ディーン・フィリップスとは？ わかりやすく解説

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ディーン・フィリップス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/06/09 02:27 UTC 版)

ディーン・フィリップス
Dean Phillips
アメリカ合衆国下院議員
ミネソタ州第3区選出
任期
2019年1月3日 – 2025年1月3日
前任者 エリック・ポールセン（英語版）
後任者 ケリー・モリソン（英語版）
個人情報
生誕 Dean Benson Pfefer
(1969-01-20) 1969年1月20日（56歳）
アメリカ合衆国 ミネソタ州セントポール
政党 民主党
配偶者
カリン・アイニスマン
（結婚 1995年、離婚 2015年）

アナリーズ・グリック
（結婚 2019年、離婚 2024年）
子供 2
親族 ポーリン・フィリップス（英語版） (祖母)
ジーン・フィリップス（英語版） (叔母)
教育 ブラウン大学 (AB)
ミネソタ大学 (MBA)
公式サイト 下院ウェブサイト
ディーン・フィリップスの音声
SALT税控除（英語版）を支持する発言をするディーン・フィリップス
2019年12月19日録音

ディーン・ベンソン・フィリップス（Dean Benson Phillips[1], 1969年1月20日[2] - ）は、アメリカ合衆国の実業家、政治家。2019年から2025年にかけて、ミネソタ州3区（ブルーミントン、ミネトンカ、イーダイナ、メイプルグローブ、プリマス、エデンプレイリー（英語版）といったツインシティ西郊）選出の連邦下院議員を務めた[3]。民主党員。

家業の醸造会社フィリップス・ディスティリング・カンパニー（英語版）の社長兼CEOを務めるほか、いくつかの会社を経営・起業している[4][5][6]。タレンティ（英語版）の元共同経営者、ペニーズ・コーヒーの共同経営者である。

2018年の下院議員選挙（英語版）で、6期目を目指した共和党現職のエリック・ポールセン（英語版）を破り初当選[7]。長らく共和党が強かったこの選挙区で民主党が議席を獲得するのは1958年（英語版）以来のことであった。その後も2度再選を果たした。政治的には中道で、穏健派民主党員（英語版）とみなされている。2018年時点での純資産が7700万ドルのフィリップスは最も裕福な議員（英語版）の1人である[8]。2023年、2024年大統領選挙における民主党指名候補者争い（英語版）で現職大統領のジョー・バイデンに挑戦する意向を表明[9]。2024年の民主党大会で4名の代議員を獲得した[10][11]。

生い立ちと学歴とキャリア

フィリップスは1969年にミネソタ州セントポールでディーディー・コーエン（DeeDee Cohen）とアーティ・フェファー（Artie Pfefer）のあいだに生まれた[12]。アーティはフィリップスの生後6ヶ月の時にベトナム戦争で戦死した。その後ディーディーはフィリップス・ディスティリング・カンパニー（英語版）の後継者でアドバイス・コラムニストのポーリン・フィリップス（英語版）の息子のエディ・フィリップス（Eddie Phillips）と結婚した[13]。

1970年代初頭、フィリップスはセントポールからイーダイナに引っ越した。彼はブレイク・スクール（英語版）に通った[14]。

フィリップスは1991年にブラウン大学を都市論の学位で卒業した[15]。彼はシグマ・カイ（英語版）友愛会に所属していた。フィリップスは自転車用品とアパレル企業のインモーション2年勤めた後、家族の会社の本社事務所に入った。2000年にミネソタ大学のカールソン経営大学院で経営学修士号を取得した。卒業後に彼は一族が経営するフィリップス・ディスティリング・カンパニーの社長兼CEOに就任した[13]。

フィリップスは2000年から2012年まで同社の社長兼CEOを務めた。その後フィリップスは別の投資先であるタレンティ（英語版）の経営に2014年にユニリーバに金額非公開で売却されるまで携わった[16]。2016年からは2022年時点でツインシティ都市圏に2店舗を構えるコーヒーショップ・チェーンのペニーズ・コーヒーの創業者兼経営者となった[16]。

