ペー・ジ・ガハッファ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/24 00:09 UTC 版)
ペー・ジ・ガハッファ(Pé de garrafa, pé-de-garrafa. 「瓶の足」の意[1])は、 ブラジルの伝承における 伝説の生物。瓶の底のような円形の足をもち、丸い足跡を残すのでその呼名がついている。
伝説
ペー・ジ・ガハッファは、丸型の深い足跡を残してゆくような、がっしりと丸い瓶底のような足をもち[2][3]、その名の由来となっている[4][6]。森林に棲む、背の高い巨人とされる[2][3]。
民族学者マヌエル・アンブロシオ(1912)の記述によれば、"背はひじょうに高く、いちばん高い木の葉のところまで頭が届き、単眼で一本足、その足は巨大で丸く、よって「瓶足」と呼ばれた"という[5]。
かん高い鳴き声を森林に轟かせ、狩人を惑わせ、仲間が迷子だと勘違いさせる。しかしその鳴き声をたよりにすると混乱は増し、鳴き声の音は反射、増幅し、 譫妄や狂気を誘引する。狩人は、元来た道筋に戻る[3]。
魔術をつかうともいわれる[1]。しかし、その脅威のほどは、人食いであるか、または餌を捕食して食うか、は情報が伝わっていないという[7]。
伝承地方
ペー・ジ・ガハッファについては、ヴァレ・カブラル(Alfredo do Vale Cabral、1884年)の記述が最初だとされるが、そこではピアウイ州の伝承とされる[9][注 1]。
やはりブラジル北東部のセアラー州のマサペー市では、大きな足跡を砂質や粘土質の地面に巨大足跡をつけてゆくのだとされている[2][3]。
動物学者のアリピオ・デ・ミランダ・リベイロが、マットグロッソ州のジャコビナで、この生物の捕獲を試みたことがあった。その情報筋によれば[注 2]、一本足の毛むくじゃらの生物で、瓶の底のような蹄を持ち、足跡は、よほど熟練のポアイエロ(poaieiro、深奥の森人、農場にとどまらず密林のなかで作業する農業員)でないと、道を迷わせられる[2][3]。
類型
グスタヴォ・バローゾは、「カアポラの一種」(カイポラ)であると記述しているが[11]、ヴァレ・カブラル(1884年)は、カアポラと同じ森林を生息地とする、と言うにとどめている[9]。
カスクードは、マピングアリやカペロボの変異版だとするが[3]、ただし違いとしては、ペー・ジ・ガハッファについては、明確に人食いである、または捕食肉食獣であるとの情報が欠けている[7]
丸い足跡を残すというのは、バスク地方の野生人であるバシャジャウンと類似していおり、ペー・ジ・ガハッファというのもバスク地方からの借用かもしれないが、ポルトガル本国では同じ伝承は知られていない。よって伝搬があったとすれば、スペイン系人かバスク系人がブラジルにもたらしたことになる[2][3]。
注釈
- ^ B. Magalhães によるまとめでは、ピアウイ州に四大幻獣があり、のこりはバルバ・ルイヴァ(barba ruiva、「赤ひげ」)、カベッサ・ジ・クイア(cabeça de cuia、「ひょうたん頭」)とカルネイロ・ジ・オーロ(carneiro de ouro、「黄金の羊」である[10]。
- ^ 農場管理者。名は Sebastião Alves Correia。
出典
- ^ a b Levine, Robert M. (2015). Brazilian Legacies. Ministério da Cultura, Fundação Biblioteca Nacional, Departamento Nacional do Livro. p. 135. ISBN 9781315503844
- ^ a b c d e f g Cascudo, Luís da Câmara (1962). “Pé-de-garrafa” (ポルトガル語). Dicionário do folclore brasileiro. 2 (J–Z) (2 ed.). Brasília: Instituto Nacional do Livro. p. 583: Vol. 1 (A–I)
- ^ a b c d e f g h i j Cascudo, Luís da Câmara (2002). “Cabra Cabriola (Pernambuco, Alagoas, Sergipe, Bahia)” (ポルトガル語). Geografia dos mitos brasileiros. Editora Itatiaia. pp. 228–230 ; e-text; 1983 edition
- ^ Vale Cabral, Alfredo do (1978). Calasans Brandão da Silva, José. ed (ポルトガル語). Achegas ao estudo do Folclore brasileiro. Rio de Janeiro: Ministério da Educação e Cultura, Departamento de Assuntos Culturais, Fundação Nacional de Arte, Campanha de Defesa do Folclore Brasileiro. pp. 92, 94
- ^ a b Ambrósio, Manuel (1934). Brasil Interior (Palestras populares — folclore das margens do São Francisco). São Paulo: Nelson Benjamin Monção. pp. 69–70 . "Diziam-no um gigante tão alto, que sua cabeça tocava ás frondes das mais altas arvores, tendo um olho só, um pé só, pé enorme, redondo denominado por isto de -- pé de garrafa"
- ^ Ambrósio (1934)[1912][5] apud Cascudo.[2][3]
- ^ a b "mata para comer ou é inofensivo(食餌のために捕殺する)"かどうか、という情報が欠けているが、"hábitos gritadores do Mapinguari e do Capelobo sem que lhe tenha vindo a antropofagia insaciável(マピングアリやカぺロボのような鳴き声が共通するが、人食いの部分は付いてきていない)"[3]。
- ^ Vale Cabral, Alfredo do (1884). “Achegas ao estudo do Folclore brasileiro” (ポルトガル語). Gazeta Literária: 345–352.
- ^ a b Vale Cabral (1884)[8] apud Cascudo's Dicionário (1962) & Geografica (2002) [1948][2][3]
- ^ Magalhães, Basílio de (1945). Folk-lore in Brazil. Brasilia: Imprensa Nacional. pp. 92, 94
- ^ Barroso (1932). As Colunas do Templo. Rio de Janeiro: Civilização Brasileira Editora, pp. 254–255, apud Cascudo.
外部リンク
- Editoria de Folclore - Site de Dicas (2025年1月2日). “O Mito do Pé de Garrafa”. 2025年4月30日閲覧。
- スグホリコ: “第44話 【森の悪魔】ペー・ジ・ガハッファ(O Pé de Garrafa)”. ブラジル怪異集 (2022年6月12日). 2025年4月30日閲覧。
関連項目
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