セヴィンチュ・トクリルとは? わかりやすく解説

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セヴィンチュ・トクリル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 07:06 UTC 版)

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セヴィンチュ・トクリルモンゴル語: Sevinču Toqril、生没年不詳)は、モンゴル帝国に仕えたウイグル人の一人。『元史』における漢字表記は小雲石脱忽憐(xiǎoyúnshítuōhūlián)。

概要

セヴィンチュ・トクリルは元来天山ウイグル王国に仕える大臣であったが、13世紀初頭にチンギス・カンが建国したモンゴル帝国が勃興すると、ウイグル王国は帰順することになった。そこでセヴィンチュ・トクリルは父とともにチンギス・カンに仕えることになり、中央アジア遠征にも従軍した。チンギス・カンの死後はその末子のトルイに仕えるようになり、トルイ家の投下領たる真定路ダルガチに任ぜられた[1]

セヴィンチュ・トクリルの息子はバダン(八丹)と言い、トルイの次男のクビライ(後の世祖セチェン・カアン)に仕えてそのバウルチ・シバウチ万戸となった。バダンはクビライの指揮する雲南・大理遠征に従軍して功績を挙げ、その後クビライとその弟のアリクブケとの間で生じた帝位継承戦争にもクビライ派の武将として参加した。帝位継承戦争最大の激戦となったシムルトゥ・ノールの戦いでは多くの敵兵を殺し、後に金一鋌を与えられた。その後、シバウチ万戸としてクビライの長男のチンキムに従ってモンゴリアに赴いた後、父同様に真定路の守護を委ねられた。それから程なくして揚州に赴くよう命じられたが、バダンは「臣は幼いころより一度も陛下の下を離れることがありませんでした。願わくばこの後も陛下のおそば近くに仕えさせて下さい」と述べて辞退した。しかし、クビライは改めてバダンを隆興府ダルガチ・中書右丞とし、バダンは再び辞退しようとしたがクビライは許さなかった。バダンが隆興府に赴いてから3年後、激化するカイドゥのモンゴリア侵攻に備えてクビライの孫の晋王カマラ率いる軍勢が北方に派遣されることになり、バダンもこれに従軍することになった。カマラ軍からの帰還後にバダンは金一鋌を与えられたが、その後程なくして亡くなった[2]

バダンの息子にはアリー(阿里)、シデ(石得)、徳眼、アサン(阿散)、ラチン(臘真)らがおり、それぞれ栄達した[3]

脚注

  1. ^ 『元史』巻134列伝21小雲石脱忽憐伝,「小雲石脱忽憐、畏吾人、仕其国為吾魯愛兀赤、猶華言大臣也。太祖時、与其父来帰。従征回回国還、事睿宗於潜邸。真定、睿宗分地、以為本路断事官」
  2. ^ 『元史』巻134列伝21小雲石脱忽憐伝,「子八丹、事世祖為宝児赤、鷹房万戸。従征哈剌張有功、賜男女各一人・金一鋌、及銀甕等物。征阿里不哥、戦於昔門禿、日三合、殺獲甚衆、賜金一鋌。後以鷹房万戸従裕宗北征、至鎮海你里温、賜銀椅及鈔一万五千貫、命帰守真定。未幾、命行省揚州、八丹辞曰『臣自幼未嘗去陛下、願留侍左右』。改隆興府達魯花赤、遙授中書右丞、諭之曰『是朕旧所居、汝往居之』。八丹又辞、帝不允。居三年、海都叛、奉旨従甘麻剌太子往征之、師還、以功賜金一鋌。卒贈銀青栄禄大夫・司徒」
  3. ^ 『元史』巻134列伝21小雲石脱忽憐伝,「子阿里、鷹房千戸;石得、安西王相府官;徳眼、汝定府達魯花赤;阿散、甘粛行省平章政事;臘真、由会同館使同知通政院、有政績、官至栄禄大夫・中書省平章政事、兼翰林学士承旨・通政院使、卒。子察乃、金紫光禄大夫・中書省平章政事。察乃子十人老章、知枢密院事;撒馬篤、中書省参知政事」

参考文献




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