ブロックデザイン_(数学)とは? わかりやすく解説

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ブロックデザイン (数学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 00:57 UTC 版)

組合せ数学において、ブロックデザイン (block design) とは、実験計画法ソフトウェアテスト符号理論暗号理論有限幾何代数幾何学などに広範な応用を持つハイパーグラフの一種である。ブロックデザインであることが文脈から明らかな場合、しばしば単に「デザイン」と呼ばれる。「デザイン」は「計画」と表記されることもある。

定義

有限集合 X と正整数 k, r, λ が与えられているとする。Xと呼び、k 個の元からなる X の部分集合をブロックと呼ぶ。ブロックの集合 B が次の2条件を満たすとき、組 (X, B) を 2-デザインまたは単にデザインという。

  • 任意の点 x に対し、x を含む B の元はちょうど r 個である。
  • 任意の異なる2点 x, y に対し、xy を共に含む B の元はちょうど λ 個である。

第2の条件を満たせば自動的に第1の条件を満たすような r が存在するので、第2の条件のみで定義してもよい。

k, r, λ に加え、点の個数 v とブロックの個数 b をデザインのパラメータという。各パラメータの意味を表にまとめると以下の通り。

v 点の個数、すなわち X の元の個数
b ブロックの個数、すなわち B の元の個数
r ある点を含むブロックの個数
k ひとつのブロックに含まれる点の個数
λ 異なる2つの(より一般の t-デザインの場合は t 個の)点を含むブロックの個数

パラメータ v, b, r, k, λ を持つデザインは、(v, k, λ)-デザインまたは (v, b, r, k, λ)-デザインなどと表記される。パラメータたちは全てが独立ではなく、v, k, λ を与えれば b, r が定まる。実際、パラメータたちの間には、

F2 上の射影平面の模式図。これは (7, 3, 1)-デザインである。

最も簡単な q = 2 の場合、F2 = { 0, 1 } 上の射影平面(ファノ平面英語版)の点は、

P1 = [0: 0: 1], P2 = [0: 1: 0], P3 = [0: 1: 1], P4 = [1: 0: 0], P5 = [1: 0: 1], P6 = [1: 1: 0], P7 = [1: 1: 1]

の7点であり、直線は

L1 = { [x: y: z] | x = 0 } = { P1, P2, P3 }
L2 = { [x: y: z] | y = 0 } = { P1, P4, P5 }
L3 = { [x: y: z] | z = 0 } = { P2, P4, P6 }
L4 = { [x: y: z] | x + y = 0 } = { P1, P6, P7 }
L5 = { [x: y: z] | x + z = 0 } = { P2, P5, P7 }
L6 = { [x: y: z] | y + z = 0 } = { P3, P4, P7 }
L7 = { [x: y: z] | x + y + z = 0 } = { P3, P5, P6 }

の7本である。

X = { P1, …, P7 }
B = { L1, …, L7 }

とすれば、(X, B) は (7, 3, 1)-デザインである。

一般化

2 以上の整数 t に対し、t-デザインが定義される。上記の定義における第2の条件を次のように変えたものである。

  • 任意の異なる t 個の点に対し、その t 個の点を全て含む B の元はちょうど λ 個である。

t もデザインのパラメータのひとつに数えられ、t-(v, k, λ)-デザインなどと表記される。この4つのパラメータを与えれば、残りの b, r は自動的に定まる。どのようなパラメータに対してデザインが存在するか、存在する場合にはそれを分類せよ、というのがデザイン理論における主要な問題である。

t-(v, k, 1)-デザインは、シュタイナーシステム英語版と呼ばれ、S(t, k, v) と書かれる。

関連事項 

参考文献

外部リンク


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