連邦下院議員

選挙

2018年

→「2018年アメリカ合衆国下院議員選挙 (ミネソタ州)（英語版）」も参照
民主農民労働党州中央委員会で演説するフィリップス（2018年）
ミネソタ・ステート・フェアでのディーン・フィリップス下院議員選挙運動ブース

2018年にフィリップスは民主党からミネソタ州3区のアメリカ合衆国下院議員選挙に出馬した[17]。民主党予備選挙では元販売員のコール・ヤングを得票率81.6%で破った。フィリップスは選挙区内の3つの郡すべてで勝利した[18]。

本選挙では現職で共和党のエリック・ポールセン（英語版）を得票率55.6%で破って初当選した[19]。

2020年

→「2020年アメリカ合衆国下院議員選挙 (ミネソタ州)（英語版）」も参照

フィリップスは2020年に再選を目指して出馬した。民主党予備選挙ではコール・ヤングを得票率90.7%で破り[20]、さらに本選挙では共和党候補者で実業家のケンドール・クオールズと対決した[21]。フィリップスは得票率55.6%でクオールズを破った[22]。

2022年

→「2022年アメリカ合衆国下院議員選挙 (ミネソタ州)（英語版）」も参照

フィリップスは2022年の民主党予備選挙を無投票で勝ち抜いた。本選挙では共和党候補者で元アメリカ合衆国海軍潜水艦将校のトム・ヴァイラーを得票率60%で破った[23]。

在任期間

ABCニュースの『ファイブサーティエイト』の議会投票トラッカーによるとフィリップスはジョー・バイデン大統領が表明した公共政策の立場に100%賛成しており[24]、予測スコアリング（選挙区の党派性と投票記録）を用いた場合、第117議会の平均よりもリベラルな人物となっている[24]。2019年の最初の任期開始時においてジョージタウン大学のマコート公共政策大学院（英語版）は超党派性という観点からフィリップスを435人中27位と評価した[25]。

委員会

第118議会（英語版）時点:[26]

  • 外交委員会
    • アメリカ合衆国下院中東・北アフリカ・中央アジア小委員会（英語版） (筆頭委員)
  • 中小企業委員会（英語版）
    • 経済成長・税制・資本アクセス小委員会（英語版）
    • イノベーション・企業・労働力開発小委員会（英語版）

コーカス

  • 議会LGBT平等コーカス（英語版）
  • ニュー・デモクラット・コアリション（英語版）[27]
  • プロブレム・ソルバーズ・コーカス（英語版）[28]

2024年大統領選挙運動

→詳細は「ディーン・フィリップスの2024年大統領選挙運動（英語版）」を参照

2023年7月、フィリップスは2024年大統領民主党予備選挙（英語版）でジョー・バイデン大統領への挑戦を検討していると発言した[29]。2023年10月、フィリップスは2024年大統領選挙に関する自身の見解が会派の多数派と相容れないことから、下院民主党政策広報委員会の共同会長を退任すると発表した[30]。10月26日に連邦選挙委員会に正式に書類を提出し、翌27日にニューハンプシャー州コンコードで大統領選挙への出馬を表明した[31][32]。

