手俳優ジャン=ルイ・バロー(Jean-Louis Barrault)と親交を深め、1940年頃に彼と再婚した。1944年、ナチス・ドイツ軍がパリから撤退した後、ルノーはコメディ・フランセーズの運営委員会委員に就任した。

ルノー=バロー劇団の結成と活動

1946年、ルノーは夫バローと共にコメディ・フランセーズを退団し、共同でルノー=バロー劇団(la compagnie Renaud-Barrault)を結成した。劇団はパリのマリニー劇場(Théâtre Marigny)を本拠地とした。

1959年、当時の文化大臣アンドレ・マルローの要請を受け、ジャン=ルイ・バローオデオン座の支配人に就任し、劇団も同座を活動拠点とした。しかし、1968年の五月革命において学生らに劇場の占拠を許した責任を問われ、劇団はオデオン座を追放された。その後、エリゼ・モンマルトル劇場(Élysée Montmartre)やオルセー駅構内の仮設劇場などを転々とした。1981年、劇団は最終的にロン・ポワン劇場(Théâtre du Rond-Point)に落ち着いた。

ルノー=バロー劇団は活発に国外公演を行い、日本には1960年、1977年、1979年の計3回来日している。特に1977年と1979年の来日時には、息子のジャン=ピエール・グランヴァルを演出家として帯同した。

晩年と死

1994年9月23日、夫ジャン=ルイ・バローの死から8ヶ月後の同年9月、パリ北西郊のヌイイ=シュル=セーヌで死去した。94歳であった。ルノーとバローはパリパッシー墓地に共に埋葬されている。

映画出演

ルノーは1922年以降、40本近い映画に出演した。主要な作品は以下の通りである。

  • 1933年:『母の手』(La maternelle)
  • 1933年:『トンネル』(Le tunnel)
  • 1934年:『白き処女地』(Maria Chapdelaine)
  • 1936年:『美しき青春』(Hélène)
  • 1938年:『不思議なヴィクトル氏』(L'étrange monsieur Victor)
  • 1943年:『高原の情熱』(Lumière d'été)
  • 1944年:『この空は君のもの』(Le ciel est à vous)
  • 1952年:『快楽』(Le plaisir)
  • 1962年:『史上最大の作戦』(The Longest Day)

舞台出演

コメディ・フランセーズ時代には、127役を演じたと記録されている。ルノー=バロー劇団での活動も含め、彼女の演じた役柄は古典から前衛まで多岐にわたる。代表的な演目は以下の通りである。

  • ウィリアム・シェイクスピア作:『ハムレット』
  • モリエール作:『人間嫌い』
  • ピエール・ド・マリヴォー作:『偽りの告白』
  • アルフレッド・ド・ミュッセ作:『若い娘は何を夢みるか』、『当て馬』
  • ポール・クローデル作:『繻子の靴』、『黄金の頭』
  • ジャン・ジロドゥ作:『雅歌』、『リュクレースのために』
  • ピエール・レストランゲス作:『三色旗』(Tricolore)
  • フランツ・カフカ原作:『審判』
  • アンリ・ド・モンテルラン作:『死せる女王』(La Reine morte)
  • アルマン・サラクルー作:『怒りの夜』
  • サミュエル・ベケット作:『幸福な日々』(Oh les beaux jours)
  • ジャン・ジュネ作:『屏風』
  • マルグリット・デュラス作:『サヴァナ・ベイ』(Savannah Bay)、『木立の中の日々』、『ヴィオルヌの犯罪』(L'amante anglaise)
  • フランソワ・ビエドゥー作:『曇天のあと』
  • コリン・ヒギンズ作:『ハロルドとモード』(Harold et Maud)

参考文献

  • IMDb. "Madeleine Renaud Biography." https://www.imdb.com/name/nm0719233/bio/
  • Wikipédia (fr). "Madeleine Renaud." https://fr.wikipedia.org/wiki/Madeleine_Renaud
  • Wikipédia (fr). "Jean-Louis Barrault." https://fr.wikipedia.org/wiki/Jean-Louis_Barrault
  • Playbill. "Madeleine Renaud (Performer)." https://playbill.com/person/madeleine-renaud-vault-0000066456
  • Unifrance. "Madeleine Renaud." https://en.unifrance.org/directories/person/122967/madeleine-renaud
  • European Film Star Postcards. "Madeleine Renaud." https://filmstarpostcards.blogspot.com/2016/04/madeleine-renaud.html

出典

いろいろなウェブ情報のほか、

  • パトリック・ドゥヴォー(伊藤洋訳)、コメディ=フランセーズ、文庫クセジュQ772、白水社(1995) ISBN 9784560057728
  • 岩瀬孝ほか:フランス演劇史概説(増補版)、早稲田大学出版部(1995) ISBN 9784657954206
  • 中田耕治:ルイ・ジュヴェとその時代、作品社 (2000) ISBN 9784878933530

外部リンク




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