2024年3月7日、選挙戦からの撤退とバイデンへの支持を表明した[33]。

選挙戦歴

イベントで演説するフィリップス（2022年6月）
2018年民主党予備選挙
政党 候補者 得票数 得票率 (%)
民主党 (DFL) ディーン・フィリップス 56,697 81.6
民主党 (DFL) コール・ヤング 12,784 18.4
総得票数 69,481 100.00
2018年ミネソタ州第3選挙区
政党 候補者 得票数 得票率 (%)
民主党 (DFL) ディーン・フィリップス 202,402 55.6
共和党 エリック・ポールセン（英語版） (現職) 160,839 44.2
書き込み候補（英語版） 707 0.2
総得票数 363,948 100.00
民主党（DFL）が共和党から議席奪取
2020年民主党予備選挙[34]
政党 候補者 得票数 得票率 (%)
民主党 (DFL) ディーン・フィリップス (現職) 73,011 90.7
民主党 (DFL) コール・ヤング 7,443 9.3
総得票数 80,454 100.00
2020年ミネソタ州第3選挙区[35]
政党 候補者 得票数 得票率 (%)
民主党 (DFL) ディーン・フィリップス (現職) 246,666 55.6
共和党 ケンドール・クオールズ 196,625 44.3
書き込み候補（英語版） 312 0.1
総得票数 443,603 100.00
民主党（DFL）が議席維持
2022年ミネソタ州第3選挙区[36]
政党 候補者 得票数 得票率 (%)
民主党 (DFL) ディーン・フィリップス (現職) 198,883 59.6
共和党 トム・ヴァイラー 134,797 40.4
書き込み候補（英語版） 241 0.2
総得票数 333,921 100.00
民主党（DFL）が議席維持

私生活

フィリップスには2度の結婚歴があり、最初の妻とのあいだに娘が2人いる。彼はユダヤ教徒であり[37]、ミネアポリスにあるテンプル・イスラエル（英語版）の役員を務めていることがミネソタの出版物『The American Jewish World』で確認されている[38]。

フィリップスの父方の継祖母のポーリン・フィリップス（英語版）はアビゲイル・ヴァン・ビューレンというペンネームで「ディア・アビー（英語版）」というアドバイス・コラムを書いていた[39]。

参考文献

  1. ^ “PAGE BY PAGE REPORT DISPLAY FOR 12951451573 (Page 196 of 371)”. Docquery.fec.gov. 2018年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。
  2. ^ “Candidate Conversation - Dean Phillips (DFL) - News & Analysis - Inside Elections”. Insideelections.com. 2018年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。
  3. ^ “Minnesota liquor heir hopes to parlay business career into congressional bid” (英語). Star Tribune (2017年5月9日). 2022年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。
  4. ^ Monroe, Nancy Weingartner (2017年9月29日). “Dean Philip's Running For Office While Running Penny's” (英語). foodservicenews.net. 2023年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月14日閲覧。
  5. ^ “Vodka and Gelato Tycoon Challenging Minnesota's Erik Paulsen” (英語). Roll Call (2017年5月16日). 2022年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月2日閲覧。
  6. ^ “Phillips liquor heir, Dear Abby's grandson launches bid to unseat Congressman Erik Paulsen” (英語). Twin Cities (2017年5月16日). 2019年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
  7. ^ “In competitive Third District race, Erik Paulsen, Dean Phillips clash at second debate” (英語). AP NEWS (2018年10月5日). 2022年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月14日閲覧。
  8. ^ “The Wealthiest Members of Congress—And How They Made Their Millions – Fortune” (英語). 2022年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月20日閲覧。
  9. ^ John, Arit (2023年10月26日). “House Democrat Dean Phillips launches primary challenge against President Biden” (英語). CNN. 2023年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月26日閲覧。
  10. ^ “2024 Presidential Primary Delegate Tracker”. USA Today. 2024年5月19日閲覧。
  11. ^ “US election 2024 primaries: follow live results”. The Guardian. (2024年3月19日). https://www.theguardian.com/us-news/2024/mar/19/presidential-primary-elections-results-live 2024年5月23日閲覧。 
  12. ^ “MN-03: Dean Phillips (D)” (2018年11月6日). 2019年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。
  13. ^ a b Erica Rivera (2018年1月24日). “Can charming liquor heir Dean Phillips beat Erik Paulsen, Minnesota's corporate congressman?”. City Pages. 2018年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月7日閲覧。
  14. ^ “Dean Phillips”. www.jewishvirtuallibrary.org. 2021年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月15日閲覧。
  15. ^ Dean Phillips linkedin
  16. ^ a b Mandelbaum, Robb. “He Sold Americans On Small Luxuries Like Gelato. Can He Sell His Minnesota Nice Politics?” (英語). Forbes. 2022年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月2日閲覧。
  17. ^ “Democrat Phillips defeats incumbent Paulsen in Minnesota's Third District”. StarTribune.com. 2018年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月7日閲覧。
  18. ^ “Minnesota Primary Election Results: Third House District” (英語). The New York Times. (2018年8月16日). ISSN 0362-4331. オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180920175535/https://www.nytimes.com/elections/results/minnesota-house-district-3-primary-election 2019年2月19日閲覧。 
  19. ^ “MN Election Results” (英語). Electionresults.sos.state.mn.us. Office of the Minnesota Secretary of State. 2018年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月7日閲覧。
  20. ^ “Official Canvassing Report”. Minnesota Secretary of State. 2021年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月13日閲覧。
  21. ^ Orrick, Dave (2019年7月29日). “A black Republican is running for Congress in the metro suburbs. What does he think of Trump?”. Twin Cities Pioneer Press. オリジナルの2019年7月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190730174706/https://www.twincities.com/2019/07/29/a-black-republican-is-running-for-congress-in-the-metro-suburbs-what-does-he-think-of-trump/ 2019年7月29日閲覧。 
  22. ^ “Results for All Congressional Districts”. Minnesota Secretary of State. 2020年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月25日閲覧。
  23. ^ “Minnesota Third Congressional District Election Results” (英語). The New York Times. (2022年11月8日). ISSN 0362-4331. オリジナルの2023年7月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230731150257/https://www.nytimes.com/interactive/2022/11/08/us/elections/results-minnesota-us-house-district-3.html 2023年7月31日閲覧。 
  24. ^ a b Bycoffe, Anna Wiederkehr and Aaron (2021年4月22日). “Does Your Member Of Congress Vote With Or Against Biden?” (英語). FiveThirtyEight. 2021年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月13日閲覧。
  25. ^ “The Lugar Center - McCourt School Bipartisan Index House Scores 116th Congress First Session (2019)”. Georgetown University. 2020年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月20日閲覧。
  26. ^ “Dean Phillips”. Clerk of the United States House of Representatives. 2023年9月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月7日閲覧。
  27. ^ “Members”. New Democrat Coalition. 2018年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月5日閲覧。
  28. ^ “Minnesotans in Congress get troubling look at U.S.-Mexico border”. Star Tribune. 2021年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月18日閲覧。
  29. ^ Epstein, Reid J. (2023年7月29日). “Rep. Dean Phillips Says He Is Considering a Run Against Biden”. 2023年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月6日閲覧。
  30. ^ Huynh, Anjali (2023年10月2日). “House Democrat Leaves Leadership Position After Teasing Run Against Biden”. 2023年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月6日閲覧。
  31. ^ Schneider, Elena; Kashinsky, Lisa (2023年10月27日). “Biden camp plays it cool. But Dean Phillips' bid is on their radar”. Politico. オリジナルの2023年10月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20231028204604/https://www.politico.com/news/2023/10/27/dean-phillips-launches-campaign-00124053 2023年10月28日閲覧。 
  32. ^ “Rep. Dean Phillips files paperwork for presidential bid against Biden”. Politico (2023年10月26日). 2023年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月26日閲覧。
  33. ^ “民主フィリップス氏が撤退、バイデン氏支持表明 米大統領選”. 産経新聞. (2024年3月7日). https://www.sankei.com/article/20240307-6ERUM62UKVJW3JLSS3JWAKEBEE/ 2024年3月7日閲覧。 
  34. ^ “Unofficial Results Tuesday, August 11, 2020”. Minnesota Secretary of State. 2020年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月16日閲覧。
  35. ^ “Unofficial Results Tuesday, November 3, 2020”. Minnesota Secretary of State. 2020年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月1日閲覧。
  36. ^ “2022 General Election – Results for All Congressional Districts”. Minnesota Secretary of State. 2023年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月14日閲覧。
  37. ^ “Dean Phillips & The Road To November 2018”. Tcjewfolk.com (2017年5月30日). 2019年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。
  38. ^ “Dear Abby asked Dean Phillips for advice” (2018年7月25日). 2019年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。
  39. ^ Alberta, Tim (2019年3月8日). “The Democrats' Dilemma”. Politico. 2019年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月1日閲覧。

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